クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

とっておきの名盤 その40 ブラームス 交響曲全集

2006年09月30日 | とっておきの名盤「交響曲」
 
ヨッフムを単なる穏健な熟練指揮者だと思ったら大間違いだ。
これらの交響曲を聴いていると、ブラームスがその曲を通して聴き手に伝えようとしている熱い心情を、ヨッフムが全身全霊をつくして表現しているということが切ないほど良くわかる。
第1番の冒頭のティンパニーの音の激しさはどうだろう。
私はこれだけの激しさを、他のどのディスクでも聴いたことが無い。
第4楽章の魂に触れるフルートの調べと後に続く有名な弦が奏でるメロディーを、ヨッフムはロンドンフィルの奏者から見事な調べで導き出している。
第3番の情熱的な出だし、3楽章の憂いに満ちた旋律の熱を込めた表現も素晴らしい。
演奏は、1・3・4・2番の順に良いと思う。
2枚組み2セットの廉価盤で、序曲が2曲とテンシュテット指揮の「ドイツレクイエム」まで入っているお買い得の盤である。
この全集のベストファイブを挙げると、
・オイゲン・ヨッフム指揮、ロンドンフィルハーモニック管弦楽団 <EMI>
・ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団 <CBS>
・レナード・バーンステイン指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <EMI>
・サー・エードリアン・ボールト指揮、ロンドンフィルハーモニック管弦楽団、ロンドン交響楽団 <Disky><EMI> 
・ルドルフ・ケンペ指揮、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 <ACANTA>

Dinah sings Previn plays 「ダイナ・シングズ・プレヴィン・プレイズ」

2006年09月30日 | ジャズ&ヴォーカル
とにかくダイナ・ショアの歌のうまさには驚かされる。
ジュディ・ガーランドと並んで飛びぬけた存在だったと思う。
アルバムの中の歌はスタンダード・ナンバーが並んでいて、とにかく楽しめる。
中でもガーシュインの名作「ザ・マン・アイ・ラヴ」は最高だ。
この曲をこれだけ素晴らしく歌った例を他に全く知らないし、ポピュラー歌手であったダイナ・ショアがまさにジャズそのものを歌っている。
のちにクラシックの指揮者に転進したジャズ・ピアニスト、アンドレ・プレヴィン率いるトリオの共演もすごくスイングしているし、絶対に楽しい一枚。
・ダイナ・ショア、アンドレ・プレヴィンのトリオ <Capitol>

とっておきの名盤 その39 R.シュトラウス 「4つの最後の歌」

2006年09月29日 | とっておきの名盤「声楽曲」
とにかく第3曲「眠りにつくとき」の感動的な演奏をどう表現したらよいのだろう。
ゲバントハウスの伝統の重みに満ちた音(特に深みのあるヴァイオリンの独奏の後)をバックに悠揚迫らぬテンポで深々と歌うジエシー・ノーマンの声!
天にも届くばかりの高音の伸びと息の長い情感のこもったその歌声に、私はただただ聴き入るばかりである。
聴いた後の充実した思いは、何ものにも替え難がたい。
これだけでもこの盤は、他のディスクを大きく凌いでしまっている。
この1曲を聴くだけのためにこの盤を購入したとしても、十分に価値のある事と私は思っている。
至福の感動を聴くたびに与えてくれる座右の一枚として、是非お勧めしたい盤である。
あえてこの曲のベストスリーを挙げると、
・ジエシー・ノーマン、クルト・マズア指揮、ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 <PHILIPS>
・エリザベート・シュワルツコップ、ジョージ・セル指揮、ベルリン放送交響楽団 <EMI>
・セーナ・ユリナッチ、マルコム・サージェント指揮、BBC交響楽団 <BBC>

とっておきの名盤 その38 J.S.バッハ ブランデンブルグ協奏曲第5番ニ長調

2006年09月27日 | とっておきの名盤「協奏曲」
たくさんのバッハの曲の中で、真っ先に好きになったのがこの曲。
高校3年の頃だったと思うが、この曲ばかり何度も飽きもせず聴いた記憶がある。
今でもバッハの曲の中で特に好きな曲は何かと聞かれたら、まずその答えの中に必ず入る一曲だ。
ミュンヒンガーはこの曲が好きだったらしく3度にわたって録音しているが、お気に入りのこの盤は2度目の1958年録音のもの。
その演奏は、曲全体を独特の弾力的なリズムで推進し、バッハの力強い音楽的生命力を聴き手にひしひしと感じさせる。
イルムガルト・レヒナーが奏するハープシコードがとても魅力的で、全曲にわたって躍動するその音を聴いているだけでも充実したひと時を過ごせる。
録音も十分に満足できるレベルだ。
詳しい説明は省略するが、この盤に一緒に入っている3番、4番も特筆に価する演奏だと思う。
この曲のベストファイヴを挙げると、
・カール・ミュンヒンガー指揮、シュトゥットガルト室内管弦楽団(1958年録音) <DECCA>
・ヘルムート・コッホ指揮、ベルリン室内管弦楽団 <Berlin Classics>
・カール・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ管弦楽団 <Archiv>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <EMI>
・シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド <Deutsche harmonia mundi>

懐かしき市電(札幌市)

2006年09月27日 | 電車
地下鉄が走ってからもう35年程になるが、高校・大学の頃毎日のように利用していた古き良き市電がまだ一部残っていて、一生懸命走っている姿を見ると何とも懐かしい。
色、形とも昔のままである。
とても懐かしいし、お客さんも結構たくさん乗っていて、これからもずっと走って欲しい電車である。

札幌・積丹

2006年09月27日 | 歴史・旅(国内)
札幌は、高校と大学の7年間を過ごした青春のふるさと。
暑苦しい神奈川から訪れた初秋の札幌は、さわやかで涼しくて空気のおいしい別天地だ。
札幌で本場のラーメン、積丹で新鮮な海鮮料理を満喫!




市内中心にある代表的な観光スポット、大通公園で旬のとうもろこしとジャガイモを味わいながら憩いのひと時をすごす。


 

市の南西にある伏見稲荷神社を散策する。
明治17年に京都伏見稲荷神社の御分神を奉戴、延々と連なる鳥居が印象的。


レンタカーで積丹半島の海岸を快適ドライヴ。
台風13号が一過した後で、濃い群青色の海の色には特別の感動。
ローソク岩の風景。


遠くに留萌方面の海岸がうっすらと浮かぶ。

 
数々の伝説に彩られた絶景のビューポイント、神威岬を訪れる。
時間が無くて見れなかったが、朝焼け、夕焼けの眺めは本当に素晴らしいとのこと。



新監督に期待

2006年09月27日 | 横浜ベイスターズ
ベイスターズ、来年の新監督は大矢氏に!
数日前の新聞のスポーツ欄に、横浜の来期監督に大矢氏が就任との記事が載っていた。
横浜は権藤監督のもと、1998年に38年ぶりの優勝を遂げたが、その要因は前の年迄に優秀な選手の礎を築いた大矢前監督の実績が大だったと私は思っている。
今年は牛島監督のもと若手が大いに成長しているので、来年は何とか優勝の一角を争って欲しい。
「因果は廻る」ということわざもあるし、良い意味で今度は大矢新監督に福の神が是非訪れて欲しいものだ。

とっておきの名盤 その37 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61

2006年09月19日 | とっておきの名盤「協奏曲」
この一枚は、キョン=ファが結婚、出産という女性にとって人生の一大事を経た直後の1989年、アムステルダムで行った演奏会のライヴ録音である。
それだけにこの曲に対する意気込みは凄く、出だしのアインガングからして精神的に高められた真摯な弾きぶりで、聴くものも身が引き締まる思いで一杯になる。
有名な第ニ主題の歌わせ方も魂のこもったもので、その魅力的なメロディーをぐっと引き立たせ、聴くものの心を一層なごやかな気持ちにさせる。
このような状態がこの楽章の最後まで続くのだから、彼女の復帰にかける思いは相当なものだったのだろう。
とっておきの名盤といって良い、聴くものの胸を打つ演奏の一枚である。
テンシュテットの雄渾な伴奏も、キョン=ファの目指すベクトルにあった表現となっていて素晴らしい相乗効果を醸し出している。
この曲のベストファイヴは、
・チョン・キョン=ファ、クラウス・テンシュテット指揮、ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団 <EMI>
・ローラ・ボベスコ、エドガール・ドヌー指揮、ベルギー国立放送新交響楽団 <PHILIPS>
・アイザック・スターン、レナード・バーンステイン指揮、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団 <CBS>
・ヘンリック・シェリング、シュミット=イッセルシュテット指揮、ロンドン交響楽団 <PHILIPS>
・ダヴィット・オイストラフ、アンドレ・クリュイタンス指揮、フランス国立放送局管弦楽団 <EMI>
ボベスコ盤は愛聴盤という観点から私自身の思い入れが強い一枚であり、これも是非聴いて欲しい。

とっておきの名盤 その36 ベートーヴェン ピアノソナタ第30番ホ長調 作品109

2006年09月17日 | とっておきの名盤「器楽曲」
ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の中から、たった一曲そして誰の演奏を選ぶかと問われたら、私は躊躇無くこの一枚を採る。
何故なのかと聞かれても、説明は上手く出来ないし「とにかく聴いてみることだ。」としか云えない。
分散和音を思わせるさりげない出だし、そして晩年のベートーヴェンにして示し得た深みと愛に満ちた変奏曲を、ゆったりとしたテンポで奏でるアラウの深遠なピアノの音を何と説明したら良いのだろう。
81才のアラウ、その淡々と弾くピアノの音が清澄な光彩を放ち、作曲者の純粋な心情と触れ合って何とも感動的な芸術を造り上げているのである。
録音も優秀で、聴いていて目の前でアラウがグランドピアノを悠然と弾いているような錯覚を覚える。
理屈ぬきに素晴らしい。
この曲のベストスリーは、
・クラウディオ・アラウ <PHILIPS>
・ルドルフ・ゼルキン <Grammophon>
・エミール・ギレリス <Grammophon>

さすらい人

2006年09月16日 | 和歌(いにしえの歌人)
風になびく
富士の煙(けぶり)の
空に消えて
ゆくへも知らぬ
わが思ひかな

西行が東国への仏道修行の途上、富士山の勇壮な姿に驚くと共に、漂泊者として噴煙のゆくすえのように頼りない自分の魂を歌ったもの。
その当時富士山には噴煙がたなびいていたのだと思うと何か不思議な気がする。
シューベルトの「さすらい人幻想曲」の旋律が、さっと頭の中をよぎった。

とっておきの名盤 その35 ブルックナー 交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」

2006年09月16日 | とっておきの名盤「交響曲」
ザンテルリンクは晩年になるにつれて円熟を迎え、多くの名演奏を残しているが、この演奏は1963年というからモスクワへの長い亡命から故国に戻った直後、ちょうど50才の時のものである。
覇気に溢れた演奏で、この曲の出だしのメロディーから芯のある強めの音でブルックナーのメロディーを堂々と奏でていく。
この曲の最後まで聴き手をぐいぐいと引っ張っていくその手腕には驚かされる。
ブルックナーの曲は長いので全曲を飽きずに通して聴くのはなかなか大変だが、この曲を最後まで深い感銘を伴って聴くことが出来たのは唯一この盤だけである。
お勧めの隠れた名盤である。
この曲のベスト・スリーは、
・クルト・ザンテルリンク指揮、ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 <BERLIN CLASSICS>
・オイゲン・ヨッフム指揮、シュターツカペレ・ドレスデン <EMI>
・朝比奈 隆 指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 <CANYON>

とっておきの名盤 その34 R.シュトラウス 歌曲集

2006年09月14日 | とっておきの名盤「声楽曲」
R.シュトラウスの歌唱では全盛時に絶賛をあびたスイスの名ソプラノ、リーザ・デラ・カーザが歌ったこの歌曲集は、私が是非取り上げたい愛聴盤のひとつだ。
その要因のひとつが、彼女の類まれなる容姿と美貌にもかなりあるのだが。
それと多くの作曲家の歌曲の中では、R.シュトラウスとシューマンのものを私がとりわけ好きな事もその要因のひとつだ。
R.シュトラウスの歌曲は初期の作品を私は特に好む、そして初期のものに上れば上るほど、駄作が無いのも珍しい。
彼女の歌は、この作曲家と相性が良いだけに聴いているだけで楽しいし、この盤は初期の作品を多く含んでいるので是非お勧めしたい一枚である。
この作曲家の歌曲集のベスト・スリーは、
・リーザ・デラ・カーザ、サンドール<Pf> <eurodisc>
・ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ、ジェラルド・ムーア<Pf> <EMI>
・ヒルデ・ギューデン、フリードリッヒ・グルダ<Pf> <LONDON>
番外として、不世出の名歌手ハインリッヒ・シュルスヌスが歌う「献呈」を含む隠れた名盤を挙げたい。
・「歴史的名歌手によるR.シュトラウス歌曲名曲選」 <ACANTA>

とっておきの名盤 その33 チャイコフスキー バレエ音楽「眠りの森の美女」 作品66

2006年09月12日 | とっておきの名盤「管弦楽曲」
この曲はチャイコフスキーの3大バレエ音楽の中でも、最も交響的な性格を持った作品とされている。
特に第2幕後半の音楽は、チャイコフスキー独特の叙情的な音楽に満ち溢れ、聴くものに何とも魅惑的な安らぎの時間を与えてくれる。
随所にハープに導かれて出てくる「リラの精の主題」の夢幻的な美しさが印象的だ。
この盤を指揮するドラティは、若い頃に実際の舞台で数多くのバレエ音楽を指揮し絶賛を浴びているだけに、何よりもリズム処理がうまいのに驚く。
「バレエ音楽の神様」といわれただけの事はある。
弦、管、そして打楽器などさまざまの楽器が奏でる魅力的な音色、響きにじっくりと浸りたい時は、いつも無意識的にこの盤に手が行ってしまう。
とにかくオーケストラが抜群にうまい、録音も最優秀といえるしこの曲に関しては、この盤がベストと思う。
この盤があまりにも気に入っているので、他の演奏のCDは手元に一切無い程だ。
・アンタル・ドラティ指揮、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団

とっておきの名盤 その32 R.ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」

2006年09月09日 | とっておきの名盤「オペラ」
45年ほど昔になるがクラシック音楽が好きになって、すぐに夢中になったのがワーグナーの歌劇「タンホイザー」の入場行進曲で、小遣いをはたいて手に入れたEP盤をほとんど擦り切れるまでに聴いた思い出がある。
年末にはNHKからラジオ放送されるその年のバイロイト音楽祭演奏を、ほとんど徹夜状態で聴いたものである。
いわゆるワグネリアン中毒症状だ。
ところで、ここで挙げるとっておきの名盤は、ワーグナーの代表作である楽劇「トリスタンとイゾルデ」で、1966年というから今から40年前のバイロイト音楽祭の伝説的名演である。
指揮はライヴで最も燃えるベーム、トリスタンは最高のワーグナーテノールであったヴィントガッセン、イゾルデが不世出のドラマティック・ソプラノといえるニルソン、そして脇を固めるのが私の好きな歌手であるヴェヒター、ルートヴィッヒで完璧と云っていい布陣である。
そして舞台は、今や伝説的なものとなっている印象的なバイロイトの舞台を繰り広げた天才的な演出家ヴィーラント・ワーグナーのもの。
この曲の第2幕第2場は今までで私が最も夢中になって聴いた音楽で、延々と続く主役二人の情熱的な愛の呼びかけ、有名な「おお、降り来よ、愛の夜で始まる二重唱」の陶酔的な高まりに何度浸ったことだろう。
ここでのニルソンの歌は彼女自身最高の歌唱で、他の誰がこれに換わる歌を歌えるだろうかと思うほどである。
残念だが、私にはどうしてもこれ以上のここで伝えたい表現の言葉が出てこない。
録音は立派な音で捉えられていて、ライヴの一番の良さである臨場感を十分に感じさせてくれる。
この曲のとっておきの名盤は、とにかくこの演奏につきる。
・カール・ベーム指揮、バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団、ヴォルフガング・ヴィントガッセン、ビルギット・ニルソン、エーバーハルト・ヴェヒター、クリスタ・ルートヴィッヒ他 <Grammophon>
しいて他にあげられるのは、歴史的名盤といわれるフルトヴェングラー指揮の盤だけである。
・ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団、コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団、ルートヴィッヒ・ズートハウス、キルステン・フラグスタート、ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ他 <EMI>