クラシック 名盤探訪

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高麗の郷を歩く~高麗神社から巾着田へ

2011年10月23日 | ウォーキング
コース順路:コース満足度★★★★★ 9月23日
JR八高線高麗川駅 → 高麗家住宅 → 高麗神社 → 聖天院 → 巾着田 → 西武秩父線高麗駅

現在の埼玉県日高市高麗川(昔の高麗郷)は、多くの高句麗の渡来人が居住したところで、「続日本記」霊亀二年(716)五月十六日の条には、駿河・甲斐・相模・上総・下総・常陸・下野の七か国にいる高麗人千七百九十九人を武蔵国に移住させ、初めて高麗郡を置いた・・・との記述がある。
そんな高句麗の人々が居住した面影が残る地を訪ねたい思いに駆られ、高麗川の駅に降り立った。

高麗神社の手前を流れる高麗川に架かる橋は、出世橋と名付けられている。
浜口雄幸、若槻礼次郎、齋藤実、幣原喜重郎、そして鳩山一郎などの首相が、この神社にお参りをしたらしい。
高麗神社の祭神は、高麗王若光・猿田彦命・竹内宿禰の三神が祀られているが、やはり中心になるのは若光で、「続日本紀」大宝三年(703)四月の条に、從五位下の位にある高麗若光に王(こきし)の姓が与えられた・・・とあるから、首長として高麗の郷を立派に治める力があったに違いない。
故郷の地に似た高麗の郷を居住地として選び、東国に分散していた高麗の人々を集めて暮らしたいと天皇に提言したのも、彼だったのではないかと思う。
 

666年に外交使節として飛鳥にやってきた若光達だが、2年後には高句麗は唐と新羅の連合軍に滅ぼされて、帰る国を失ってしまう。
その後、彼は船で太平洋を東に進み、東国の相模湾から今でも高麗の地名が残る大磯町に上陸する。
北陸(越)から長野、山梨を経て関東平野には古くから高句麗の文化が伝えられていたし、長野県に多数見つかる高句麗式の墳墓、山梨に残る巨摩の地名などは決して偶然ではないはず。
高麗神社の脇には、この神社に訪れた韓流スターのチェ・スジョン<大祚榮・海神・太祖王建>、ソン・イルグク<朱蒙・風の国>、キム・ナムギル<善徳女王>の手形が置かれている。
参道の脇には、李王朝最後の皇太子であった李垠、李方子殿下御手植えの木がかなりの大きさになっている。
 

神社のすぐ裏にある高麗家住宅は代々高麗神社の神職を勤めてきた高麗家の旧宅で、本家だけが高麗を名乗っている。
入母屋造の屋根が特徴的で、建築年代は慶長年間(1596~1615)と伝えられている。
 

すぐ近くの高麗山聖天院勝楽寺は高麗王若光の菩提を弔うため、王の侍念僧勝楽と弟子が開いたとされるお寺で、本尊は王の守護仏であった聖天尊(歓喜天)となっている。
山門の前には将軍標が置かれているが、これは農村の入口などに建てられる魔除けで「天下大将軍」と「地下女将軍」が対になっており、「天下」と「地下」は目に見える世界から見えない世界まですべてを守ることを示している。
この寺にある釣鐘は、鋳物師の集団として有名な物部師一族・物部季重の鋳造になるもので、一見の価値がある。
 

山門を入った右には、純然たる朝鮮様式の多重塔だという高麗王若光の墓があり、訪れる人々が熱心にお祈りを捧げている。
寺の裏山を少し進むと広場があり、そこに伝説上の古朝鮮初代王・壇君をはじめ、好太王碑で有名な広開土大王、太宗武烈王<金春秋>など、韓国歴史上の有名人の石像が並べられているのが面白い。
 

日本一の曼珠沙華の名所として知られる巾着田は、高麗川が蛇行して形成した自然の地形だが、北側の日和田山から見ると巾着のような形をしていることから、そう呼ばれているとのこと。
訪れた日がお彼岸だったせいか巾着田は人々がいっぱいで、人波をかき分けての彼岸花鑑賞となってしまった。
  
日高市、高麗神社から聖天院へ
「古代朝鮮日本文化」「日本の中の朝鮮文化」

この曲この一枚 その25 エリノア・スティーバーの魅力(2):イン・コンサート(1956~1958)

2011年10月06日 | この曲この一枚
 
1958年10月10日にカーネギーホールで行ったエレノア・スティーバーのリサイタル、大好きな彼女の歌唱が思ったよりも良い音で収録されているこのCDは、私にとってはとても貴重なもの。
ピアノ伴奏なのが残念だが、R.シュトラウスの楽劇「影のない女」第一幕と二幕からの二つの場面を歌う彼女が特に素晴らしい。
「作曲者が求める曲の表現はまさしくこれだったんだ」と素直にその良さを聴く者に感じさせるのは難しいが、それをすんなりとやってのけるのに感心する。
歌った後の観衆の拍手も録音されているが、これが素晴らしい称賛の拍手でもって彼女の演奏を称えているのが嬉しい。
ヴェルディ「エルナーニ」のアリアで感じることは、彼女がリサイタルという場でアリア一曲を歌うことが「ひとつのシーンを持ちこたえて舞台そのものを感じさせるということ」・・・これはそう誰にでも出来ることではないと思う。
アンコールでのプッチーニに寄せる観衆の拍手は感動そのものの表現だし、とにかく「この曲この一枚」としてぜひ耳にしてほしいアルバム。
・エリノア・スティーバー<S>、エドウィン・ビルチリッフエ<P> <VAIA>
この曲この一枚 その12 エリノア・スティーバーの魅力(いくつかのアルバムから)
とっておきの名盤 その67 プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」
とっておきの名盤 その8 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」