クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

バド・パウエル ”イン・パリ”

2006年11月30日 | ジャズ&ヴォーカル
とにかくピアノがスイングする。
そんな表現が使いたくなるほどパウエルのピアノは歌う。
しかもそれがジャズそのものを心底から感じさせるのだから恐れ入る。
とにかく、まずは「ディア・オールド・ストックホルム」を聴いてくれと言いたい。
こんなにくつろいだ不雰囲気を味合わせてくれる一曲もそうあるものではない。
エヴァンスが静だとすれば、パウエルは動、どちらもジャズの真髄を聴かせてくれる。
今日は動のひと時を過ごしたい気持ちでいる。
「ボデイ・アンド・ソウル」、「サテン・ドール」の素晴らしさもとっておきのもの。
・バド・パウエル<Pf>、ギルバート・ロバー<b>、カール・ドンネル<ds> <Prestage>

とっておきの名盤 その59 ショパン ノクターン集

2006年11月25日 | とっておきの名盤「器楽曲」
1977年、アラウ74歳の年から2年に亘っての録音。
アラウはリストの直弟子、名教師クラウゼに5年間みっちり師事し、19世紀のピアノ音楽の伝統をしっかりと受け継いだ正統派のピアニスト。
ベートーヴェンはもちろん、モーツアルトも素晴らしい演奏をするが、ショパンがそれに引けをとらず魅力的というのも面白い。
短い生涯だったショパンのノクターンは彼の特徴が最もよく出た分野、まず歌そのものといってよい旋律、その中に込められた繊細な感情、やるせない気持ちの表出など青春の想いそのもの。
それをアラウはみずみずしく浪々と音楽的に歌わせる、絶妙なルパートと時々垣間見る楽天的な明るさは彼のラテン系の血の表れかも知れない。
この盤を聴き始めると、何とも聴き手の心を魅了する演奏が次から次と続く。
ノクターン集の曲を愛聴する順に並べると、第8番変ニ長調、第5番嬰ヘ長調、第13番ハ短調、第1番変ロ短調、第2番変ホ長調、第19番ホ短調・・・となる。
録音はピアノの音をしっかりと捉えた素晴らしいもので、微塵の不満も無い。
この曲のベストスリーは、
・クラウディオ・アラウ<Pf> <Philips>
・マリア・ジョアオ・ピリス<Pf> <Grammophon>
・サンソン・フランソワ<Pf> <EMI>

とっておきの名盤 その58 モーツアルト ピアノ協奏曲第26番ニ長調「戴冠式」 KV537

2006年11月23日 | とっておきの名盤「協奏曲」
かつてグルダ、バドウラ=スコダ、デームスの3人は、ウィーン三羽烏と呼ばれていた。
その後、生ぬるい伝統的な演奏には飽き足らず、その中から真っ先に飛び出したのはグルダだった。
モーツアルトのソナタでのユニークな解釈など、評論家を賑わしたのが思い出深い。
この盤は、これも信念を持って画然たる指揮をするアーノンクールとの組み合わせ、面白くないはずが無い。
昔からこの曲、特に第一楽章が好きでいろいろの演奏を聴いてきたが、中々これはという名盤に巡り合う事が無かった。
それだけに、この盤を聴いたときの両者の新鮮な解釈に驚くと共に、やっと名盤に巡りあえた喜びはひとしおのものがあった。
特に第一楽章はその際たるもので、随所に渡ってモーツアルトの美しい旋律が、絶妙な強弱のアクセントを利かせて聴き手に不意打ちの時めきを味あわせてくれる。
聴きはじめてから少し後に始まる弦の掛け合いの箇所などは美しさの極み。
その中をグルダのピアノが絶妙のタッチで縦横無尽に走り回る楽しげな具合が何ともいえない。
目の前でモーツアルト自身が弾いている様な錯覚を覚えるほど。
これに限っては他の盤を推す気にはなれないし、それこそ絶対のお勧めの一枚。
ピアノそしてバックの音も実に自然で、音楽そのものを感じさせる録音の優秀さも際立っている。
・フリードリッヒ・グルダ<Pf>、ニコラウス・アーノンクール指揮、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団 <TELDEC>

WALTZ FOR DEBBY 「ワルツ・フォー・デビー」

2006年11月20日 | ジャズ&ヴォーカル
この盤はまずジャケットのセンスの良さに惹かれる。
そしてセッテルンドとビルエヴァンスの組み合わせも魅力的ということで、ジャズヴォーカル・ファンならきっと購入する一枚。
彼女が自国のスエーデン語で歌っている曲もあるせいか、聴いているとヨーロピアン・ジャズと言っていいような雰囲気に浸りきっている自分に気づく。
エヴァンスのピアノのしっとりとした音と若々しいセットルンドの歌がぴったりとマッチしていて、すがすがしい雰囲気を作り出しているのが何ともいえない。
特に好きなのは、スタンダード・ナンバーで「サム・アザー・タイム」、「カム・レイン・オア・カム・シャイン」、「ワンス・アポン・ア・サマータイム」など。
落ち着いた雰囲気の大人向けの一枚。
・モニカ・セッテルンド<Vo>、ビルエヴァンス<P>、チャック・イスラエル<b>、ラリー・バンカー<ds> <PHILIPS>

i-PODの楽しみ(その1)

2006年11月19日 | 音楽と絵画、iPodなど
i-Podの楽しみ方を初心者にも分かりやすく教えてくれるホームページ、「i-Podであそぼう」には、いつも感謝の気持ちで一杯。
このページでi-Podの使い方、楽しみ方をどんなに教わったことか、感謝!感謝!
プレイリストの面白い利用法とか、シャッフル機能で不意打ちのよう現れる素敵な旋律などなど、魅力ある記事が満載。
このページは、糸井重里氏の人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」のカラムのひとつになっている。
i-Podファンの方は、是非覗いて欲しいページ。
i-Podであそぼう
別にこのページの宣伝が目的ではない、i-Podの楽しみ方を書こうとしたらこんな記事になってしまった。

とっておきの名盤 その57 ぺぺ・ロメロ / ギター・アルバム

2006年11月17日 | とっておきの名盤「器楽曲」
この盤は、ギターの名品が網羅された楽しい一枚。
中でも、ソルの「魔笛の主題による序奏と変奏曲」は、出だしの哀愁に満ちた序奏とギターの特色を生かした変奏曲が魅力的だし、タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」は、憂いに満ちた詩にまで高められたトレモロの技法が一度聴いたら忘れられない。
この盤を聴いていると、スペインに旅したい気持ちで一杯になるのが不思議だ。
スペインに行くなら、アルハンブラ宮殿とセゴヴィアの旅がベストだと思う。
詩情あふれるタレガの曲が宮殿の美しい情景と重なるし、ソルの曲はセゴヴィアのしっとりとした田園の風景と映画「白雪姫」のモデルとなったお菓子のようなアルカサル城を思い起こさせる。
ロメロのギターは情熱的でしかも男性的な指の運びが印象的、この盤に収められた名品を分かり易く聴かせてくれる。
録音もギターの爪弾きを、鮮やかに表出していて優秀。
・ペペ・ロメロ(ギター) <PHILIPS>

とっておきの名盤 その56 プッチーニ 歌劇「マノン・レスコー」

2006年11月15日 | とっておきの名盤「オペラ」
プッチーニは理屈ぬきに私の好きな作曲家の一人で、愛聴する順に作品を挙げると「ボエーム」「トゥーランドット」「マノン・レスコー」「蝶々夫人」「トスカ」・・・となる。
「マノン・レスコー」はプッチーニの出世作となった作品で、次に彼の最高傑作であり私の最も溺愛する「ボエーム」の初演が3年後に続く。
「マノン・レスコー」は良くも悪くも、後のプッチーニの音楽の特長が全て出揃ったオペラだけに興味深い作品。
聴き始めると、全編に亘るプッチーニの若さと新鮮味に溢れた意欲的な音楽は、終わりまで私の耳を捉えて離さない。
昔、TVのコマーシャルで第2幕冒頭でマノンが歌う「華やかに着飾っても」を流していた事があった。
その歌唱が素晴らしく、歌手の名前を知りたかったがとうとう分からずじまい、新しい盤を聴くたびにもしかと期待するが未だに逢えないでいる。
このオペラの演奏では、要所を押さえ躍動的に指揮するバルトレッティ、若さに溢れた絶頂期の頃のカバリエとドミンゴ、さらに録音が優秀と3拍子が見事に揃ったこの盤がベストの演奏だ。
この盤だけあれば十分だが、あえてベストスリーを挙げると、
・ブルーノ・バルトレッティ指揮、ニューフィルハーモニア管弦楽団、モンセラ・カバリエ<Sp>、プラシド・ドミンゴ<T> <EMI>
・フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ指揮、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、レナータ・テバルデイ<Sp>、マリオ・デル・モナコ<T> <LONDON>
・リッカルド・シャイー指揮、ボローニャ市立歌劇場管弦楽団、キリ・テ・カナワ<Sp>、ホセ・カレーラス<T> <DECCA>

とっておきの名盤 その55 モーツアルト ディヴェルティメント 変ホ長調 K563

2006年11月14日 | とっておきの名盤「室内楽曲」
モーツアルトの名前にあやかった四重奏団のメンバーによる至福の一枚を、生誕250年の年に紹介できるのは何とも嬉しい気持ちだ。
この曲は有名な3大交響曲を仕上げた一ヵ月半後に生み出されたもので、編成こそ三重奏と小さいが、その落ち着いた透明な美しさには驚かされる。
通常の名作リストには殆ど載らないものの、知る人ぞ知るモーツアルトの傑作で、数ある室内楽曲の中でも私が特別に愛聴する秘蔵の曲。
表現が大げさになってしまうが、この曲を聴くたび比類の無いその澄んだ響きと透明な美しさは、埃にまみれた私の心を芯から清めてくれる。
特に第1楽章と最後の第6楽章の美しさは何と表現したらよいのか、とても言葉では表しきれない程で、とにかくこのジャンルに於ける天才の最後の輝きに満ちた響きに、ただ私は浸るのみ。
アマデウス四重奏団のメンバーはこの曲の神髄を絶妙な表現で捉えており、とっておきの名盤にふさわしい演奏を展開している。
他にはグリュミオー・トリオによるものが良い。
・ノーティンバート・ブレイニン<Vn>、ピーター・シドロフ<Va>、マーティン・ロヴェット<Vc>(アマデウス弦楽四重奏団) <Grammophon>
・グリュミオー・トリオ <PHILIPS>

とっておきの名盤 その54 「日本のうた」

2006年11月11日 | とっておきの名盤「声楽曲」
この盤は1984年録音、彼女のデビュー・アルバム。
私が彼女の存在を知ったのは、1979年に歌劇「ローエングリン」を聴きに行ったときのこと、そのエルザの魅力的な歌唱に深く聴き入った思い出がある。
その後、これが発売されたときの評論家や、音楽愛好者の絶賛は大変なものであった。
私もその時、早速この盤を購入して聴いたわけだが、今までの”日本のうた”には無かった実に自然な声、情感溢れる歌い方には本当に目からうろこが落ちる思いがした。
昔懐かしき故郷を音で訪ねる一枚として、日本人なら是非聴いて欲しいものである。
お持ちで無い方は座右に置くべき一枚として、中古CDショップを巡ってでもジャケットのデザインが秀逸なこのオリジナル・アルバムを求めて欲しい。
録音も彼女の声、そしてピアノの音を実に自然な響きで捉えていて、出色な出来である。
・鮫島有美子<Sp>、ヘルムート・ドイチェ<P> <DENON>

’FOUR’&MORE 「フォア・アンド・モア」

2006年11月09日 | ジャズ&ヴォーカル
この盤は「ジャズとはこういうものなんだ!」ということを、有無を言わせず聴き手に教えてくれる一枚。
ジャズの真髄とは何か、ということを深く体感させてくれる一枚。
マイルスを中心とするクインテットの最高に熱の入ったライヴの傑作で、一曲目の熱い「SO WHAT]を聴くや否や、定盤とされる”Kind of Blue "の同曲のふやけた演奏は何だったんだと思うはず。
最後の曲など、マイルスが聴衆に訴えたかった熱いメッセージがそのままタイトルになっている、「There is No Greater Love ~ Go Go」(Theme and Announcement)。
とにかく、聴き始めるとあっというまに最後の曲まで聴きとおしてしまう、最高にテンションの高い一枚だ。
1964年2月、ニューヨークフィルハーモニック・ホールでのライヴ録音。
・マイルス・デイビス<tp>、ジョージ・コールマン<ts>、ハービー・ハンコック<p>、ロン・カーター<b>、トニー・ウイリアムス<ds> <CBSSONY>

日高市、高麗神社から聖天院へ

2006年11月07日 | ウォーキング
埼玉県日高市
コース順路:コース満足度★★★★
高麗川駅 → 高麗神社 → 聖天院 →野々村神社 → 高麗川駅

今回の散策は前回の大磯ウォーキングの延長で、その時の記事を載せると、
「高句麗からの渡来人、高麗王若光を中心とする集団が大磯に住みつき、後に武蔵に移るわけだが、残された人達が若光を祭神とする氏神として造ったのが高麗神社の由来。
ここを訪れたからには武蔵(日高市)の高麗神社も訪れないわけにはいかなくなった。」。

八王子で乗換えが混雑して目前で電車が無情にも発車、次の便まで40分程待たされ、やっと高麗川駅に向かう。

高麗川駅から徒歩20分程で、高麗川を渡りすぐ先の高麗神社を訪れる。
高句麗渡来人の里は以下の由来による、
「続日本紀」716年の霊亀二年五月条にみられる記事、「辛卯<16日>駿河、甲斐、相模、上総、下総、常陸、下野七国の高麗人1799人を以って武蔵国に遷し、始めて高麗郡を置く」。


高麗神社本殿、高麗郡の長であった高麗王若光を祭っている。
1300年ほど前の創建だから、相当由緒のある神社だ。


高麗神社の呼び名は、もともとは高句麗神社だった。
本殿の額を見ると、高麗の字の間に「句」が小さく刻んである。


丘沿いのすぐ先に、高麗王若光の菩提寺である聖天院を訪れる。
高台にある本殿を望む庭の造りは、かなり手が行き届いている。


立派な本殿、その広大な境内からの高麗郷の眺めは素晴らしい。


高麗王廟、覆屋の中に若光の墓とされる石塔がある。


帰りは、高麗神社よりも旧いとされる野々宮神社に立ち寄り高麗川駅へ向かう。
充実した歴史散策の一日だった。
今回は訪れることが出来なかったが、秋には彼岸花(曼珠沙華)が一面に咲き誇る巾着田も是非コースの中に加えたい。

とっておきの名盤 その53 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」作品67

2006年11月04日 | とっておきの名盤「交響曲」
クライバーは限られた曲しか演奏しなかった。
ベートーヴェンは4番、5番と7番のみ。
気難しい指揮者だが、取り上げた曲はどれも図抜けた演奏を成し遂げるというユニークな存在だった。
「運命」の一枚もそれを証明するかのような見事な演奏。
速いテンポで緊迫感をもって奏する運命の動機、その切迫したような表現に思わず息を呑んで聴き入ってしまう。
4楽章まで一気に聴かせる推進力と全編に亘る躍動感に圧倒される。
熟練さとか老練さとは無縁の演奏で、聴くたびに新鮮さを感じさせる若者向けの一枚といえる。
ベストファイヴを挙げる、上位3枚は同列としたい。
・カルロス・クライバー指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <EMI>
・宇野功芳指揮、アンサンブルSakura <FONTEC>
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ヘッセン放送交響楽団、1962年 <TAHRA>
・ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、1947年 <Grammophon>

とっておきの名盤 その52 ブラームス ヴァイオリン協奏曲ニ長調

2006年11月02日 | とっておきの名盤「協奏曲」
グリュミオーが演奏したこの一枚は、隠れた名盤だ。
通常、ヌヴーの歴史的演奏がまず取り上げられ、グリュミオーの一枚が話に乗ることはほとんど無い。
しかし、この演奏に耳を傾けるや否や、デーヴィス指揮するオーケストラの堂々とした出だしの広がり、そのブラームス特有の憂いに満ちた名旋律が、しみじみと私の胸を打つ。
その後の絶妙なヴァイオリンの出だし、とにかくひたすら歌わせるグリュミオーの表現が、思った以上にブラームスの叙情的な曲調に合っている。
お勧めの一枚である。
ヌヴーの一枚は、今や神格化されている名演で、別格的な存在。
30歳の若さを飛行機事故で散らしたヌヴーに、今更ながら哀悼の意を捧げたい。
この曲のベストファイヴを以下に挙げる、
・アルチュール・グリュミオー、サー・コーリン・デーヴィス指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <PHILIPS>
・ジャネット・ヌヴー、ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮、北ドイツ放送交響楽団 <PHILIPS>
・ミシェル・オークレール、ウイレム・ファン・オッテルロー指揮、ウィーン交響楽団 <PHILIPS>
・ダヴィット・オイストラフ、ジョージ・セル指揮、クリーヴランド管弦楽団 <EMI>
・ダヴィット・オイストラフ、オットー・クレンペラー指揮、フランス国立放送局管弦楽団 <EMI>