長年にわたって聴き続けてきた特別な盤、そんなとっておきの名盤の紹介も”その149”で終わりを告げていたが、どうしてもその仲間に加えたい新たな一枚が出てきたのは嬉しい。
大好きなブルックナーの8番、それも初稿(1887年の第一稿)を現役バリバリの女流指揮者シモーネ・ヤングが指揮したもの。
初稿はブルックナーの生前には演奏された記録がないので、それをCDで容易に聴けるのだから、今は作曲者には申し訳ないとしか言いようがない。
指揮をしているシモーネ・ヤングは、1961年のオーストラリア・シドニー生まれというからまだ49歳の若さだ。
しかしその演奏は、このブログでも紹介してきた名盤と比べても何の遜色もない素晴らしいもの。
好きな第3楽章での繊細に表情付けられた美しい主題の調べ、そして女流指揮者の演奏とは思えないクライマックスでの重厚な響きなど、全編にわたって偽りのない音楽そのものを聴かせてくれる。
初稿という魅力に加え、175年以上にわたってハンザ都市の響きをになっているハンブルグのオーケストラの力量も大いにこの盤の魅力を引き立たせている。
とにかく聴いてみると、当方があえてとっておきの名盤に加える訳が理解できると思う。
ぜひ聴いてみて欲しい一枚。
・シモーネ・ヤング指揮、ハンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団 <OEHMS>
・ルドルフ・ケンペ指揮、チューリッヒ・トーンハーレ管弦楽団 <SOMM>
・オトマール・スウィトナー指揮、シュターツカペレ・ベルリン <Berlin Classics>
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ミュンヘン・フイルハーモニー管弦楽団 <Westminster>
・カール・シューリヒト指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団 <EMI>
・カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
知られざる銘盤として、
・ホーレンシュタイン指揮、ウイーン・プロムジカ管弦楽団、1950年代の演奏<VOX>