クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

とっておきの名盤 その73 ベートーヴェン ピアノソナタ第21番ハ長調「ワルトシュタイン」作品53

2007年01月29日 | とっておきの名盤「器楽曲」
1970年代のポリーニとアルゲリッチは精力的な録音活動を繰り返し、レコード会社は競うようにその新譜を出した。
毎月の音楽雑誌では必ず特選盤となり、レコード店も大々的な宣伝をする。
そのせいか、私はどれだけ二人のCDを買わされたことか。
レコード会社は傑出したアーティストを見出し全力を挙げて売り込む、評論家はとにかく闇雲に雑誌等で絶賛する、悪く言うとその巧妙な商業主義に上手く乗せられていた買い手の一人が私だったということ。
とにかく、当時はよく買いよく聴いたという思いをここに書いているだけで、後悔とか非難とか他意は何もない。
当時購入したポリーニのベートーヴェンの後期の3大ピアノソナタ、評論家は絶賛していたが、何故か何度聴いても面白くない。
そう云うことがあったりしたせいか、その後ポリーニのCDを殆ど買わない時期が続いた。
この盤は1997年ポリーニが55歳の時の録音、ひょっとした切っ掛けで購入したのだが、確実にポリーには成長を続けていた。
この演奏は、前進力というか突進力というかポリーニの強い気概にまず驚かされる。
強い精神力で弾く音の一つ一つの輝きは、信じがたいほどの光を放って聴き手の心の中に染み入る。
「ワルトシュタイン」の最終楽章をこんな思いで聴いたのはとにかく初めて。
とにかくいいものはいいのだ、自分の耳を信じるのが一番というのがとっておきの名盤を見極める秘訣だと思う。
この盤のベストファイヴをあげると、
・マウリツィオ・ポリーニ <Grammophon>
・クラウディオ・アラウ <PHILIPS>
・エミール・ギレリス <Grammophon>
・ウイルヘルム・ケンプ <Grammophon>
・なし

とっておきの名盤 その72 モーツアルト ピアノ協奏曲第9番変ホ長調「ジュノム」K.271

2007年01月25日 | とっておきの名盤「協奏曲」
私の愛読書のひとつに「モーツアルトのいる部屋」という本がある。
著者の井上太郎氏は、中央公論社で宮脇俊三氏とともに「モーツアルト大全集」を企画担当された方で、モーツアルトをこよなく愛してやまない人。
七百曲に近いモーツアルトの作品の一つ一つを生涯の軌跡と併せて丁寧に説いていて、私はこの本からその知られざる名曲の数々をどんなに教えられたことか、本当に感謝の念に耐えない。
この曲は1777年、モーツアルト21歳の若書の傑作で井上氏の本にはこうある。
「この曲はいろいろな点で型破り・・・冒頭からピアノのソロが開始される・・・これ以後のモーツアルトの協奏曲でも一度もない・・・第二楽章が短調なのもこのジャンルの曲では初めて・・・開始のカノンに続く悲痛な弦の嘆きの歌の後、ゆったりと登場するピアノの新しい主題の背後に、運命の厳粛な歩みを思わせる冒頭のカノンが、影のように流れてゆくあたりの素晴らしさは、モーツアルトといえども二度と書けなかったものではなかろうか・・・この曲のフィナーレは聴き手の意表を衝き次々と無限の世界へと誘っていく・・・私の愛してやまない曲である」。
私も全く同感だし、この見事な文章を読んでこの曲を聴きたいと思う人はきっと沢山いるはず。
この盤での78歳のゼルキン、モーツアルトのこの曲にかける思いというものを、全体にゆったりとしたテンポで淡々と聴くものに訴えている。
アバドの伴奏とともに、全く自然体の表現なのがとにかく素晴らしい。
録音も、ふくよかな管の響きと奥の深いピアノの音色の変化を見事に捉えている。
是非聴いて欲しい、とっておきの愛聴盤。
あえてこの曲のベストスリーをあげると、
・ルドルフ・ゼルキン、クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団 <Grammophon>
・リリー・クラウス、ヴィクトル・デザルツエンス指揮、ウィーン国立歌劇場管弦楽団 <不明>
・なし

九品仏浄真寺から等々力渓谷へ

2007年01月20日 | ウォーキング
コース順路:コース満足度★★★★
九品仏駅(東急大井線)→九品仏浄真寺→玉川神社→満願寺→等々力渓谷→野毛大塚古墳→上野毛自然公園→五島美術館→上野毛駅

このコース、まずは信心深く神社仏閣で参拝、次に武蔵野の面影が残る渓谷を快適に散策、いにしえの古墳を見たと思ったら最後は美術鑑賞とまことに欲の深い散歩道。

まずは、九品仏(くほんぶつ)駅で下車、目の前にある参道を進むと駅名にも由来する山門の造りからして立派な敷地の広い寺がある。
本堂に相対して三仏堂(下品、上品、中品堂)が並び、それぞれに大きな阿弥陀如来像が3体安置されている。
そのため寺の名が九品仏浄真寺と呼ばれている。
  

三重塔、インドのアショカ王が世界へまいた八万四千の石塔のひとつだそうである。


ぶどう園がある通りをとどろき駅の方向に進むと、村の鎮守として信仰されていた玉川神社があり、そこで毎度ながら二礼二拍一礼。


満願寺、初めて知ったのだが江戸時代中期の陽明学者で書家としても高名だった細井広沢の菩提寺とのこと。
山門の額字は広沢の手になる立派なもの。


武蔵野台地が侵食されて出来た等々力渓谷が一キロほど続く、歩いていると緑の季節の素晴らさが偲ばれる。
突き当たりに修行中の若き弘法大師を奉った等々力不動がある。
説明の立て札に「密教で智慧とは、人生の困難事の際の決断力であり、そのためにいろいろな知識を養う」というような意味のことが書いてあり、その含蓄のある教えに感心。
  

渓谷を出て少し歩くと大きな古墳にたどり着く。
4~5世紀に造られたかなり大きな古墳で、じっと見ていると何か古代の昔にタイムスリップした思いに駆られる。


坂道を登るとここは上野毛公園、桜の季節は素晴らしいと思われるが寒風の吹く今は何も無い。


残念ながら、すぐ近くにある東洋の古美術が充実している五島美術館は時間の都合でスキップとなってしまった。

全体的に内容に変化のある散歩道に満足、足取りも軽く上野毛駅に向かう。

とっておきの名盤 その71 R・シュトラウス 交響詩 「死と浄化」 作品24

2007年01月16日 | とっておきの名盤「管弦楽曲」
ホーレンシュタインは私の敬愛する指揮者の一人で、マーラー、ブルックナー等の作品で中身の濃い立派な演奏を繰り広げてくれた。
1899年ウクライナのキエフに生まれたが、母親はオーストリア人。
六歳の時にはロシアを去り、マーラーの影響がまだ残っていたウィーンで音楽を学び、その後ベルリンでフルトヴェングラーの助手を努めている。
ナチスの迫害を逃れドイツを離れたこともあり、彼ほど世界各地を転々と回り、1973年に亡くなるまで多彩な指揮活動をした指揮者も珍しい。
この盤を録音したのは1970年だから相当晩年の演奏、ゆったりとしたテンポの中、この曲が描く生と死の闘いを意味深い響きと色彩の妙をもって聴き手の心に伝えてくれる。
ホレーンシュタインの貴重なステレオ録音を残してくれたシャンドスレーベルには感謝の念で一杯。
音質、演奏とも中身の濃い盤をいつも提供してくれるこのレーベルの質の高さにはいつも感心させられる。
この曲のベストファイヴの演奏は、
・ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮、ロンドン交響楽団 <Chandos>
・ルドルフ・ケンペ指揮、ドレスデンシュターツカペレ <EMI>
・フリッツ・ライナー指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <DECCA>
・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>

Lullabys of Birdland 「バートランドの子守唄」

2007年01月15日 | ジャズ&ヴォーカル
ジャズ・ヴォーカル・ファンを自称する人なら必ず持っているはずの一枚。
これからジャズ・ヴォーカルを聴こうというという人なら、まず最初に手にするアルバムのひとつ。
この盤を聴き始めると、すぐ耳に入るクリス・コナーの声そのものにまず惹かれる。
とにかく声そのものがジャズをイメージさせてくれる。
少しハスキーがかった甘みのある声で表面的にはクールに、しかし随所のフレージングに見せるほのかな暖かさで歌う微妙な声のバランスが、何ともいえない雰囲気を醸し出す。
ライブハウスにトリップして、オンザロックを飲みながら、彼女の歌声に聴き入っている雰囲気とでもいえようか。
このアルバムには、「バードランドの子守唄」のセンスある軽妙な語り口、「ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ」数あるバラード曲の中でも最も好きな曲のひとつ、「星影のステラ」の気概溢れるアップテンポの歌いまわし、など魅力的なナンバーが並んでいる。
クリス・コナー<Vo>、サイ・オリヴァー他 <BETHLEHEM>

”国のまほろば” 倭建命

2007年01月13日 | 和歌(いにしえの歌人)

倭(やまと)は
国のまほろば
たたなづく青垣
山隠(やまごも)れる
倭(やまと)し美わし

長い東国への遠征の旅の果て、病に倒れた倭建命が故郷大和を偲んだ歌とされている。
この歌にふれると、古代史の地、飛鳥を自転車で回った時の楽しかった想いや、山の辺の道から眺めた美しい穏やかな風景が目に浮かぶ。
前に載せたブログを見る度に、また行きたいという気持ちに駆られる日本の歴史の原点と言っても良い所。


ショパンとサンド

2007年01月12日 | 音楽と絵画、iPodなど
  
ドラクロワの手になるショパンとサンドの画像、たびたびレコードのジャケットに使われているので音楽愛好家にも良く知られたもの。
この絵を見ると、二人が生活したマジョルカ島とそこで作曲された前奏曲「雨だれ」がすぐ目に浮かぶ。
ショパンの作品の中でもとりわけ好きな曲、「前奏曲集」をいずれこのブログでも取り上げるつもりでいる、それもポゴレリッチ盤で。

パンジーの季節

2007年01月11日 | 
  
一月も半ば、だんだん厳しさの増す時節のはずだが、今年は嬉しいことに暖かい日々が続いている。
ぶらりと近くの良心的なディスカウントストアー「フラワーランド」を訪れたら、パンジーが66円で売っていた。
家に帰って早速デジカメに撮る。
今の季節、近くの道を散歩しても素敵なパンジーが通る人の見る目をとても癒してくれる。

工藤投手、横浜へ移籍!

2007年01月10日 | 横浜ベイスターズ
ジャイアンツ工藤投手が横浜へ!
このシーズンオフ、横浜に関するニュースのビックリ度は尋常なものでない。
仁志選手のトレードによる入団、そして多村選手の放出にも驚いたが、今度は工藤投手のホットニュース、この後も何でビックリするか予測もつかない。
横浜がポンコツ工場になるか高齢者の憩いの場になるか、それこそ楽しみになってきた。
ベイスターズよ、とにかく最下位脱出めざして頑張ってくれ!


とっておきの名盤 その70 ブルックナー 交響曲第7番ホ長調

2007年01月07日 | とっておきの名盤「交響曲」
ベームはライヴで特に燃えに燃えた熱い指揮をする。
オペラではその感を強く感じるが、このような聴衆のいない場合の録音では、冷静とでも言っていいくらいに曲の構造を正面から見つめて腰の据わった指揮をする。
第一楽章の出だしからブルックナー特有の長大な美しい旋律をピアニシモからフォルテまでしっかりとしたテンポでじっくりと歌わせる。
いわゆるブルックナー開始といわれる広々としたこの出だしのメロディーを、何とも自然な響きで引き出している。
第ニ楽章のワーグナーの死を悲しむ感動的な嘆きの歌などは、その的確なタクトで作曲者のこの旋律に載せた真摯な思いを見事に聴き手に訴えている。
ライヴとは違うベームの明確、堅固というような指揮ぶりが、ブルックナーの曲調とぴったりとマッチしてこのようなプラスの効果をもたらしたのだと思う。
お勧めのとっておきの名盤といってよい。
マタチッチ指揮の盤も、ベーム指揮のものに匹敵する感銘度をもたらせてくれる。
この曲のベストファイヴは、
・カール・ベーム指揮、ウィーンフィルハモニ-管弦楽団 <Grammophon>
・ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮、チエコフィルハーモニー管弦楽団 <Supraphon>
・ジュゼッペ・シノーポリ指揮、ドレスデン国立管弦楽団 <Grammophon>
・クルト・マズア指揮、ライプチヒゲバントハウス管弦楽団 <RCA>
・クルト・ザンテルリンク指揮、シュトットガルト放送交響楽団 <Hanssler>

表参道から乃木坂、赤坂へ

2007年01月04日 | ウォーキング
コース順路:コース満足度★★★
表参道駅→根津美術館→青山霊園→旧乃木邸→乃木神社→高橋是清記念公園→草月会館→豊川稲荷→赤坂見附駅

年初めのウォーキング、まずは都会の風に当たろうと心を新たにして家を出る。
地下鉄表参道駅で降り、秋なら銀杏並木の色合いが素晴らしい通りに向かって歩き出す。
グッチ、ルイヴィトンなどの店が立ち並び、外人のカップルが楽しそうにショッピングをしている。


すぐ先の根津美術館は、残念ながらあいにくの正月休み。
尾崎紅葉や吉田茂などの著名人が眠る青山霊園を横目に見ながら乃木坂方面に向かう。
旧乃木邸も休みだったが乃木神社はお参りの人で一杯、明治天皇に殉死した乃木稀典夫妻が合祀されている。


二二六事件で暗殺された高橋是清の屋敷跡が公園になっている。
是清像の表情がなんとなくさびしげだ。


すぐ横の草月会館の前に「草月」と彫られた丸い石が置いてあり、風流な趣を感じさせる。


虎屋本店のビルだと思うが、正月らしく亥年の凧がたなびいている。


すぐ正面にある豊川稲荷は、お参りの人々が行きかい大変な混雑。


まずは本殿で二礼二拍一礼、今年一年の家内安全をお願いする。
 

心身ともにリフレッシュ出来た満足感を胸にしつつ、すぐ近くの赤坂見附駅から帰路につく。