クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

この曲この一枚 その6 バルトーク:管弦楽のための協奏曲

2009年10月21日 | この曲この一枚
  
ハンガリーの名指揮者フリッチャイは1914年に生まれ、1963年に49歳の生涯を閉じているから、若くしてのその死は、惜しんでも惜しみ足りないものがある。
彼はブタペスト高等音楽学校で音楽教育を受け、コダーイやバルトークに師事しているので、それこそ作曲家直伝の教えを受けたことは間違いない。
フリッチャイが最も得意とした領域はバルトークで、「管弦楽のための協奏曲」、「弦楽器と打楽器とチェレスタの為の音楽」、歌劇「青鬚公の城」、「ピアノ協奏曲第3番」などいずれも最高の名演とされている。
それこそ私にとってフリッチャイのバルトークは何時聴いても、民族的な音の響き、テンポ、そして強弱の付け方、全てを取ってみてもバルトークそのものを感じる。
そして何度聴いても、曲の中に新しい発見を感じ取ることが出来るのが嬉しい。
この盤、一緒に入っている「ピアノ協奏曲第3番」のゲザ・アンダのピアノも素晴らしいが、「管弦楽のための協奏曲」はモノラル録音ながら遜色は全然感じられないし、演奏の素晴らしさばかりが私の胸を打つ。
バルトークの良さというか本質を教えてくれた「この曲この一枚」、どうしても外すわけにはいかない。
・フェレンツ・フリッチャイ指揮、ベルリン放送交響楽団 <Grammophon>
とっておきの名盤 その24 ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調「新世界より」
とっておきの名盤 その11 バルトーク 歌劇「青ひげ公の城」

夏の北海道 奥尻島の旅

2009年10月18日 | 歴史・旅(国内)
コース順路:コース満足度★★★ 料理度★★★★★ 8月29日~31日
せたな港→奥尻島・奥尻港→宮津弁天宮→賽の河原→鍋釣岩→奥尻島津波館→北追岬公園→奥尻町散歩(イカ釣船・奥津神社)

今年の”夏の北海道”は8月末の奥尻島の旅で一区切りとなったが、いまだに美味しかった日本海の恵みの味が忘れられないでいる。
奥尻島へ渡るフェリーは江差とせたなの二つの町から出航している。
今回訪れたせたな町は、南から江差、せたな、余市、増毛と続くにしん街道に当たる町、そして今では風力発電の町でもある。
日本初の女医である荻野吟子が1897年から1908年まで当地で生活したことを記念する碑も立っている。
奥尻港に到着したフェリーから降りる人々を眺めていると、頭の中にさまざまな旅の思いが行ったり来たりする。
 

奥尻島西側の小さな漁港の近くにある民宿から、歩いて5分の神威脇温泉に足を運ぶ。
どこまで本当か分からないが、温泉内に貼ってあるチラシには道内一の泉質とある。
ゆったりと湯舟に浸りながら夕日を眺められるのが、この温泉の売りになっている。
西の海に落ちる夕日が、何とも言えない美しい眺めを眼の前に繰り広げてくれる。
 

翌日は、地元のガイドさんが各名所を詳しく楽しくガイドしてくれるという観光バスに期待に胸を弾ませて乗り込む。
海難犠牲者や子供を慰霊する霊場、賽の河原を訪れる。
岬いっぱいに石積みが並んでいて、独特の雰囲気を醸し出している。
 

島のシンボルとしてよく知られている鍋釣岩を見る。
岩の中心部が自然侵食され、ちょうど鍋のつるのように見えることから、この名が付いたという。
平成5年(1993)に発生した大地震と津波、災害の記憶と全国から寄せられた復興支援、それらを後世に伝える奥尻島津波館を訪れる。
日本海に浮かぶ奥尻島は、中央の文化や経済から隔絶された小島ではなかったことを示す土師器や、鉄製の小刀、勾玉なども展示されている。
 

北追岬公園を訪れる。
ここにあるモニュメント「北追岬」、国後島を追われてこの島に辿り着いた島民が望郷の思いを込めて北方を眺めている姿を表しているのだという。
何といっても奥尻島での一番の収穫は民宿の料理のおいしかったこと、獲れたての日本海の恵みが食卓いっぱいに広がっている。
世界三大スープの一つと言われているブイヤベース(地中海で生まれた海鮮料理)、食卓に出た奥尻ブイヤベースも美味しかったことこの上ない。
 

奥尻の港町を散歩する。
堤防に止まっているイカ釣船、一列にずらっと並んだランプが独特の装いを醸し出している。
港から少し山側にある、海上の守護神を奉っている奥津神社を訪れる。
島の味、離島の恵みを充分に満喫することの出来た旅に感謝しつつ、島に別れを告げてフェリーに足を運んだ。
 

初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その3(花の島、礼文島を巡る)
初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その2(利尻島を巡る)
初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その1(サロベツ原野と稚内を巡る)
夏の北海道 その4(札幌郊外の原始林を散策、増毛でおいしい手作り料理を満喫)
夏の北海道 その3(富良野、北の国から、ラベンダー)
夏の北海道 その2(網走、知床、釧路)
夏の北海道 その1(札幌)

この曲この一枚 その5 R.シュトラウス:「オペラ名場面集」

2009年10月06日 | この曲この一枚
  

このアルバムは、R・シュトラウス作曲になる主要オペラからの名場面を手際よくまとめたもので、オペラ職人ホルライザーが腰の据わったいぶし銀の指揮ぶりを発揮している。
中でも素晴らしいのが、ワルター・ベリーとクリスタ・ルートヴィッヒ夫妻の息の合った歌いぶりで、各オペラの魅力的な場面の至極の音楽を、見事に聴き手に伝えてくれている。
まずはオペラ「薔薇の騎士」第二幕フィナーレの場面、オックス男爵が愚痴をこぼしてあれやこれや歌い続けるのだが、背景に流れる有名なワルツの調べがウィーンナ・ワルツの上を行く洗練さに満ちたもので、ベリーの絶妙な歌い回しと合わさって聴く者の心を盛り上げる。
次の二作の場面は、まだ充分にシュトラウスのオペラそのものの良さを知らなかった頃に聴き、夫妻の見事な歌い合いと共にその作品の素晴らしさを、深く教えてもらった事を今でも覚えている。
オペラ「影のない女」の第三幕冒頭の”バラック、わが夫よ”から始まるルートヴィッヒの奥行きの深い歌声には理屈抜きに惹きつけられてしまう。
この場面の音楽は本当に魅力的で、何度聴いても飽きが来ないのには感心させられる。
この作品、シュトラウスのオペラの中でも一番好きな作品、そしてあらゆるオペラの中でも最も好きな作品の一つとなって、今でもディスクに乗せる回数が特に多い。
オペラ「エレクトラ」の”何の用ですか、見知らぬ人よ”の場面も負けず劣らず素晴らしい。
ここでのエレクトラと弟オレストの対話のやり取りは、心理の綾を深く抉る音楽ともども強烈なインパクトを聴く者に与える。
これ以上の褒め言葉は止めにして、早速その場面の一つでも耳にして欲しいと思う「この曲この一枚」ではある。
・ハインリッヒ・ホルライザー指揮、ベルリン・ドイツオペラ管弦楽団、ワルター・ベリー<Br>、クリスタ・ルートヴィッヒ<Ms> <DENON>
とっておきの名盤 その106 R.シュトラウス 楽劇「ばらの騎士」
とっておきの名盤 その151 R.シュトラウス 楽劇「ばらの騎士
とっておきの名盤 その3 R.シュトラウス 楽劇「影なき女」
とっておきの名盤 その76 R.シュトラウス 楽劇「エレクトラ」