クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

秩父三十四札所巡り その2

2009年04月24日 | 歴史・旅(国内)
コース順路:コース満足度★★★★ 3月2日~5日
四萬部寺(1番)→真福寺(2番)→恒持神社→常泉寺(3番)→金昌寺(4番)→語歌堂(5番)→常楽寺(11番)→大慈寺(10番)→慈眼寺(13番)

二日目は秩父市の東側丘陵沿いの巡礼道を歩く。
最初に訪れた札所は、第1番四萬部寺、本尊は聖観世音菩薩。
元禄年間に建てられた朱塗り銅ぶきの観音堂が美しい。
本堂正面欄間の地獄極楽の彫刻が必見ということを後で知り、見落としたことを悔やむことしきり。
韓国ドラマでよく見る如意輪観音像の姿勢、単に休息しているだけなのか、何か思索にふけっている最中なのか気にはなる。
ありがたや 一巻ならぬ 法のはな 数は四萬部の 寺のいにしえ
二番札所への道は1.8キロほどの急な坂が続き結構きつい、それだけにやっと視界が開けたところにたどり着くと、疲れがどこかへ吹っ飛んでしまう。
  

山の上にある第二番真福寺にやっとたどり着く、本尊は聖観世音菩薩立像。
境内には梅や花桃の樹が植えていて美しい風情を見せてくれている。
長亭2年の札所番付には真福寺の名はなく秩父札所は33ヶ所であったが、その後この寺が加わり34ヶ寺となり、西国、板東あわせ百観音霊場となったという。
廻り来て 願いをかけし 大棚の 誓も深き 谷川の水
桓武天皇の孫の高望王が平姓をたまわり東国にくだったことは有名だが、弟の恒望王のことを知っている人は少ない。
恒持神社はその恒望王が祭神とされている。
ここの例大祭は秩父地方で最初に山車が出る春を告げるお祭りとして有名。
 

第三番常泉寺、本尊は聖観世音菩薩像。
熊谷宿玉井の名工、飯田和泉の作になる龍のかご彫りが有名で、鑑賞する人の跡が絶たない。
補駝落は 岩本寺と 拝むべし 峰の松風 ひびく滝津瀬
すぐ先のお止め橋から眺める横瀬川の渓谷が印象深い。
大わらじが掛けられた第四番金昌寺の仁王門に到着、本尊は十一面観世音菩薩。
  

境内内に入ると、数え切れないほどある石造群に思わず圧倒される。
天明3年(1783)の浅間山大噴火の際、関東一帯に火山灰が降り農作物が被害を受け大飢饉となり多くの死者が出たという。
住職が1000体石像安置を発願したところ、寄進が相次ぎ4000体集まったが、その後裏山の土砂の流失で大半が埋没し、現在では1300体程の数がある。
有名な子育て観音像、膝に抱く赤子に豊かな乳房をふくませようとする姿と、その満足そうな笑みとやさしいまなざしは、見る者の心を和ませる。
あらたかに 参り手拝む 観世音 二世安楽と 誰も祈らん
 

雄大な武甲山を眺めながら足を進めるうちに、第五番語歌堂に着く、本尊は准胝(じゅんでい)観世音菩薩。
この観世音をご本尊とする霊場は少なくて、ここと西国霊場の第十一番上醍醐寺の二ヶ所だけらしい。
父母の 恵みも深き 語歌の堂 大慈大悲の 誓たのもし
 

清浄な雰囲気に包まれた山沿いの道を登っていくと第十一番常楽寺が見えてくる。
秩父連山に沈む夕日をここから眺めると、ご詠歌のように素晴らしいらしい。
本尊は十一面観世音菩薩。
つみとがも 消えよと祈る 坂ごおり 朝日はささで 夕日かがやく
第十番大慈寺の参道にたたずむ、本尊は聖観世音菩薩。
参道の石段を登っていくと、楼門形のどっしりとした仁王門があり、中に木彫乾漆の非常に美しい仁王像が立っている。
ひたすらに 頼みをかけよ 大慈寺 六つの巷の 苦にかはるべし
 

しゃれた名前の御花畑駅のすぐ近くにあるのが第十三番慈眼寺、本尊は聖観世音菩薩。
秩父から江戸に嫁いだ娘が明暦の大火に遭ったが、絶望視される情況のなかで奇跡的に助かった。
娘は日頃から観音を信仰し、実家は慈眼寺の檀徒であったという逸話が残されている。
お堂の横には絵馬が掛けられているが、それぞれの寺に由来する話が浮世絵風の絵と共に描かれており、三十四札所にある絵馬に集中してお寺を回るのも面白いかもしれない。
薬師堂の隣にある経蔵の中を見学、奉納されている一切経の経典は見れなかったが、置かれている仏像は造りの立派なもので信仰あらたかな感じがする。
御手に持つ 蓮のははき 残りなく 浮世の塵を はけの下寺
  
秩父三十四札所巡り その3
秩父三十四札所巡り その1

ツツジが綺麗!

2009年04月22日 | 
時の移りは早いもので、この間は桜が美しいと思っていたら今はもうツツジが鮮やかな色合いを見せる時期になっている。
つい2,3日前、明治・大正・昭和にわたって多くの文人が住んでいた田端の街並みを歩き、その先の駒込の六義園に立ち寄ったところ、ツツジが素晴らしい花を咲かせているのに感動!
今、ちょうど満開なので、一度はぜひ行ってみる価値がある所。
 

駒込にある南谷寺(赤目不動尊)は、江戸五色不動のひとつとして知られているが、そこで面白い教え「つもりちがい十条」を発見。
確かになるほどとうなずくような教えに、反省することしきり。
 
一、高いつもりで低いのは 教養
ニ、低いつもりで高いのは 気位
三、深いつもりであさいのは 知識
四、あさいつもりで深いのが 欲の皮
五、厚いつもりでうすいのは 人情
六、うすいつもりで厚いのが 面の皮
七、強いつもりで弱いのは 根性
八、弱いつもりで強いのが
九、多いつもりで少ないのは 分別
十、少ないつもりで多いのが 無駄

好天にも恵まれ、桜を満喫!

2009年04月14日 | 
「花は桜木、人は武士」と江戸時代から謳われる桜、今年も観なくては!
まずは桜についての簡単な知識を仕入れる。
 桜は梅と同じ薔薇(ばら)科で、日本原産の染井吉野、大島桜や山桜が代表的とされる。
 昔は見事な桜の代名詞として「吉野桜」と呼ばれていたが、その桜が江戸時代に駒込の染井村で植栽が始められ、誕生地の「染井」の名を加えて「染井吉野」となった。
 桜の霊である「木之花咲耶姫(このはなさくやひめ)」が 最初の桜の種を富士山から撒いたとされ、「さくやひめ」の名前から「さくら」と呼ばれる様になったという伝承も面白い。
 日本の国花は桜(厳密には「山桜」)と菊の2つで、これは知っているようで知らない人も多い。

まずは4月3日(金)、東横線都立大学駅すぐ前の呑川緑道を自由が丘方面に向かって歩き始める。
緑道沿いに延々と続く桜並木が素晴らしい割には人通りも多くないし、落ち着いて桜を眺められる中々良い散歩道だ。(写真左)。
4日(土)は横浜市瀬谷の海軍道路の桜を見に行ったが、会場の海軍基地の敷地は祭りに訪れた人で一杯。
落ち着かない時間の中、菜の花と桜並木の対比が印象的なスポットを見つけ、早速シャッターをパチリ。(写真中央と右)
6日(月)は勤め先だった会社の人達と、毎年恒例の大岡川の夜桜見物。
残念ながらカメラを忘れて写真は取れなかったが、川沿いに垂れ下がるソメイヨシノの大木はそうあちこちでは見られない見事なもの。
  

8日(水)、地元有鹿神社の神事(水引祭)を見学した際の帰り道、相模川河畔の芝桜を見ることが出来た。
ピンク色の芝桜の上に咲き誇る桜の色合いが何とも美しい。(写真左)
今年の桜の見納めにと値段の安さにもつられ、12日(日)と13日(月)は、「春爛漫・高遠コヒガン桜・信州桜競艶・善光寺」という仰々しいツアーに参加する。
最初に訪れたのは上田城址公園、上田城は天正11年(1583年)真田昌幸公が築城、平城で二度にわたって徳川軍の攻撃を守りぬいた戦国の名城。(写真右)
 

城内の堀沿いの桜には枝垂桜も咲いており、風情ある眺めを展開している。(写真左)
「天下第一の桜」と称される高遠城址公園のコヒガン桜、千五百本の桜樹の爛漫さに期待の胸を弾ませる。(写真右)
 

藩政時代に時報に使われていた太鼓櫓の桜、毎偶数時に時を知らせていたという。
高遠城内から望む、桜の背景に連なる南アルプスの雄大な山並みが素晴らしい。
今年は好天にも恵まれたし、満開の高遠の桜で見納めが出来たことに感謝!
 

桜の歌を少々、
「 久方(ひさかた)の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 」
                    紀友則(きのとものり) 古今集(百人一首)
「 願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ 」 西行
「 敷島の 大和心を 人問はば  朝日に匂ふ  山桜花 」 本居宣長
「 花の雲  鐘は上野か  浅草か 」  松尾芭蕉


とっておきの名盤 その147 ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調

2009年04月06日 | とっておきの名盤「交響曲」
  
この曲のとっておきの名盤をこのブログで取り上げるのは、もう6回目になる。
私にとっても、数あるクラシックの曲の中で一番好きな曲を挙げよと言われたら、最初にあげるのはこの曲。
とっておきの名盤の棚のなかで一番枚数が多いのもこの曲だし、全部のCDの棚の中でも最も数を占めているのもこの曲。
第3楽章が最高に素晴らしく、よく”アダージョ”で称される真の癒しの音楽に、何度心を慰められたことか数え切れない。
ところでこのクナの8番、スケールの巨大さ、落ち着きと風格、彫りの深い表情、そして渋い味わいなど、どれをとっても最高の演奏を繰り広げてくれている。
特に第四楽章のコーダなどは、ブルックナーを聴く最高の醍醐味を聴くものに心底から与えてくれる。
演奏芸術の奇跡として、フルトヴェングラーの第9と並んで挙げられるものかもしれない。
演奏の素晴らしさとはうらはらに、クナが聴衆に対してよそよそしい態度をとったことは有名で、オペラなどではカーテンコールに答えることなどめったに無かったらしい。
あるコンサートでは、ブルックナーの巨大な最終音が鳴り響いた後、感動で静まり返った聴衆に向かって「終わりましたよ」と囁いて、次の瞬間そそくさと舞台を去っていったという。
面白い逸話を沢山残したクナの職人気質に私など愛着を覚えるし、こういう演奏家にもう一度めぐり合いたいと思う人が結構いるのではないだろうか。
この曲のとっておきの名盤をあげると以下の様になるが、ブルックナー、そして8番を愛する人は全部持つべき。
.ルドルフ・ケンペ指揮、チューリッヒ・トーンハーレ管弦楽団 <SOMM> 
.オトマール・スウィトナー指揮、シュターツカペレ・ベルリン <Berlin Classics>
.ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ミュンヘン・フイルハーモニー管弦楽団 <Westminster>
.カール・シューリヒト指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団 <EMI>
.カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
知られざる銘盤として、
・ホーレンシュタイン指揮、ウイーン・プロムジカ管弦楽団、1950年代の演奏<VOX>