クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

この曲この一枚 その29 黒人霊歌集 ~ バーバラ・ヘンドリックス

2012年07月29日 | この曲この一枚
 
 
ヘンドリックスの紹介文を読むと、「アメリカ合衆国出身の声楽家。真珠にもたとえられる透明感あるリリック・ソプラノとして、オペラや演奏会で活躍する傍ら、人権活動などの社会奉仕でも著名である」とある。
そんな彼女の歌声がぴったりと聴く者の心を捉えて離さないのが、この「黒人霊歌集」のアルバム。
「時には母のない子供のように」、「誰も私の悩みを知らない」、「ジェリコの戦い」、そして「深い川」などどれをとっても素晴らしい。
清澄な、天から降るような歌声の持ち主と、よく彼女の声は言われるが、このアルバムもそのことを良く証明している。
とても蒸し暑い日が続くが、「この曲この一枚」と言ってよいこの一枚に耳を傾けるのも悪くはない。
・バーバラ・ヘンドリックス<S> 、ドミートリ・アレクセーエフ<P> <EMI>

済州島の自然と歴史を訪ねて

2012年07月16日 | 歴史・旅(海外)
コース順路:コース満足度★★★★5月26日~5月29日
龍頭岩 → 三姓穴 → 済州島民族自然史博物館 → 東門市場散策 → トケビ道路 → 漢拏山<車窓観光> → 万丈窟 → 城邑民俗村 → オルレコース散策 → 城山日出峰 → ソプチコジ(オールインハウス)→ 観音寺 → 法華寺址 → 薬泉寺 → 天地淵瀑布 → 済州4・3平和記念館 → 抗蒙遺跡址 → ウェドルゲ → 柱状節理帯(大浦海岸)→ 天帝淵瀑布 → ジョアン・スタジオ → 山房窟寺

兄弟姉妹、そして姪も参加して、みんなで済州島に行こうという事で楽しみにしていた今回の旅行、ひさしぶりに和気あいあいと話し合いながら、美しい景色の地やゆかりあるお寺などを尋ねることができた4日間だった。
最初に行ったのは「龍頭岩」と名付けられた巨大な岩がある海岸で、「・・・昔大蛇が龍になろうとして漢拏山の玉を盗んで逃げようとした時、怒った漢拏山の神霊の矢に射られて、体全体が海に沈み頭の方が空に向かって固まってしまった・・・」という伝説がある。
済州島のルーツ・耽羅(たんら・たむな)国を創始した三神が最初に現れたという聖地、三姓穴(サムソンヒョル)を訪れる。
説明によると、「・・・この三姓穴から高乙那(コウルナ)、良乙那(ヤンウルナ)、夫乙那(ブウルナ)の三神人が生まれ、狩りをして暮らしていたが、五穀の種を持ってきた碧浪国(ピョンナングッ)の三王女を迎え入れてから、農業が盛んになり、耽羅王国へ発展していった・・・」とある。
 

済州の自然と民俗の歴史が早分かりできるという済州島民族自然史博物館の入口には、済州島の守り神、石のおじいさんという意味のトルハルバンが目を光らしている(写真は城邑民俗村で撮ったものを借用)。
トルハルバンの特徴は、男性の性器を表す帽子をかぶり、大きな目鼻にお釈迦様の口、腕は右が上だと文官、左が上だと武官を表すという。
この島の台所と云われる東門市場を散策後、バスはトケビ道路へと向かう。
トケビというのは「オバケ」という意味で、登りに見えるのに実際は下っていくと言う不思議な道路のこと。
急な上り坂(下り坂)の途中に傾斜が緩くなった所で見られる目の錯覚なのだが、実際に道路全体の規模で味わうと本当に不思議な感じがする。。
 

済州島の中央にそびえる海抜1950mの山、世界遺産の漢拏山を車窓で眺めながらバスは万丈窟へと向かう。
世界遺産の万丈窟は大規模な溶岩洞窟で、暗い洞窟の中をひたすら奥まで歩いていくと、途中に名物となっている亀の形をした石などを見ることができる。
城邑民俗村では、現地のガイドさんが済州島独特の生活文化の話を丁寧にしてくれる。
済州島独特の三本の棒を使った門の説明、三多とは「石が多い、風が多い(強い)、女が多い」、トイレにもなっている黒豚の飼育場などなどで、最後は小さな部屋に連れて行かれて、冬蟲夏草、五味子(茶)、そして馬の骨で出来たサプリなどの購入を勧められる。
話が上手なので、健康維持とかお土産にという気持ちになって、つい購入する気持ちになってしまう。
 

済州島にたくさんあるオルレコースのうち、世界遺産の城山日出峰を眺めながらの海岸コースを歩く。
頂上までそんなに時間がかからないというガイドさんの話に乗せられて、済州島のなかでも1番景色が良いと言われる城山日出峰を登る。
確かに頂上からの眺めは素晴らしいものだったが、それ以上に日出峰から眺める日の出は最高とのことらしい。
 

ソプチコジ(オールインハウス)は、韓国ドラマ「オールイン」のロケ地。
この岬から眺める海はとにかく青くて美しく、ドラマの舞台に選ばれた理由がよくわかる。
オールインとは賭博用語“All In”で、「自分が持っている金を全て掛ける」という事を意味している。
この旅行に「全てを掛ける」とまではいかないが、良い旅行であることを祈りながら現地を後にする。
 

翌日は旧暦の4月8日「お釈迦様誕生日」という事で、観音寺はとにかく沢山の人々で賑わっている。
参道に並んでいる石仏が訪れる人々を暖かく迎えるという、とても良い雰囲気の寺。
次に訪れた法華寺址は、張保皐が韓国で造った二つの寺のうちの一つが済州島の法華寺と言われているところ。
残念ながら何もない敷地だけでは、眺めて見てもドラマの一シーンは頭の中に浮かんでこない。
比叡山延暦寺に張保皐の顕彰碑があるという。
それは、「・・・延暦寺3世座主の円仁は、師の最澄と同じ天台山で学びたいと思い唐に渡ったが許可を得られず追い返されます。山東半島の赤山浦にあった法華院<張保皐が建てた寺>の助けで密かに五台山に入って学ぶことができました・・・」という謂れによる。
 

朝鮮王朝初期に建てられた薬泉寺は、本殿の高さが30mもある東洋一の大きなお寺で、中にはこれも韓国最大という高さ5mの毘盧遮那仏が鎮座している。
海に面した高さ約22mの天地淵瀑布は、亜熱帯の樹木に包まれていて神秘的な雰囲気が漂っている。
「天地淵」とは、天と地が出会う池という意味があって、仙女たちが天からこの滝に舞い降りて、水浴びを楽しんだという伝説が残されている。
 

済州4・3平和記念館を訪れる。
説明員の話を要約すると、「・・・きっかけ自体は、1947年の3月1日の3.1独立運動の記念行事に始まります。 1948年4月3日に、済州島で起こった島民の蜂起に対し、アメリカ陸軍支配下にあった韓国政府のもと、韓国軍、韓国警察、朝鮮本土の右翼青年団などによって、島民の虐殺事件が行われていきました。 済州島に住む5分の1の島民が殺されたとも言われているひどい事件でした。 21世紀になって、初めて公式に故盧武鉉大統領が国家の責任があると謝罪したことも大きな歴史の一つです・・・」となる。
次に訪れた抗蒙遺跡址(三別抄のハンパドゥ城)。
2重の城壁をもつ広大な砦で外城の防塁が残っており、「抗蒙殉義碑」があって蒙古との戦いぶりを顕彰している。
三別抄はもともと高麗王朝の精鋭軍で、1270年に高麗が完全に蒙古軍の軍門に下った時、国王の解散命令に従わずに戦い続ける。
3年後に壊滅したが、その最後の拠点が済州島であった。
 

ウェドルゲの意味は「たった一つの塊」という意味で、その名の通り波間にそそり立つ勇壮な岩のことを指している。
それよりも「チャングムの誓い」のロケ地だったことのほうが有名で、多くの観光客もチャングムの看板の脇で写真を撮っている。
 

柱状節理帯は大浦海岸にある柱状節理の雄大な眺めで、つい最近訪れた東尋坊の眺めを思い出す。
天帝淵瀑布には、帝に仕える7人の天女らが、夜に紫色の雲に乗って舞い降り、澄んだ水でこっそり沐浴をして天に昇ったという伝説が残されている。
 

世界的にも有名なテディベア作家ジョアン・オ氏の作品を展示しているジョアン・スタジオを訪れる。
ペ・ヨンジュンをモデルにしたテディベアもたくさん展示されている。
最後に漢拏山の蜂をそっくりそのまま移したような標高395mの巨大な石山、山房山の中腹にある山房窟寺を訪れる。
時間が無くて行けなかったが、海を望む断崖の洞窟には一体の石仏像が安置されていて、洞窟の天井から滴り落ちる「長寿の水」といわれる薬水が参拝者ののどの渇きを癒してくれる。