クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

この曲この一枚 その8 カントルーブ:「オーヴェルニュの歌」から ”バイレロ”

2009年12月30日 | この曲この一枚
  
昔の事だが、暮れになるとこの盤を持って秋葉原へ行ったことを思い出す。
良い音で良い音楽を聴きたい。
まず第一にスピーカーを選ぶこと、今まで装置にはお金をかけていなかったのだが、これで音の良さが決まるとなるとそうも言っては入られない。
オーディオ雑誌や評論家の記事などから、どんなスピーカーが良いのか調べてもどれも褒めてばかりで選ぶのが難しい。
秋葉原へ言って、直接耳にして決めるしかなさそう。
キリ・テ・カナワが歌った「オーヴェルニュの歌」の盤、この中の”バイレロ”という曲が素晴らしい。
オーヴェルニュはフランス中央にある高原で、丘と谷の織りなす自然の美しさは口では言い表せないほどだという。
フランスの作曲家カントルーブがこの地方の民謡を採譜した中のひとつがこの曲で、何とも魅力極まりない雰囲気のある作品。
管弦楽の編曲も見事だし、録音がとても良いこの盤を使って実際に秋葉原でスピーカーを聴き比べてみようと思った次第。
結局選んだのが、イギリスのHARBETH(HL Compact7ES-2)という逸品、これが大成功で、それからずーっと私の耳に極め細やかな麗しい音を聴かせてくれている。
そんなことで、”バイレロ”という一曲だけで愛着の尽きないこの盤、カナワの美声と共にずっと聴き続けて行きたい「この曲この一枚」、ぜひ耳にしてほしいと思う。
・キリ・テ・カナワ<S>、ジエフリー・テイト指揮、イギリス室内管弦楽団 <LONDON>

近江・近つ飛鳥・難波津の旅 その1 「紅葉」編

2009年12月19日 | 歴史・旅(国内)
コース順路:コース満足度★★★★★ 12月1日~5日
近江八幡→石山寺→瀬田の唐橋→建部大社→湖東四山(永源寺→百済寺→西明寺→金剛輪寺)→園城寺→弘文天皇陵→新羅善神堂→大津宮錦織遺跡→近江神宮→坂本(生源寺→滋賀院門跡→日吉大社→西教寺)→近つ飛鳥(葛井寺→辛国神社→西琳寺→誉田八幡宮→応神天皇陵→近つ飛鳥博物館)→難波津(四天王寺→難波宮跡→大阪歴史博物館→鶴橋)

毎年、紅葉の時期には晩秋のこもれ美といにしえの面影を訪ねて、歴史の風景を追って歩くことにしている。
今年も素晴らしい紅葉が見れるはずの近江、そして古代の史跡が数多く残る難波津の都と近つ飛鳥に旅立った。
11月23日から27日までの5日間の旅、まずは「紅葉」編から。

近江八幡駅に降り立つと、すぐ目の前に近江商人発祥之地の碑が眼に入る。
近江八幡の町は約400年前、豊臣秀吉の甥の秀次によって信長亡き後の安土の町を再建するかたちで造られ、その後、信長が全国から安土に集めた多くの商人たちが移り住み、本格的な商業都市が誕生したという。
当時の古い町並みを歩くと、そんな雰囲気があちこちから漂ってくる。
秀次が琵琶湖を往来する荷船を全て八幡に寄港させようと造った八幡掘、今は時代劇の撮影場所として隠れた名所となっている。
近江商人の理念は、「三方よし」、「しまつしてきばる」、「正直・信用」、「陰徳善事」の四つとされている。
偽装を働く会社の幹部連中は、この教えをよく見習って欲しいと思う。
  

左右の仁王様がどういう思いか知る由もないが、紅葉で有名な石山寺の門前は多くの観光客がひしめいている。
  

真言宗、石山寺は東大寺大仏造立の黄金の不足を愁えた聖武天皇の勅命により、良弁僧正が如意輪法を修すためここに伽藍を建てたのが始まりという。
本堂の下の御堂には、石山観音の化身とされる蓮如上人の母の形見、鹿の子の小袖が安置されている。
 

七年ぶりに開扉される本尊の如意輪観世音菩薩を拝もうと、階段の上の本堂を目指す。
紫式部がその窓から十五夜の月を眺めた時、霊感をうけ物語が出来上がったと伝えられる「源氏の間」をしばし見やる。
  

国宝の多宝塔には忍者の手付きをして宝冠をかぶっている仏、大日如来が安置されている。
この塔は源頼朝が、乳母であり源平の乱で功を上げた親能の妻でもあった亀谷禅尼の請によって寄進したもの。
上のほうにある月見亭からは、近江八景のひとつである瀬戸の唐橋が望めたらしい。
  

鈴鹿山麓の紅葉を求めて、湖東三山の寺と永源寺を巡る一日バスツアーに同乗する。
永源寺の山門を目指し120段の階段を上り終えると、山際の岩壁に十六羅漢像が彫られていて、お参りに訪れる人々を何やら見やっている。
紅葉に彩られた山門が見事、楼上には釈迦・文殊・普賢の三尊像と十六羅漢像が安置されているはず。

  

臨済宗、永源寺の開山は南北町時代の康安元年(1361)で、近江国の領守佐々木氏頼がこの地に伽藍を建て、寂室禅師を迎えたとされている。
本堂に入ると、近江聖人と呼ばれる中江藤樹の教え「五事を正す」が掲げてあり、なるほどと頷いたり、障子に描かれた立派な水墨画にも眼を惹かれる。
寺の脇を流れる愛知川と紅葉の彩が美しい。
  

天台宗、百済寺は推古14年(606)に、百済の渡来人のために聖徳太子が創建した近江最古の寺。
仁王門を抜けて進むと、五木寛之の「百寺巡礼」からの文章が掲げてある。
「・・・延々と続く石段を、少し息をきらしながらのぼっていく。
ああ、まだあるのか、と思ってふと見上げると、そこにパッと本堂が浮かび上がる。
それが”希望の象徴”のように思えて、よしあそこまで行けばいいんだ、と元気が出てくる」(「百寺巡礼、滋賀・東海」)
参道の帰りに見かけた弥勒半跏石像の姿かたちが、なかなか良い。
  

喜見院の見事な庭園を眺めた後、すぐ裏の高台にある「遠望台」に達すると、湖東の平野や比叡の山並みが一望できる。
すがすがしい気持ちで帰りの道を進むと、書聖小野道風の筆字の石碑が眼に入ったが肝心の文字が読めない。
書道修行中の身にとっては、とても気になるのだが。
  

西明寺の庭は、苔の色合いが見るものに微妙な美しさを感じさせてくれる。
赤や黄色の紅葉の対比も見事で、訪れた人々も感心したように庭を眺めている。
  

山門の仁王が胡散臭そうな目で、観光客を迎えている。
天台宗、西明寺は平安時代の承和元年(1834)に三修上人が仁明天皇の勅願により開山したという。
国宝の本堂と三重塔は、桧皮葺きの屋根と一切釘を使用しない見事な造りが印象的。
  

金剛輪寺山門への参道はとにかく長いが、両側には信者の寄進になる石仏がずらっと並んでいて、訪れる人々の気持ちを励ますのか慰めるのかあまり遠く感じないのが不思議。
やっとたどり着くと、深遠な空気に包まれた国宝の本堂、そして奥の方に三重塔が現れる。
  

天台宗、金剛輪寺は聖武天皇の祈願寺として、行基菩薩が天平13年(741)に開山した。
三重塔にある大日如来像に何やらお願い事をしてから、本堂へと向かう。
この寺の庭園は、今までいろいろ見てきた庭の中でも飛びぬけて素晴らしい。
じっと見とれているうちにバスの待ち時刻が過ぎそうになり、あわてることしきり。
  

翌日の早朝、まず一番に園城寺(三井寺)を訪れる。
人影がいない山門には、何か厳かな雰囲気が漂っている。
天台宗、園城寺は壬申の乱で敗れた大友皇子の霊を弔うため、子の大友与多王が田園城邑を寄進して寺を創建し、天武天皇から「園城」の勅額を賜ったのが始めとされている。
判官びいきというか、国宝の金堂では大友皇子を弔いたい気持ちになってしまう。
 

近江八景「三井の晩鐘」で知られる梵鐘は、宇治の平等院、高雄の神護寺と共に日本三銘に数えられ、その荘厳な響きは有名。
ぜひその響きを聞きたいと、鐘突き料300円を支払って徐に一突きする。
確かに重い響きの音がしたが、荘厳な音とは思えずいささか拍子抜け。
徳川家康により寄進された三重塔、少し見上げる形での軒深い三重の釣合が良く中世仏塔の風格を感じさせる。
  

訪れた寺などの紅葉はどこも素晴らしく色鮮やかで、晩秋の風景をたっぷり味わうことのできた旅となった。
斑鳩・飛鳥・奈良・京都の旅 その2 「古代史」編
斑鳩・飛鳥・奈良・京都の旅 その1 「紅葉」編

韓国歴史ドラマ、気になる話 その6(追加補足編1)

2009年12月12日 | 歴史・気になる話
韓国歴史ドラマの紹介、制作年度順に5回に分けて掲載をしてきた。
最終回分も掲載し一息ついたと思っていたらとんでもない、その後このブログに未掲載のドラマを続々と発見、追加分としてそれらを急遽載せることにする。
今回の中では「韓 明澮(ハン・ミョンフェ)」、「王妃チャン・ノクス」、そして「ホ・ギュン」などが面白そうだが、これはあくまでも第六感、早くどこかの局で放送してほしい。

43.東医宝鑑-ホジュン真実の生涯-:朝鮮王朝中期 <監督:イ・ジェカプ> <主要キャスト:イ・ドクファ、ソ・インソク、イ・ウンギョン> 1991年 全14話 <私的評価:未見>
ホジュンの一代記を描いた「小説 東医宝鑑」を忠実にドラマ化している。
人気ドラマ「許浚(ホジュン)」と比較しながら見ると面白いかもしれない。


44.イルジメ:朝鮮王朝中期 <監督:キム・ナン> <主要キャスト:チャン・ドンゴン、ヨム・ジョンア、キム・ドンヒョン> 1993年 全8話 <私的評価:未見>
若き日のチャン・ドンゴンがイルジメを好演しているのが、ファンにはたまらないらしい。
  
 
45.韓 明澮(ハン・ミョンフェ):朝鮮王朝初期 <監督:キム・ジェヒョン> <主要キャスト:イ・ドクファ、ソ・インソク、イ・ウンギョン> 1994年 全104話 <私的評価:未見>
第6代端宗から第7代世祖の時代、政治の実権を握り王朝を動かした天才的な策士ハン・ミョンフェの生涯を描いている。
 

46.王妃チャン・ノクス:朝鮮王朝初期 <監督:イ・ヨングク> <主要キャスト:パク・チョン、ユ・ドングン、パン・ヒョジン、チョン・ホグン、パク・ヨンギ> 1995年 全52話 <私的評価:★★★★>
朝鮮三大悪女と称されているのは、張緑水(チャン・ノクス)、鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)、張禧嬪(チャン・ヒビン)の三人。
朝鮮王朝第10代、暴君と呼ばれた燕山君の愛妾チャン・ノクスの悪女ぶりが見もの。
  

47.萬江(マンガン):朝鮮王朝?期 <監督:キム・ジェスン> <主要キャスト:イム・ホ、オ・ヨンス、イ・ヨンハ、ハン・ヘスク、シン・ドンフン> 1996年 全63話 <私的評価:★★>
両班から下女の息子にすり替えられてしまう主人公のマンガン、その愛と野望の生涯をドラマ化している。
 

48.王朝の暁~趙光祖伝~:朝鮮王朝初期 <監督:キム・ジェヒョン> ユ・ドングン、キム・ヘリ、ホン・リナ、キム・ジャオク> 1996年 全52話 <私的評価:未見>
第11代中宗の時代に改革をめざし、王朝を動かした天才的策士チョ・グァンジョの物語。


49.大王の道:朝鮮王朝後期 <監督:ソ・ウォニョン> <主要キャスト:イム・ホ、ホン・リナ、ユンソナ、パク・グニョン、イ・イネ、キム・ヨンエ、キム・ジョンヒョン> 1998年 全34話 <私的評価:★>
イ・サンの父と祖父との葛藤と悲劇を描く。
前の時代のドラマ「張禧嬪」を見ていると、「大王の道」に続くこの時代の流れがよくわかる。
 

50.洪吉童-ホン・ギルドン-:朝鮮王朝初期 <監督:チョン・セホ> <主要キャスト:キム・ソックン、キム・ウォニ、パク・サンア、イ・ジョンウォン、イ・ドックァ> 1998年 全16話 <私的評価:未見>
朝鮮半島では、洪吉童(ホン・ギルドン)、張吉山(チャン・ギルサン)、林巨正(イム・コクチョン)の三人が三大義賊と呼ばれている。
義賊とは、犯罪者ながら民衆のために正義を貫いた人の事で、石川五右衛門、鼠小僧、アルセーヌ・ルパン、ロビン・フッドなどなど世界中に多くの例がある。
 

51.御史出頭!~暗行御史パク・ムンスの事件簿~:朝鮮王朝後期 <監督:イ・ジェウ、ヤン・キウン> <主要キャスト:アン・ジェモ、ウ・ヒジン、アン・ジョンフン、チョン・フンチェ、カン・ソンヨン> 1999年 全21話 <私的評価:未見>
正義の味方、暗行御史が悪人を成敗する話で、日本で言うと、隠密同心か。
韓国の有名な物語「春香伝」の故郷にある広寒楼に行くと、暗行御史の事が良くわかる。
 

52.牧民心書~チョン・ヤギョンの生涯~:朝鮮王朝後期 <監督:キム・ハクスン、シン・ジェグク> <主要キャスト:イ・ジヌ、キム・ギチョル、キム・ソンリョン、ピョン・ヒボン、チョン・ムソン> 2000年 全82話 <私的評価:未見>
第22代正祖の信頼と寵愛を受けた実学者で、名君と謳われた正祖の政治改革、文化発展に大きく関わった人チョン・ヤギョンの活躍を描く。
チョン・ヤギョンは世界遺産となっている水原華城の設計者としても名高い。


53.ホ・ギュン:朝鮮王朝中期 <監督:イ・サンウ> <主要キャスト:チェ・ジェソン、チョン・ドンファン、キム・ミョンス、ハ・ダソム> 2000~1年 全58話 <私的評価:★★★★>
暴君とされた第15代光海君時代の一流知識人で、韓国最初の小説「洪吉童」の作者ホ・ギュンの波乱の人生を描く。
 

54.新・別巡検:朝鮮王朝後期 <監督:イ・スンヨン、キム・ビョンス> <主要キャスト:リュ・スンリョン、パク・ヒョンジュ、オンジュワン> 2007年 全20話 <私的評価:未見>
朝鮮王朝末期、警務庁が新設され警察任務を行う巡検が生まれたが、なかでも特殊な任務を担当する者たちは”別巡検”と呼ばれたという。
難解な捜査に挑む熱血巡検の活躍が見もの。
 

55.正祖暗殺ミステリー8日:朝鮮王朝後期 <監督:パク・チョンウォン> <主要キャスト:キム・サンジュン、パク・チョンチョル、イ・ソノ、チョン・エリ、キム・スンギョム> 2007年 全10話 <私的評価:未見>
第22代正祖の父の暗殺と自身の暗殺計画を追うサスペンス・ドラマ。


56・風の絵師:朝鮮王朝後期 <監督:チャン・テユ> <主要キャスト:パク・シニャン、ムン・グニョン、アン・ソクファン、イ・ジュン> 2008年  全20話 <私的評価:★>
美しい絵画と共に師弟の愛を描いたミステリー仕立てのドラマ。
朝鮮時代最高の画家と謳われたキム・ホンドとシン・ユンボク、そのユンボクが実は女性であったという想定のもとに描かれ、ベスト・セラーとなったイ・ジョンミンの小説をドラマ化している。
    
 
57.善徳女王:新羅王朝後期 <監督:パク・ホンギュン、キム・グノン> <主要キャスト:イ・ヨウォン、コ・ヒョンジョン、パク・イェジン、オム・テウン> 2009年放送中 全62話 <私的評価:★★★>
韓国史上初めての女王についた実在の人物、善徳女王の波乱に満ちた生涯を描く。
民を安定させ、多くの文化遺産を建てたこと、また外国との交易を成功させるなど王としての功績が高く評価された。
このドラマ、当代最高の俳優たちがキャスティングされて話題になったという。
    

58.幻の王女自鳴鼓(チャミョンゴ):高句麗王朝初期 <監督:不明> <主要キャスト:チョン・リョウォン、チョン・ギョンホ、パク・ミニョン> 2009年放送中 全39話 <私的評価:★★★★★>
楽浪国の王女たちと敵国の王子ホドンの悲恋の物語。
ホドン王子は朱蒙(チュモン)の孫・大武神王(ムヒョル)の長男にあたる。
  

韓国歴史ドラマ、気になる話 その5
韓国歴史ドラマ、気になる話 その4
韓国歴史ドラマ、気になる話 その3
韓国歴史ドラマ、気になる話 その2
韓国歴史ドラマ、気になる話 その1

江戸川公園から目白台へ

2009年12月06日 | ウォーキング
コース順路:コース満足度★★★★ 11月12日
地下鉄江戸川橋駅→江戸川公園→椿山荘→関口芭蕉庵→新江戸川公園→水神社→永青文庫→講談社野間記念館→東京カテドラル聖マリア大聖堂→鳩山会館→地下鉄江戸川橋駅

地下鉄江戸川橋駅の1a出口を出ると、そこはもうこのコースの出発点となる江戸川公園がすぐそばに見えている。
神田川沿いに細長く展開しているこの公園、結構風情があってこれから先のウォーキングが楽しみ。
少し歩くと椿山荘の入り口のひとつ、冠木門が見えてくる。
入るとすぐ、幹にしっかりと注連縄が巻かれた椎木の大木が眼に入る。
どうもこの立派な庭園を見守る御神木とされているようだ。
ここはもともと久留里藩、黒田家の下屋敷があった所で、明治維新の後に山県有朋の邸宅となってこの庭が築造されている。
大正時代には関西の実業家、藤田平太郎の所有となっていて、その変遷がめまぐるしい。
起伏に富む庭を歩くと、広島県の篁山(たかむらやま)竹林寺から移築したすばらしい三重塔を望むこともできる。
とにかく一見の価値があるすばらしい庭園の造りではある。
  

次に訪れた関口芭蕉庵は、もともと治水技術者であった芭蕉が神田上水の改修工事に関わり、深川に移る前の3年間住んだ所なのだという。
そんな話を聞いた後、その先の新江戸川公園を訪れる。
この辺は江戸時代の武家の下屋敷が多くあった所で、ここも元は熊本藩細川家の下屋敷で、明治時代に細川家本邸宅となり、昭和34年には都が買収して都立公園としている。
あまり知られていない所だと思うが、本格的な見事な庭園で、一角には細川家の学問所だった松声閣が建っている。
芭蕉庵の脇にある坂道は、胸突き坂と呼ばれる面白い名前がついている。
 

この辺りの関口という地名は、ここに神田上水取水口の大洗「堰」があったことから来ている。
胸突き坂のすぐそばにある水神社(神田上水の守護神)もそれを示す証拠だと思う。
すぐ近くの永青文庫には細川家に伝わる700年以上の歴史を物語るコレクションが所蔵されているので、歴史好きの人はここを良く訪れるらしい。
 

講談社野間記念館の中には入らなかったが、ここには講談社の初代社長・野間清治によるコレクションを中心に、絵画・彫刻・絵本の原画などが多く収蔵されているとのこと。
丹下健三の設計による東京カテドラル聖マリア大聖堂、上空から見ると大きな十字架に見えるらしいが、写真が取れなかったのが残念。
カテドラルとは、司教座聖堂すなわち教区を代表する聖堂のことだと始めて知る。
バチカンのサンピエトロ大聖堂にあるピエタ像のレプリカがとても印象的、さすがミケランジェロの傑作だけのことはある。
 

最後に訪れた鳩山会館の音羽通りの入り口には、ツァーバスが5台ほど並んでいる。
鳩山首相の祖父であった初代内閣総理大臣・鳩山一郎の私邸として大正13年に完成、設計は歌舞伎座などを手がけた岡田信一郎。
政治家たちが出入りして数々の密議も行われたという。
鳩山一郎の妻で共立女子大学学長も努めた薫夫人の書が飾ってあり、書道教室で悪戦苦闘している私には、書体というか筆体がとても素晴らしく思え、しばし見つめる。