クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤 その119 J・S バッハ パルティータ選集(1、2、3、5番)

2008年03月17日 | とっておきの名盤「器楽曲」
これは1991年、88歳で亡くなったアラウ最後の録音、まさしく入神の域に達したともいえる崇高な演奏。
このパルティータの最初の一音からのピアノの音の神がかった響きをどう表現したらよいのか。
解説書にある梅津時比古氏の以下の文章は、そのことを私の胸に最も痛切に説いてくれる。
「アラウがバッハを弾きたくなったのは、永年連れ添った夫人と子息を相次いで亡くし、およそ2年間、悲しみの余りステージから離れた後だった。
・・・その音はピアニズムの魅力の極地でありながら、ピアノの音を超えている。
おそらくアラウのなかに、美しい音を聴かせようというような気持ちは、もう微塵も無かったのであろう。
音色の変化をやさしくすくいとりながら、どこか無骨で、それでいて何もかもが自然、そして自在である。
たとえて言えば、風が美しい花の香りも細かな土ぼこりも、同時に自由に運んでくるよう。
大きな自然の中で、どこからともなく聞こえてくるような音。
それはバッハからもたらされる音なのだろうか。
アラウからもたらされる音なのだろうか。
おそらく、そこには、夫人や子息への思いも含めてアラウの感情の総てが流れているのだろう。・・・」
このアラウの”白鳥の歌”と言うべき演奏を聴かずして、真のバッハは語れないのではないかとつくづく思う。
・クラウディオ・アラウ <P> <PHILIPS>

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2 コメント

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アラウの歌が聴こえます (yoshimi)
2008-12-21 01:00:22
こんばんは

アラウのパルティータのレビューを探していてたどり着きました。
アラウのベートーヴェンやブラームスは良く聴きますが、バッハは10年近く聴いていなくて、再び聴くとこの演奏の素晴らしさが良くわかりました。

世間ではそれほど評価されていないようなので残念ですが、アラウのバッハが聴けるだけでも何よりの喜びです。
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アラウの歌 (fland_200)
2008-12-21 22:05:29
確かにアラウが歌ってますね。
バッハの作品は下手な演奏家の手にかかると、単なる機械的な旋律の繰り返しになってしまいますが、晩年のこのアラウの演奏は違いますね。
聴けば聴くほど、その崇高な歌に心が洗われる思いがします。
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