クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤 その124 ベートーヴェン ディアベッリ変奏曲 作品120

2008年05月01日 | とっておきの名盤「器楽曲」
19世紀の大ピアニストであったビューローは、50数分を要するこのベートーヴェンの晩年の大作を次のように称賛している。
「彼の天才の凝縮であると共に、音楽の全世界の要約であり、音楽的な構想と想像力のあらゆる展開が、そして最も高尚深遠な思想から最も奔放な諧謔までが、最も雄弁に語られている。
それは尽きることのない泉に等しく、われわれに限りない栄養を与えてくれる。.,,,,」
何とも抽象的で哲学的ともいえる大げさな表現だが、この言葉を聴いて、一度はこの曲を聴いてみたくなるのは私だけではないと思う。
この曲を見事に演奏してくれるピアニストは、”最も正統的なドイツ音楽の継承者”であるアラウを差し置いて、今の私には誰も他に考えられない。
このアラウのドイツ音楽の精神は、リストの高弟であったベルリンの名教師マルティン・クラウゼの徹底的な薫陶によって育まれたものらしい。
そしてリストはベートーヴェンの弟子であるツェルニーに師事しているから、まさしくアラウは”正統的なドイツ音楽の継承者”の位置にあるといえる。
この盤は円熟の極みに達したアラウ82歳の時の録音のもの、遅めのテンポながらこの長大な曲を最後まで飽かすことなく聴かせてくれる力量には、とにかく感服するしかない。
とっておきの名盤としてはずすことの出来ない一枚。
・クラウディオ・アラウ<P> <PHILIPS>

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