豊平館

2008-09-20 11:56:08 | 北海道主要部 (札幌・小樽・函館)









 洋風としては現存する国内最古のホテル建築(明治13年築 1880)。 安達喜幸を中心とする開拓使工業局営繕課により建てられたもので、一説によると安達はJ・コンドルらから構造上の提言を受けてこの建物に取り組んだとも云われます。 竣工翌年の明治天皇の北海道行幸の際の行在所にあてられたのを開館日として、以後は民間に貸し付けられホテルと西洋料理店として引き継がれました。 後の大正天皇や昭和天皇など皇族の宿泊もありましたが、次第にホテルとしての機能は薄れ、公会堂や音楽会場として市民の文化活動の拠点へと変わっていきました。 昭和33(1958)年に中島公園へと移築され、現在は結婚式場などとしても利用されています。

 アメリカ風の下見板張りにヨーロッパのコリント式の柱頭飾り、懸魚の付いた櫛型のペディメントなど、日米欧のスタイルが絶妙に融合した建物は、白の外壁にウルトラマリン・ブルーの縁取りがとっても爽やかな印象を放っています。 中に入ってみればシャンデリアや暖炉などに目を奪われますが、一番の注目点はシャンデリアの吊り下がっている中心飾り(メダリオン?)の漆喰彫刻。 朱色が入るくらいの地味目なものですが、作者は伊豆の長八の系統と推測され、「波に千鳥」や「鳳凰」、「梅」など各部屋により異なった和のテイストが楽しいです。  北海道札幌市中央区中島公園1-20  07年05月上旬

 ※参考  『日本の駅舎とクラシックホテル』
      『札幌の建築探訪』
      『ノスタルジック・ホテル物語』
      『郷愁の時を訪ねて クラシックホテルの物語』  他  


最新の画像もっと見る

コメントを投稿