杉山小児科医院 診療棟

2007-09-30 18:04:22 | 奈良・和歌山



 大正10(1921)年頃に建てられたというハーフティンバー様式の医院建築。 玄関扉が変更されている点と電信柱(&電線)が目障りである点が残念ですが、それを差し引いても素晴らしい建物である事に変わりはありません。 元々は上田医院として建てられたものですが、昭和20(1945)年に同医院が廃業した後、昭和29(1954)年からは現在の杉山医院となっているようです。 正面向って右側の角ばった建物は昭和初期に建てられた住居棟。  奈良県大和郡山市本町52  07年09月下旬

 ※現役の医院ですので見学の際はご配慮願います。
 ※追記 現在は医院を廃業されて(?)おり、春と秋に建物見学会を開いているようです。


 ※おまけ  こちらは杉山小児科医院の裏の辺りにある浅井家洋館(明治初期)。 こちらは個人邸なので見学の際はご配慮願います。



旧向灘郵便局

2007-09-29 00:00:00 | 愛媛・香川



 八幡浜に残る旧郵便局舎(昭和7年築 1932)。 立派なRC造の建物に見えますが、道路に面した2面のみに洋風の外観を張り付けた、いわば看板建築に属するものでしょうか。 『愛媛温故紀行』によると、地域住民の請願によって開設した郵便局だった為、日常の郵便業務を執り行う部分の面積が少なく、応接室や会議室などに、より多くのスペースが割かれた間取りになってるそうです。 昭和61(1986)年まで使用され、現在は個人邸のようです。  愛媛県八幡浜市向灘  07年01月上旬

※個人邸と思われるので、見学の際は十分なご配慮を願います。

黒滝村旧役場庁舎

2007-09-28 00:00:00 | 奈良・和歌山




 明治43(1910)年に吉野材木黒滝郷組合事務所として建設。 洋風2階建の建物に平屋建ての和館が付属したモダンな建物です。 大正2(1913)年からは村役場に転用され、昭和53(1978)年に新庁舎が建設されるまで現役を続けました。 その後、郷土資料館や集会所として使われていましたが、平成7(1995)年に現在の「黒滝・森物語村」内に移築され資料館として公開・保存されています。  奈良県黒滝村粟飯谷1  07年09月下旬

南都銀行本店

2007-09-27 00:00:00 | 奈良・和歌山





 六十八銀行奈良支店として大正15(1926)年に建てられたもの。 銀行建築ではよく名の出てくる長野宇平治の設計です。 いかにも銀行といった4本の列柱の下部にはなぜか羊の頭の彫刻が。 これは長野と懇意であった東京美術学校教授・水谷鉄也の手によるものらしく、古代ヨーロッパの民に多くの富をもたらした家畜を象徴として採用したものとも云われますが、なにはともあれ非常に撫でやすい位置にあるので思わず手が伸びてしまいます(笑)。 昭和28(1953)年に背面部分を大増築しているとの事。  奈良県奈良市橋本町16  07年09月下旬

 ※参考 『都市の記憶 美しいまちへ』 2002
 ※本文に加筆修正を加えました。

奈良少年刑務所

2007-09-26 18:40:22 | 奈良・和歌山




 7年の歳月をかけ明治41(1908)年に奈良県監獄署として完成。 建築家・山下啓次郎(1867~1931)が手がけた明治の五大監獄で、現存するのはここと千葉のみ(長崎県諫早市の旧長崎刑務所は、残念ながら現在解体中)。
 ※08年現在、旧長崎刑務所は一部保存の方向のようです。  
 
 ゆるやかな坂道を登っていくと煉瓦塀が目に入ってきて、やがてこの正門と庁舎が見えてきます。 刑務所と聞くと厳然とした建物をイメージしてしまいますが、実物は意外にも温かみのある印象。 設計者の山下啓次郎は欧米8ヶ国、およそ30にも及ぶ監獄を視察し、監獄=牢屋ではなく、更生の為の施設という欧米の進んだ思想を取り入れ具現化したようです。 近代国家を目指す明治政府にとっても、懲罰よりも更生に重きを置いた新しい行刑思想を内外に誇る意味でも、このような建物が必要だったのかも知れませんね。  奈良県奈良市般若寺町  07年09月下旬

 ※現役の刑務所です。 受刑者並びに関係者のプライバシーに十分配慮して見学・撮影されるよう願います。 毎年9月の矯正展で敷地内に入れるようなので、見学はその時のほうがいいように思います。


 ※おまけ  こちらは奈良市水道計量器室。 刑務所へ向かう坂の途中にある小さな煉瓦の建物ですが、詳細は良く分かりません。


旧JR奈良駅

2007-09-25 18:40:19 | 奈良・和歌山



 昭和9(1934)年に建てられた2代目の奈良駅舎。 古都の玄関に相応しい寺院風の建物ながら、屋根には相輪、外壁はタイル貼りに縦長窓と和洋折衷になっているのが面白いです。 内部には入れませんが、吹き抜けの格天井にステンドグラス(これは外からも見えます)もあるようで、現役時にはコンコースにサモトラケ島のニケ像(ギリシャ彫刻の傑作)のレプリカも置いてあったそうです。 線路の高架工事に伴い取り壊しの話が持ち上がりましたが、平成16(2004)年に18メートル曳家され保存される事になりました。 今後の予定は観光案内所?  奈良県奈良市三条本町  07年09月下旬

名久多教会

2007-09-21 17:48:16 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)



 明治20(1887)年に22人の信者により建てられたと伝わる教会。 復元・改修工事される前は、大壁造りで板葺屋根だったようです。 県内最古の洋風木造教会?  群馬県高山村尻高2086-1  07年04月上旬

 ※現役の教会ですので見学の際はご配慮願います。
  写真が一部大きくなります。

大寶館(たいほうかん)

2007-09-20 19:07:59 | 南とうほく (宮城・山形・福島)




 鶴ヶ丘城址のお堀端に建つ白亜の擬洋館。 大正天皇の即位を記念して大正4(1915)年に建てられたもので、図書館や物産陳列所、会議室や食堂といった多目的施設だったようです。 長らく鶴岡市立図書館として使用されていましたが、現在は「郷土人物資料等展示施設」として一般に無料公開されています。  山形県鶴岡市馬場町4-7  07年09月中旬


 ※おまけ  大寶館の裏手にあるこちらの建物は、大正14(1925)年に建てられた(旧)図書館と思われるもの(大寶館のパンフレットより推察)。 前回の訪問では完全に見落としていたので、今回は忘れずに写真に収めました。


旧肘折郵便局

2007-09-19 00:00:00 | 南とうほく (宮城・山形・福島)




 昭和12(1937)年に建てられた旧郵便局舎。 まもなく開湯1200年をむかえる小さな山間の温泉街には、多くの湯治客が訪れ意外な程の活気にあふれています。 案内板によると、この建物はミニコンサートの会場などとして時折活用されている様子。 家主自らが当時の他の郵便局舎を参考にしながら設計した建物といわれ、正面全ての窓枠が郵便局の〒マークになっているのが微笑ましいですね。  山形県大蔵村肘折507 肘折温泉  07年09月中旬

願念寺納骨堂

2007-09-18 00:00:00 | 富山・福井



 昭和2(1927)年築の旧鶉小学校奉安庫。 登録文化財になっているだけに小さいながらも見どころの多い建物です。 早朝の訪問で手ブレしまくりでした。  福井県福井市石新保18-35  06年08月中旬

 ※本文に加筆修正を加えました。

橋本警察署高野幹部交番

2007-09-14 18:15:09 | 奈良・和歌山



 空海(弘法大師)によって、およそ1200年前に開かれたという真言宗の霊地・高野山。 山上の盆地のようになった場所にお堂や塔が数多く建ち並んでいます。 総本山である金剛峯寺の近くにあるこの派出所も、場所柄からか御覧のような和風の姿です(大正12年築 1923)。 2階部分の外壁だけ漆喰で仕上げられているので膨張して見え頭でっかちの印象もありますが、一風変わった佇まいが非常に個性的。 植木で隠れてしまっている1階部分をもっとよく見てみたいのですが、いかんせん現役の派出所。 怖くて(何が?)下手には覗きこめません。。。  和歌山県高野町高野山638  07年08月中旬

 ※本文に加筆・修正を加えました。

佐伯祐三旧居(アトリエ)

2007-09-13 00:00:00 |  東京都




超久々に電車に乗っての建築散策(笑)。
 
池袋に降り立ちライトの自由学園(明日館)へと足を向ける。 独特なデザインに目を奪われ時も忘れての見学。 最後にホールで飲んだ冷たいアイスコーヒーが涼を運んでくれる。 これで600円(見学料込)なら安いもの。
 
今日は珍しく昼からの散策で他に予定が無い。
暑い中(訪問日は8月下旬)、自由学園を後にして適当に歩き出す。
 
記憶の中の地図を頼りに運良く 徳川黎明会、目白聖公会 といった建物に辿り着けた。
やんわりと外観だけの見学を終え、再び歩き出したところで地区の案内板に目がとまる。

佐伯祐三の旧居。
どこかで聞いたことがある名前。
どうやら近くにあるらしい。
地図を頭に入れ早速向かってみる。

聖母病院(これって古い建物?)の脇を抜け、ここと思われる場所に着いたがなかなか見つからない。 気持ちばかりが逸(はや)る。

目指す建物は入り組んだ路地の袋小路のような場所にあった。
木々が欝蒼と生い茂り、緑が日の光を遮る。 ここはセミたちの楽園。 けたたましい鳴き声が鼓膜に響く。
そんな中、ただ主を待ち続けるように佇む小さなアトリエ。

 

 ※大正9(1920)年築。 洋画家・佐伯祐三が仲間たちの手を借りて自ら建てたと伝わる。 当初は和風の住居部分が付属していたらしいが、老朽化の為に昭和61(1986)年に解体。 現在はアトリエと洋間のみが現存している。 
 佐伯祐三(1898~1928)は大阪に生まれ、東京美術学校(現・東京芸術大学)卒業後、渡仏しヴラマンクに師事。 はげしい筆触でパリの風景を描く。 一旦帰国後、再渡仏するも心身に不調をきたし翌年客死。 享年わずか30でした。 祐三の死後、夫人が昭和47(1972)年に没するまでここに住み、翌年には新宿区が建物を買収する。 現在は新宿区立 佐伯公園として敷地は開放されています(建物内には入れません)。  東京都新宿区中落合2-4-22  07年08月下旬

西岩国駅

2007-09-12 00:00:00 | 岡山・広島・山口





 昭和4(1929)年に岩国駅として開業。その後の山陽本線の変更に伴い、昭和17(1942)年に現在の駅名へと変更されました。車寄せのアーチ部分は錦帯橋を模したものであり、かつてはその錦帯橋への玄関口として大勢の観光客で賑わっていたといいます。 
 
 私がここを訪れたのは年明け早々の頃。時期的なものもあると思いますが、交通事情が車中心に変ってしまったからなのか、乗降客は誰もおらず非常に閑散としたものでした。それでも駅舎は輝きを失ってはおらず、モダンで堂々としたその姿はいつまでも町のランドマークたりうるものに感じます。  山口県岩国市錦見6丁目  06年01月上旬

桐林館

2007-09-11 00:00:00 |  三重県




 昭和11(1936)年築の旧阿下喜小学校でしょうか? 最初は建物の裏側を正面だと勘違いしていたので、「冴えない建物だな・・・」と思い込みましたが、表に回り込んでみたら御覧のように堂々とした建物だったので驚きました。 立派な玄関に換気用(?)の塔屋まで備わり、とても単なる小学校のようには見えない感じ。 現在はいなべ市の文化資料保存施設となっていて、通常公開をしてないようなのが少々残念です。  三重県いなべ市北勢町阿下喜(あげき)1980  07年08月中旬

 ※記事に加筆修正を加えました。

旧吉津郵便局

2007-09-10 19:00:12 |  三重県



 昭和8(1933)年に建てられた旧郵便局舎。 小さな港町の路地に隠れて、道行く人々を見守ります。 郵便マークと埋め込まれた赤ポストだけが過去を指し示す小さな(大きな?)しるし。  三重県南伊勢町(旧南島町)神前浦  07年08月中旬