細野ビルヂング

2008-12-23 09:45:45 |  大阪府



 建設会社であった細野組の本社屋として、昭和11(1936)年に完成。 当時の細野組は石材請負業も行っていた為、外壁下部や内部階段側面などには上質の石材が使用されています。 それらの石材は目の前に流れていた西長堀川を使って運び込まれましたが、今はその川も埋め立てられて周囲の地盤が上がり、建物は目の前の道路(長堀通)から一段低い位置になってしまったそう。 建設当初は白タイルが貼られていた外壁も、今は黒御影石の粉が塗られただけの素顔のままの外観。 誤魔化しが効かないだけに、建物の面造りの巧さが見て取れます。  大阪府大阪市西区新町4-5-7  08年01月上旬

 ※写真が一部大きくなります。
  参考  『大大阪モダン建築』  2007
      『大阪人』  vol.56 2002 

影澤医院

2008-12-22 07:10:11 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)




 明治44(1911)年築の現役洋館医院。 正面左手に増築された手術室と窓のサッシを除けば、ほぼ竣工当時の姿を保っているという素晴らしい建物です。 正面破風には右から左に「影澤外科院」という文字と、アルファベットのK・Sをもじったマークがあしらわれていました。  栃木県佐野市金屋仲町2472  08年11月下旬他

 ※現役の医院ですので、見学の際はご注意願います。

日本基督教団 八幡浜教会

2008-12-21 15:11:09 | 愛媛・香川




 昭和7(1932)年築の教会。 全体的なフォルムとしては教会というより変電所とかにありそうな造形をしています。 昭和58(1983)年刊行の『愛媛の近代洋風建築』ではヴォーリズ設計となっているのですが、昨今のヴォーリズ関連本の現存作品リストにはここの名前がありません。 内部は見ていないので外観写真だけを見比べた限りとしては、近年に改築されたようには見えず、あるいは元々ヴォーリズ設計の建物では無かったのかも知れません。 そう考えるとヴォーリズ“らしさ”が感じられないのにも納得がいくのですが。  愛媛県八幡浜市本町  07年01月上旬他


 ※おまけ  八幡浜市にはこの他にも古そうな建物がたくさん残っています。 場所も時間もメチャクチャですが、ここでちょっとだけご紹介。


 まず最初は西村邸のレンガ蔵。

 フランス積み + コーナーストーン。

 こちらは旧商店でしょうか。

 道路に面した部分には新し目のタイルが貼られていますが、横の窓周りには装飾が残っていますね。

 以前紹介した 下司医院。  


 この下司医院のお隣にあるのが若松旗店。

 創業180年の老舗染物店。 運が良ければ染めの現場も見られるそうです。

 若松旗店の斜向かいにも面白そうな建物が。

 奥が菊池邸?

 坂本歯科医院。

 看板の字体が面白いですね。

 こちらも以前に紹介した 大正湯。  


 千丈川に架かっているのが明治橋(昭和5年 1930)。


 下路式アーチ橋という珍しい構造の橋で、国内では現役最古のものだそうです。 『愛媛温故紀行』によると、当時の愛媛県内には優秀な土木技術者がいたか、若しくは招聘できる社会的・精神的な風土があった事がうかがえると説明されています。 女性的な丸みを帯びたラインが美しいですね。 

 こちらはたまたま見つけた雰囲気のある校門。 

 いつの時代のものでしょう。

 狭い路地に面して建っていたのが、高田左官。


 メダリオンが見事な看板建築です。

 商店街のアーケードにも気になる建物が目白押しでした。





 下司医院と同じ並びにあったのが、鍋重商店(明治25年築 1892)。 

 当初は旅館だった建物との事。

 木造3階建てのこの建物は、竹屋旅館(昭和初期築)。

 元は別府航路の船着場にあったものを、昭和20年頃に移築してきたそうです。 営業しているかどうかは微妙・・・
 
 こちらは竹屋旅館のすぐ近くにあった個人邸。

 これも看板建築になるのでしょうか。

 車通りに姿を見せるのが、金本鉄店(昭和7年築)。

 1階部分はかなり改変されていますが、スクラッチタイルの貼られた立派な建物は今も健在です。 雰囲気が梅美人酒造に良く似ています。

 裏通りには、松本理髪店。  

 昭和初期に改修されたもの?

 ようやく最後に、伊予銀行八幡浜支店(昭和11年築 1936)。 

 旧豫州銀行本店。 無駄な装飾が省かれたシンプルな外観をしていますが、内部にはコリント式の円柱が立ち並ぶ空間が広がっているそうです。 土日祝日を利用しての建築訪問がメインなので、営業中の銀行に入れる事が少ないのをいつも残念に思います。。。

渡辺翁記念会館

2008-12-20 00:00:00 | 岡山・広島・山口





 宇部興産の創業者であり、今日における宇部市の発展の基礎を築いた渡辺祐策(わたなべすけさく 1864~1934)を記念して昭和12(1937)年に建てられたホール建築。 建築家・村野藤吾(1891~1984)の最高傑作の一つともいわれます。 
 
 建物前面には関連会社7社による渡辺翁記念事業委員会を象徴して、6本の柱と一つの台座が配されており、建物の持つ記念碑的な意味合いを目に見える形で強調。 正面エントランスの両側には、“炭都”宇部市を象徴するかのように鉱夫のレリーフも刻まれています。 ここを訪問したのは大晦日でしたので内部には入れませんでしたが、建物の設計段階から音響の専門家に助言を仰いだというだけに、ホールの音響効果については国内外の音楽家からも非常に高い評価を得ているそうです。  平成17(2005)年に国の重要文化財に指定。  山口県宇部市朝日町8-1  05年12月下旬他

旧吾妻村警察署

2008-12-19 00:00:00 |  長野県





 明治30(1897)年築。 江戸時代の宿場の風景を色濃く残す妻籠宿の街並み。 明治期に建てられた警察署の建物は、観光案内所兼無料休憩所となって今も使用されていました。 段差の付いた2連の窓が特に目を引きます。  長野県南木曽町吾妻  07年03月下旬

 ※おまけ  旧警察署の横の階段を上った先に見つけたのが旧妻籠小学校。 『温もりの学舎』によると、真ん中の白っぽい建物を境にして向かって右が明治16(1883)年、左が昭和32(1957)年に建てられたものだそう。 廃校になってから10年ぐらい経ちますが、定期的にメンテナンスが行われているようで保存状態は悪くありません。  



いせさき明治館

2008-12-18 07:15:51 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)











 明治45(1912)年築の黒羽根内科医院旧館(旧今村医院)。 かつては伊勢崎藩の藩医であった今村家によって建てられた洋館医院建築です。
 下見板張りや窓上のペディメント、屋根のドーマーなど、洋館意匠をふんだんに盛り込みながらも背伸びしている印象は薄くて、正面玄関の引き戸に象徴される(和的な)親しみやすさを持ち合わせているのでは無いでしょうか。 屋根などに配された赤い縁取りもその印象を強めさせている感じです。 1階内部は畳敷きの部屋がメインになっており、板張りなのは診察室などに限定されています。 2階もほぼ和室で占められており、外からの光が差し込む上げ下げ窓を見なければ、洋館にいるという事を忘れてしまいそうです。  群馬県伊勢崎市曲輪町31-4  07年06月上旬他

鈴鹿峠自然の家

2008-12-16 19:08:34 |  三重県





 廃校になった木造校舎(旧坂下尋常高等小学校  昭和13年築 1938)。 もはや子供たちの姿は見あたらず、今は宿泊研修施設として誰かの帰りを待ちわびる日々です。  三重県亀山市関町沓掛123  07年08月中旬

可睡斎護国塔(かすいさいごこくとう)

2008-12-11 19:52:36 |  静岡県





 日露戦争(1904~05)後、戦没者八万人余りを慰霊する為に建設された護国塔(明治44年築 1911)。 原案設計は伊東忠太によるもので、当初は花崗岩積みで高さ約34メートルの塔を建てる計画でしたが、建設途中で設計の変更が行われ、鉄筋コンクリート造で高さ約18メートルの塔に改められました。 変更の理由としては、石積みでは強度的な不安が大きかったからとも云われます。 階段手摺りの阿吽(あうん)の獅子像や柱頭飾りの馬の上半身など、伊東忠太らしい東洋風の意匠が随所に見られ、一際異彩を放っていました。   静岡県袋井市久能2915-1  08年07月中旬

小山の洋館。

2008-12-10 21:28:56 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)




 郊外型の商業店舗が建つ幹線道路沿いにあった和洋並立の館(旧栃木県知事官邸 大正初期築)。 公園側から見ると単なる洋館付住宅のように見えますが、以前紹介した旧長野県知事公舎のように、和館と洋館を接続させ、その接続部分に玄関口を設けたタイプの建物のようでした。 場所的に当初からここに建てられていたとは思えず、あるいは他所から移築されてきたものかも知れません。 現在は個人邸になっています。  栃木県小山市  08年12月上旬

 ※現在は個人邸ですので、見学の際はご配慮願います。 

旧金田郵便局

2008-12-02 07:11:20 | 南とうほく (宮城・山形・福島)


 大正5(1916)年築の旧局舎。 玄関ポーチやファンライトなど入り口部分にはアーチが用いられ、ポーチの持送りには装飾として擬宝珠が付けられています。 現在は個人邸の敷地の中に取り込まれ、物置代わりに使われているようでした。  宮城県栗原市一迫川口繁昌家  08年11月上旬

 ※写真が一部大きくなります。


 ※おまけ  こちらは旧郵便局舎のすぐ近くで見つけた建物。 見た感じでは旧学校とか公民館とか、公共施設っぽい雰囲気です(詳細不明)。


埋もれかけた石造建物。

2008-12-01 19:08:30 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)




 那須烏山と茂木を結ぶ国道沿い、道路下に眠る建物に接する。 住所や建築様式から、大正14(1925)年に建てられた旧郵便局舎ではないかと推察(旧須藤郵便局?)。 軒下の不思議な紋様を見ているとクラクラしてきます・・・。 裏手に回り込んでみれば、どうやら現在は個人邸の一部として使われている様子でした(無断立ち入りダメですよ)。  栃木県茂木町(もてぎまち)  08年11月下旬


 ※おまけ  そういえば他でも同様の建物がありました。 未確認ですが、旧藤井郵便局(昭和3年築 1928)と思われる建物。 上記に比べれば埋まり具合は可愛いものです。。。  和歌山県御坊市藤田町藤井  07年08月中旬