淡山翁記念 報徳図書館

2009-01-31 16:49:42 |  静岡県




 報徳社は、江戸後期に二宮尊徳(二宮金次郎 1787~1856)が唱えた経済と道徳の融和を図った報徳思想の普及活動の為に、尊徳の弟子であった岡田佐平治により明治31(1898)年に設立されたのが起源のよう。 この建物は報徳社の2代目社長・岡田良一郎(岡田淡山)の業績を記念して昭和2(1927)年に建設。 小ぶりな建物ながら、昭和27(1952)年から昭和44(1969)年までは掛川市(町)の図書館として機能していたそうです。 現在は内部公開もされていて、玄関を入ると直ぐに階段室、2階は報徳社関連の展示室となっていました(1階は非公開)。  静岡県掛川市掛川937  08年07月上旬他



 ※おまけ  図書館に隣接しているのが、仰徳記念館(明治17年築 1884)。 有栖川宮邸の一部として建てられ、霞ヶ関離宮として使用されていたものを昭和13(1938)年に移築してきたそうです。 普段は公開はされていないっぽいですが、公会堂の管理人さんに特別に(?)見学させてもらいました。 内部は意外にも洋風な造りです。








 こちらは仰徳学寮。 仰徳記念館と一緒に移築されてきたもので、やはり有栖川宮邸の一部だそうです。 玄関前ではネコさんが気持ち良さげに睡眠中。



 最後に大日本報徳社公会堂(明治36年築 1903)。 こちらは有料で公開されています。 詳細はまた次回にでも・・・。

大谷好美館

2009-01-30 07:04:43 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)





 鹿沼市役所から少し南に行った辺り、中央小学校のグラウンドと向き合う形で建っている下見板の洋館(明治37年頃築 1904頃)。 破風の装飾や軒下の持ち送り、正面の上下2段になっている両開きの窓などが個性的で、建物自体もとても100年以上前の物とは思えないくらいに綺麗な状態を保っています。 自家設計の建物のようですが、歴代の家主が大切に扱ってきた様子が窺えますね。 ところで見ていて一つ気になったのは屋根の南側に載っている物体。 煙突にしては違和感があるのですが、これはいったい何なのでしょうか?  栃木県鹿沼市今宮町  09年01月中旬

 ※現在は個人邸と思われるので、見学の際はご配慮願います。
 ※追記  この建物は写真館だったらしく、屋根にある物体は明かり取りの天窓のようです。



 ※おまけ  こちらは大谷好美館と同じ並びにあった駒橋歯科医院。 門柱は古そうですが、建物は古いかどうか分かりません。  
 

 ※追記 大正14(1925)年築と判明しました。

大内資料館

2009-01-29 07:06:01 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)








 大内村役場として昭和4(1929)年に建てられたRC造の建物。 設計者の更田時蔵の作品というと宇都宮の旧大谷公会堂(旧城山在郷軍人会館)が有名ですが、あちらが大谷石を使った重厚な建物なのに対し、こちらは開口部にアーチを多用し、外壁を白く塗って軽快な印象を高めています。 左手角部は階段室かとも思いますが、2階のハメ殺しの窓にも手すりを付け、バルコニーの手すりから連続させて一体感を演出するなど細かい部分にも配慮を欠かしません。 個人的にはかなりお気に入りの建物です。  栃木県真岡市飯貝478  09年01月中旬


 ※参考  こちらが旧大谷公会堂(大正15年もしくは昭和4年築)。



 ※追記  更田(ふけた)時蔵は鳥取県の出身で早稲田工手学校を大正2(1913)年に卒業した第1回生。 同年に飯田徳三郎設計事務所に入所し、後に栃木県内務部土木課建築係に勤務。 一時期、神戸市電気局電気事業拡張工事部で発電所や変電所の設計に携わった後に宇都宮市の設計主任技師に着任したという。 自らの建築設計事務所を開設したのは大正12(1923)年であり、栃木県内の施設をRC(鉄筋コンクリート)造にて建て替える事が目標であったといわれる。 事務所開設直後は横浜市でRCの復興建築も手掛けている(大正12年の関東大震災によるものと思われる)。 参考『栃木県の近代化遺産』

二葉幼稚園

2009-01-28 07:16:18 | 山梨・新潟



 創立は大正10(1921)年という、新潟市内では最も古い私立幼稚園の園舎(大正12年築・1923)。 2階部分にまで立ち上がったベイウインドウがファサードを立体的に見せ、小さいながらもとっても印象に残る建物に仕上がっています。 当初は1階部分が幼稚園で2階が住宅、竣工当時の写真を見てみると2階の向かって左側の角の部分は小さなベランダになっていたようです。  新潟県新潟市中央区西中町714‎  07年06月中旬

 ※現役の幼稚園ですので、見学の際はご配慮願います。
  写真が一部大きくなります。

 ※2012年06月追記(訂正) この建物は平成9(1997)年に旧建物のデザインを踏襲して新築されたものだそうです。 ここにお詫びして訂正致します。

旧湊海軍病院病棟

2009-01-27 07:05:47 |  静岡県



 共立湊病院の敷地の片隅に残る建物(昭和10年築? 1935?)。 窓は破れ蔦は絡まり、内部はガラクタ置き場と化しています。 病院の下田への移転問題が取り沙汰される中、この建物の処遇が気に掛かります。  静岡県南伊豆町湊674  06年12月下旬

海老名市温故館

2009-01-26 07:07:00 |  神奈川県



 旧海老名村役場(大正7年築 1918)。 装飾性に富んだ玄関ポーチと、途中で形が変わる屋根が印象的な建物です。 村役場の後は町役場、商工会議所として使用され、昭和57(1982)年からは郷土資料館として活用されていましたが、耐震性の問題により平成18(2006)年の9月から閉鎖されていました。 その後、解体か保存かで揺れ動いていましたが、昨年(2008年)末に移築保存される方向で決定が下ったようです。  神奈川県海老名市国分南1-19ー36  08年09月下旬

黒田機器 赤羽工場

2009-01-23 07:12:12 |  東京都




 麻布の辺りにあった英国人住宅を移築してきたという建物(昭和10年以前築 1935以前)。 設計が外国人らしく、まさしく「異人館」という形容がピッタリくるような佇まいです。 黄色く塗られた下見板は、せせこましい住宅街にあるよりも緑に溢れた広いお庭の中で映えそうですね。  東京都北区志茂  08年04月上旬

 ※個人所有の建物なので、見学の際はご配慮願います。

東北学院大学本館

2009-01-22 07:06:38 | 南とうほく (宮城・山形・福島)





 キャンパスの正面に聳える、米国人建築家J.H.モーガン設計の建物(大正15年築 1926)。 秋保(あきう)産の凝灰岩を用いた外壁は、ザラっとした独特な風合いで石造建築のような趣(実際はRC造)。 創立明治19(1886)年の私塾・仙台神学校をルーツとする名門校に相応しい、荘厳な雰囲気を漂わせた建物です。 買ったばかりの新デジカメの設定が分からなくてCGのように写ってしまいました。。。  宮城県仙台市青葉区土樋1-3-1  08年11月上旬他 

旧甲良東小学校

2009-01-21 07:10:41 |  滋賀県




 9年もの歳月をかけて建てられた総ヒノキ造りの木造校舎(昭和8年築 1933)。 老朽化により取り壊しも検討されましたがリニューアルされて蘇り、現在は町立図書館に転用されています。 館内に流れるJazzyな音楽は、知的好奇心を誘う優しい序曲のよう。  滋賀県甲良町横関927  08年05月下旬

 ※参考 『温もりの学舎 木造建築の美を訪ねて』  2007

小樽バイン

2009-01-20 07:12:46 | 北海道主要部 (札幌・小樽・函館)



 明治45(1912)年築の旧北海道銀行本店であり、銀行建築の名手・長野宇平治の設計による建物。 辰野金吾の下で斜向かいに建つ日本銀行旧小樽支店の設計に携わりながら、自宅ではこの建物の設計も同時に行っていたという逸話が残るのが、名手の名手たる所以でしょうか。 カボチャ色に塗られた石造の建物は、現在はワインカフェになっています。   北海道小樽市色内1-8-6  07年04月下旬、05月上旬

 ※写真が一部大きくなります。

喜連川の不思議建物

2009-01-16 07:18:37 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)





 旧喜連川警察署に向かっている時に遭遇した不明建物。 元は銀行っぽい感じですが、色といい窓の形といい、柱頭飾りから大げさなパラペットまで、私が説明するには手に負えない妖し(怪し)過ぎる雰囲気に包まれています(笑)。 扉の張り紙を見ると直近までJAの喜連川支所だったみたいですが、移転により訪問時は空家の様子でした。 古い建物で間違いないと思いますが、いったいこれはどういう建物なのでしょう・・・。  栃木県さくら市喜連川  08年12月上旬

 ※11年02月追記 旧喜連川興業銀行本店(大正2年)らしいです。  

南条ふるさと資料館 国華

2009-01-15 18:51:00 | 富山・福井




 かつての国華小学校の一部を移築して建てられた資料館(大正11年築? 1922?)。 玄関と後ろの本体部とでは違う建物だったようですが、腰部分に同じタイルを用いて統一感を持たせています。 雪に対する備えなのか、玄関ポーチは大きくて頑丈そうな造りになっていますね。  福井県南越前町(旧南条町)脇本17-38-1  08年07月中旬  

下伊那教育会館

2009-01-14 23:13:20 |  長野県




 下伊那教育会の創立50周年(昭和12年)を機に計画・着工された教育会館(昭和13年築 1938)。 正面破風下の3連の装飾が目立つ位の控えめな建物ですが、玄関上の「教育會館」の字体がダイナミックでアンバランスなのが面白いです。  長野県飯田市仲ノ町308  07年03月下旬

 ※おまけ  教育会館に隣接する旧高野産婦人科(昭和7年築 1932)。 自家設計の建物のようです。  



御影公会堂

2009-01-13 19:42:09 | 京都・兵庫















 白鶴酒造社長・嘉納治兵衛からの寄付により建てられたという公会堂建築(昭和8年築 1933)。 角部の優しいアールの庇と、その上に鎮座する展望台に先ず目が行ってしまいますが、南と西面に設けられた縦長の連窓や北に向かって階段状になって下がっていく屋根の形状など、見る角度によって随分と印象が変わる面白い建物でもあります。 年末の訪問でしたので中には入れませんでしたが、太い円柱や階段部分のガラス天井、地下に備わった食堂などが内部の特徴だとか。 昭和30年代には結婚式場として整備され、およそ2万組ものカップルを送り出したという建物は、これからもまだまだ市民の為のお努めを続けてくれそうです。  兵庫県神戸市東灘区御影石町4-4-1  08年12月下旬

 ※参考 『近代の歴史遺産をたずねて』  2006

 09年01月下旬再訪。 内部写真を追加しました。