明治42(1909)年に当地の素封家・小西家によって建設され、大正10(1921)年に既存の町屋の前面を増改築する形で完成した郵便局舎。 設計は近江八幡を拠点に活躍した米国人建築家(後に帰化)W・M・ヴォーリズによるもので、昭和36(1961)年に郵便局が移転した後は一時的に別の用途に使用され、その後は長い間放置され玄関部分が取り壊されるなど建物は荒れていました。 しかしその状況を危惧する有志達6名によって始められた保存運動によって少しづつ整備・再生工事が行われ、現在は広く一般に開放されるまでの状態に戻っています。 滋賀県近江八幡市仲屋町中8 07年11月下旬他
※参考『ヴォーリズ建築の100年』 2008
『湖国のモダン建築』 2009
正面外観。 スパニッシュに和風を加味した折衷様式になるそう。
平成16(2004)年に復元された玄関(庇)部分。 他の部分と見比べるとまだ少し新しい感じが残っていました。
ここにも円弧状の庇。
軒の一部が途切れ、その部分を破風状に立ち上げる。 中央の装飾は…
関西学院の本部棟(昭和4年・1929)などに似たものでした。
こちらは経済学部。
旧八幡郵便局に戻って室内の木製カウンター。
内部も自由に見学出来ます。
天窓があって奥の方も明るい。
この部屋は無料の休憩所になっていました。
郵便局時代の窓口。
ドアノブは紫色のクリスタル。
室内にはアンティークショップがあって絵葉書なども売られています。
室内を通り抜けて建物裏手へ。
2階への階段。
上っていく。
クランクを抜けて。
天窓部分。
2階は主に電話の交換室で、現役当時は10人余りの若い女性がここで働いていたそうです。
今は各種資料展示室。
活気に満ちた華やかな仕事場だったんでしょうね。
ヴォーリズの結婚式の写真が飾られていました。 大正8(1919)年、夫・メレル38歳、妻・満喜子35歳。 東京の明治学院チャペルでの幸せの一コマ。
局長の小西氏は、建築家になる前の英語教師時代のヴォーリズの教え子でした。
ヴォーリズ建築を愛する人たちの手により、これからも守られていきます。