かつて織物の街として栄え、甲斐絹の集散地であった都留市に残る絹問屋の建物(大正5~10年築 1916~1921)。 現在は都留市商家資料館として一般に公開されています。 山梨県都留市上谷3-1-20 09年02月中旬他
国道139号沿い。 土蔵造りのこの建物は郡内織物会社(絹織物の仲介業)経営の仁科源太郎が建てたもの。
店舗にあたる玄関の間。 土間と畳敷きの部屋が連なる。
階段の親柱は後付けっぽい。
生地見本でしょうか。
廊下の板は全て欅板。 歪みのあるガラスが時代を感じさせます。
離れになっているトイレ。 男子便器は新しい物でした。 女子用は未確認。。。
欠けているのが惜しい。
木組み部分の装飾。
こちらの離れは非公開。
3色使いのタイルが艶やかです。
洋間が二つ。 手前が仏間で奥が応接間。
大きな仏壇は京都にまで出向いて購入したもの。 床板は市松模様になっています。
象嵌細工?
仏間の明かり取りの窓。
異なるテクスチャーの組み合わせが建築に深みをもたらす。
応接間の絨毯と応接セットは当時からの物で外国製。 建築主の商圏が中国や台湾、朝鮮半島から樺太にまで及んでおり、海外との交流による体験がこの洋間に生かされているそう。
天井の漆喰装飾。 照明は天井枠部分に光源を取る間接照明だという。
中心飾りを拡大。
石炭ストーブは仏間と応接間の壁をくり抜いて設置されており、2部屋同時に暖が取れる仕組み。
右から読んでフクロク(福禄)ストーブ。 大正末に札幌の鈴木豊三郎が興した会社みたい。
出窓の外はまだ室内でした。
階段を上がって2階へ。 『弁達ホテル』の看板がこんな所に・・・
さっき見た離れのトイレを上から観察。
3棟連なる2階建ての蔵も仁科家の物でしょうね。
階段の転落防止用の柵にも装飾。
数ある建築サイトでもほとんど取り上げられないのは外観が地味すぎるから? もっと知られても良いと思う建物です。
※おまけ すぐ近くの交差点にあるこの建物は、他サイトの情報だと昭和5(1930)年築の旧呉服屋だそう。 10年位前、2ヶ月に一度ほどの割合でこの先にある管理釣り場に悪友と通っていました。 その行き帰りに見たこの建物の店のシャッターはまだ開いていたように思い返します。