旧安岡町役場

2009-09-30 07:09:15 | 岡山・広島・山口







 昭和10(1935)年築の旧町役場。 左右対称で役所らしい堅実な方向性でまとめられていますが、入り口へのアプローチを階段とスロープによって高くする事により玄関部分を中心に建物を権威づけているようにも感じられます。 正面の解説板では「郷台地資料室」として、弥生時代の遺跡から出土した土器や石器などを展示・研究する施設として開設された旨が記してあります。 しかし公開しているような情報も無く、端的に言ってしまえば現在は文化財収蔵庫といった倉庫的な使われ方をしているのでしょうか。  山口県下関市安岡本町2  05年12月下旬他

 ※おまけ ここと目と鼻の先にあるのが松本洋品店。 昭和10年に建設された旧安岡農業協同組合を改装したものです。 構造も旧町役場と同じRC造の立派な建築さん。


旧日本捕鯨別館

2009-09-29 07:09:56 | 岡山・広島・山口




 “こぶ”のように盛り上がった高台の上にある建物(昭和元年築 1926)。 白地に赤いタイルがアクセントになって非常に目を引く存在です。 正面向かって右側の部分は窓の形や屋根の高さが違っていて後年の増築のようにも思えます。 以前は島津海運下関営業所となっていましたが、今回訪れたらもぬけの殻になっていました。  山口県下関市岬之町13-7  05年12月下旬他

 ※おまけ 近くにあったこの建物は昭和2(1927)年築の大崎ビル(旧大崎質店)でしょうか。 今回の訪問(シルバーウィーク)では見た記憶がありません・・・。


末松商店

2009-09-28 07:12:05 | 福岡・長崎・佐賀






 醸造業から製材業、石灰石供給など多岐に渡る業務を経て、現在のニビシ醤油に繋がる企業が建てた事務所建築(大正8年頃築 1918頃)。 木造かと思いましたが鉱滓煉瓦造りの建物のようで、1階と2階で窓の上部や壁面の処理を変えつつ腰部分と門柱は同じ煉瓦で揃えるなど、小気味良い趣向が目に留る渋い作品です。  福岡県北九州市八幡西区田町2-5  09年04月下旬

 ※参考 『北九州の近代化遺産』  2006

旧鳥取高等農業学校本館

2009-09-27 07:14:58 | 島根・鳥取




 鳥取の三洋電機の構内に残る大正10(1921)年築の木造校舎。 煉瓦の基礎や屋根にそびえる望楼なども健在です。 昔の写真を見ると後ろにもっと長く延びた建物でしたが、どうやら切り取られ正面部分だけが保存された模様。 隣にあったはずの講堂(大正12年築)も現存していませんでした。 現地案内板では辰野金吾(1854~1919)の基本設計とされています。  鳥取県鳥取市南吉方3  06年11月上旬

 
 ※おまけ ここから少し離れた立川町の三洋電機の敷地内には、明治31(1898)年築の旧歩兵第四十連隊の建物(兵舎?)が何棟か現存しています。

砺波郷土資料館

2009-09-26 07:35:57 | 富山・福井








 入母屋土蔵造りのこの建物は中越銀行本店として明治42(1909)年に完成したもの。 昭和18(1943)年に一県一行の国策により十二銀行などと合併して北陸銀行となり、同行の出町支店(後に砺波支店)となっていましたが、出町地区の区画整理事業によって解体の危機に直面し、昭和53(1978)年に現在地に移築保存される事になりました。
 
 現在は外壁に薄茶のタイルが貼られ軽さも見せていますが、建設当初は黒漆喰塗り(江戸黒)の大変重厚なもので今とはまた違った様相をしていたそうです。 ところが外観のイメージから内部に入ってみれば印象はもっと違うものになり、吹き抜けを持った洋風な空間が広がっているのにはただ驚かされます。 2階の回廊部分には上がれませんでしたが、欅(ケヤキ)のカウンターや優美な曲線を描く螺旋階段、天井に貼られた金唐革紙や玄関入り口部分の漆喰細工など見所は十二分。 高岡商工会議所(旧伏木銀行)町民文化館(旧金沢貯蓄銀行)もそうでしたが、外観だけで建物見学の取捨を決めるとこういう建物は見逃してしまいます。  富山県砺波市花園町1-32 チューリップ公園内  08年06月上旬他

日本瓦斯本社

2009-09-25 07:09:56 | 大分・熊本・宮崎・鹿児島




 鹿児島中央駅から東に延びる「ナポリ通り」に面するタイル貼りの建物(旧日本水電本社 昭和6年築 1931)。 窓の間に配された柱状の装飾が垂直線を強烈に印象付け、南国の太陽に負けない存在感を与えています。 かつては3階はビリヤード台を2台置いた娯楽室・碁・喫煙室になっていました。 設計・渡辺節。  鹿児島県鹿児島市中央町8-2  09年05月上旬

丹鶴ダンス教室

2009-09-24 07:13:21 | 奈良・和歌山



 西村記念館へ行く道を一本間違えて入ってしまい、路地の先に偶然見つけたこの建物は明治38(1905)年に建てられた旧新宮郵便局でした。 元は違う場所にあったものを移築・増築して現在の姿になっているそうです。 両脇の大きな開口(ガレージ?)も後年の改造でしょうね。 飾り板付きの玄関庇の上に設置されたエアコンの室外機はもう少し場所的にどうにかならなかったんでしょうか…。  和歌山県新宮市新宮7683-54  07年08月中旬


 ※おまけ その1  駐車場を挟んで隣りにあるのは熊野経理専修学校(昭和10年築・1935)。 前の道が狭くて「引き」が取れないので全体を写せませんが、こちらも下見板の建物です。 玄関ポーチに算盤(ソロバン)の珠がデザインされているのが経理学校らしくて面白い。




 ※おまけ その2  旧チャップマン邸(大正15年築・1926)。 こちらも西村記念館のすぐ近くにあります。 雑草の生え具合やクモの巣の張り方を見ると訪問時は空き家のようでした。 西村伊作設計の建物です。



豊岡高校達徳会館

2009-09-18 07:05:05 | 京都・兵庫






 明治29(1896)年竣工の旧豊岡尋常中学校本館。 玄関上の突出した小部屋部分は御真影(天皇・皇后の写真)を安置した奉安所でした。 北但馬地震(大正14年 1925)によって市内の多くの建物が倒壊・焼失してしまった豊岡では、このような明治期の木造建築は大変貴重なものになります。  兵庫県豊岡市京町12ー91  08年10月中旬

旧共同高田銀行

2009-09-17 07:05:13 | 大分・熊本・宮崎・鹿児島




 「昭和の町」、豊後高田に残る赤レンガの銀行建築(大正10年築 1921)。 レンガといっても純粋な煉瓦造ではなく、鉄骨の骨組みにレンガを積んだ耐震耐火構造になっているようです。 銀行が移転した後は一般住宅やレストラン等として使用されましたが現在はガレージとなっています。  大分県豊後高田市中央通  09年05月上旬


 ※おまけ  同じ並びにあった尾形医院(詳細不明)。 絡まる緑の蔦が美しい。


大阪府立中之島図書館

2009-09-16 07:08:31 |  大阪府















 住友家第15代当主・住友吉左衛門友純の寄付により建設された図書館(明治37年築・1904)。 設計は住友家お抱えの建築家・野口孫市によるもので、左右の増築部分は野口の補佐をしていた日高胖によって大正11(1922)年に完成しました。
 ギリシア神殿のような正面の大オーダーが圧巻の建物ですが、天井ドームから光が降り注ぐ中央ホールの美しさも特筆もの。 高揚した気分がいつしか知的欲求心へと転換していくような上昇感が味わえます。  大阪府大阪市北区中之島1-2-10  08年01月上旬他

 ※内部撮影には書面手続きが必要です(簡単な紙一枚書くだけ、詳細は入り口受付で)。 

茨城県立商業高等学校旧本館玄関

2009-09-15 07:10:14 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)






 東京帝国大学の建築学科を繰り上げ卒業し、直ちに茨城県の営繕技師として赴任し腕をふるった駒杵勤治(1877~1919)の作品(明治37年築・1904)。 彼は2年3ヶ月の任期中に県立図書館(M36)や幾つかの県立学校、麻生警察署(M36頃)などの建物を手掛けましたが、現存しているのはこの建物と旧土浦中学校本館(M37)、旧太田中学校講堂(M37)の3棟だけ。 短期間に数多くの作品を送り出している点からも凝縮された密度の濃い任期期間だった事が窺い知れます。 その後も彼は長崎などで活躍しましたが他に現存している作品も無く、大正8(1919)年に42歳の若さで没しています。 ほとばしる才能の全てをこの時代に集中させてしまったのでしょうか・・・?   茨城県水戸市新荘3-7-2  07年04月中旬他

旧植竹庄兵衛邸

2009-09-14 07:06:55 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)







 昭和14(1939)年築の個人邸宅。 頂いた資料にはアール・デコ風とありますが、個人的には東洋思想の入り混じった宗教建築のような一風変わった匂いを感じてしまう作品です。 植竹庄兵衛は江戸崎干拓の生みの親で、戦前の一時期、この建物には皇族の久邇宮朝融殿下(当時は海軍鹿島航空隊総司令官)が住んでいた事があったそうです。 戦後は「大日苑」となって結婚式場等として利用されていました。 事前予約で建物の内部見学も可能との事です。  茨城県稲敷市江戸崎甲2354  09年08月上旬

旧日本勧業銀行松本支店

2009-09-12 07:00:00 |  長野県





 現在はホテル併設型のウエディング施設となっているこの建物は、昭和12(1937)年に建てられた、かつての日本勧業銀行の松本支店です。 オーダーやペディメントといった古典様式を用いた典型的な銀行建築ではありませんが、放物線を描く正面の7連アーチが新しい時代の銀行建築としての格式を存分に感じさせます。 設計は日本勧業銀行の営繕課?  長野県松本市大手3-5-15  06年07月中旬他


 ※おまけ こちらは同じ通りにある青翰堂さん(古書店)。 両側をビルに挟まれてしまって窮屈そうですが、ぷち松本城といった趣が可愛らしく、屋根(天守)にはちゃんと鯱も載っています。


旧宮北秀吉家事務所

2009-09-11 07:05:52 | 北海道 その他のエリア



 大正4(1915)年頃に建てられた木骨石造りの建物。 設計はドイツ人と云われ、木材業を営んでいた施主の自宅兼事務所として美瑛産の軟石を積み上げて仕上げた建物だそうです。 1階と2階では窓上の形、外壁の目地の処理を変え、正面と側面とではペディメントの形も変えるなど小技を効かせています。 現在は旭川市の教育委員会が倉庫等として使用しているようです。  北海道旭川市9条10丁目  06年05月上旬

 ※写真が一部大きくなります。

高輪消防署二本榎出張所

2009-09-10 07:08:11 |  東京都










 白色のタイルで覆われた陸地の灯台のような建物は、昭和8(1933)年に当時の高輪消防署として建てられたもの。 3階部分の円形講堂や望楼に配された丸窓がいかにも昭和モダンっぽい雰囲気です。 今や周囲の超高層マンションに高さで圧倒されてしまい見下ろされるばかりですが、かつては周りに高い建物も無く、東を見渡せば東京湾のあたりまで見通す事が出来たそうです。  東京都港区高輪2-6-17  06年09月上旬他