昭和2(1927)年に京都・東山の九条山に日仏の文化交流とフランス語教育の為に設立された関西日仏学館が、昭和11(1936)年に現在地に移転してきた時に建てた2代目の建物。 基本的な設計はフランス人のレイモン・メストラレが担当し、大阪に設計事務所を開設していた木子七郎が京都の気候風土に合わせて実施設計を行っています。 正面中央の2階部分に曲面をつけて張り出させ、同じく曲面のついた柱型を配して直線と曲線を上手くミックスさせるなど、古典的な秩序の中にモダニズムを織り込む手法は現在においても古さを感じさせない建物とする事に成功しています。 京都府京都市左京区吉田泉殿町8 12年10月下旬他
※参考『京都の近代化遺産』 2007ほか
東大路通を挟んで京都大学の吉田キャンパス(本部)と相対する。
RC造地上3階、地下1階建て。
四隅も丸い。
12月に入って木々が落葉した時に撮りました。
クリスマスツリーも飾られている。
1・2階は主として教室や図書室などの学校施設、3階は館長の居住空間でした。
現在は1階にはカフェがあってフレンチも気軽に楽しめるようです。
玄関入って直ぐの床に敷かれていたモザイクタイル。 色使いがお洒落~。
壁には何やらプレートが。
建設にあたっては大阪商工会議所会頭や貴族院議員も務めた稲畑勝太郎(1862~1949)の存在が大きく、彼の呼び掛けで多額の寄付金を集めたようです。
竣工当初は木子の友人であったレオナール・フジタ(藤田嗣治 1886~1968)が絵画『ノルマンディーの四季』を描き寄贈し、1階に飾られていたともいう。
木子七郎の家系は元来、京都御所出入りの棟梁の家柄。 彼はこの建物や日本赤十字社の支部建物の設計などにより昭和12(1937)年にフランス政府からレジオンドヌール勲章を授与されました。