旧金石警察署

2013-02-23 19:22:34 |  石川県


 金沢駅から県道17号(通称・金石街道)に沿って北西に進むと左手に見えてくるこの建物は昭和3(1928)年に金石警察署として建てられたもの。 警察署の後は「銭五遺品館」として江戸時代後期の加賀の豪商・銭屋五兵衛と家族の遺品を展示する施設として長く使われていました。 平成9(1997)年に遺品館が移転してしまった後は使われていなかったそうですが、近年になって地元青年団や有志らにより「かないわ銭五」と命名されてバーなどとして活用が始まっているみたいです。  石川県金沢市金石西1-6-18  10年07月中旬

 ※参考『石川県の近代化遺産』 2008



 玄関部。 両脇はガラスブロック。


 柱頭飾りが庇を突き破って上に出てしまっています。


 

 コーナーに丸みを持たせてまるで歌舞伎の隈取りのように不思議な形状の装飾を纏う。 アール・デコとか表現派風の建築意匠が混じっているような感じです。




 窓は小さめ。


 早朝の訪問でしたから営業はしていませんでしたが確かにバーという雰囲気です。




 RC造で予算2万円(当時)の建築。 平面はL字型をしています。 裏には平屋の留置場(こちらもRC造)があったようですが今は取り壊されて駐車場です。


 バスターミナルの前に建っています。

松任明治洋風館

2012-08-07 19:25:35 |  石川県


 開業は明治7(1874)年、この地で代々産婦人科を営んだ竹田家が明治40(1907)年に建てた洋館医院。 平成9(1997)年に土地建物は寄付をされ、現在はギャラリーや集会所として整備され公開されています。  石川県白山市(旧・松任市)四日市町7-1  10年07月中旬



 雪国ですが玄関ポーチの上はバルコニーになっています。


 

 可憐な装飾の中央には医院名を記した扁額でもかかっていたのでしょうか。


 現建物は東京医学専門学校済生学舎を卒業した2代目の時代に建てられたもの。


 復元されたものと思います。




 歴史を考えれば親子3代、あるいはそれ以上に渡ってここで生を受けた人達もいるのでしょうね。


 1階部分には竹田医院の歴史紹介の展示もありました。


 背面はこんな感じ。




 昭和63(1988)年、初代から数えて4代目の時に竹田医院廃業。 百十数年にも及ぶ医療活動にピリオドが打たれる。

旧西浦郵便局

2012-01-19 19:37:32 |  石川県


 鹿頭の集落で代々地主を務めた森田家により昭和7(1932)年に建てられた郵便局舎。 当初は茅葺き屋根の大きな母屋の一部を改修して郵便事業に用いていましたが、事業内容の多様化に対処するべくこの建物を新築し、昭和53(1978)年まで郵便局舎として使用していたそうです。  石川県志賀町鹿頭  10年07月中旬

 ※参考 『石川県の近代化遺産』 2008



 植栽の状態を見れば、今はこの扉から人の出入りが無いであろう事が分かります。


 金物の持ち送りも錆びつく。


 ヘタに扉を開けたら中の物が崩れてきそう。 良く見ると窓の桟は〒を象っていますね。


 屋根に一対の鯱(しゃちほこ)。 火除けのおまじない。


 1階北側の壁がぶち抜かれて内部はガレージと物置になっていました。




 100メートル余りも西に行けば日本海が開けています。

旧上野啓文堂

2011-09-02 07:18:02 |  石川県


 氷見の出身で金沢で万年筆・文房具商いの修行を終えた上野啓氏が、万年筆専門・文具店を開業するにあたって昭和7(1932)年頃に建設。 自らが外観をデザインし細部にわたるまで職人に指示を出したと伝わり、竣工当時は3階建てでバルコニーまであった建物といわれます。 万年筆を専門販売し高級文具類まで広く取り扱いましたが、近隣には小中学校や女学校、商業学校から船員学校まであった事から店は大繁盛し、戦中には出征する学徒達がここで万年筆を買い求め戦地へ赴いたという、ちょっと切ないエピソードも残る建物です。  石川県七尾市一本杉町32-1  06年08月中旬他

 ※参考『石川県の近代化遺産』 2008



 万年筆のペン先型の窓が二つ。 その下にはインク瓶と万年筆本体をモチーフとした装飾があります。


 柱頭飾り。


 ◯◯◯◯◯◯◯…。


 現在は雑貨店として上手に活用されているよう。 いつまでも大切にしてほしい建物であります。

小松市立 空とこども絵本館

2011-07-19 19:29:39 |  石川県


 この建物は昭和6~7(1931~32)年頃に建てられた、かつての小松警察署のファサード3面の外壁と塔屋状の階段室を残して平成18(2006)年に再生された建物。 設計者は石川県営繕部の中宮勝二、施工は石黒合名会社となっています。  石川県小松市子馬出町10-3  10年07月中旬



 正面上部を飾るメダリオン。 警察署の建物とは思えない華やかな図柄。


 ポーチを支える柱は手摺子のようなデザイン。


 現在は使われていない正面玄関。 基礎の部分がかなり厚い(高い)印象です。


 ここは開かずの扉?


 1階北西部の角の処理の仕方。


 設計者のこだわりが感じられる部分です。
 

 建物の南面。 分離派風の作品ともいわれます。


 45度傾けて設置した四角窓と丸窓の対比のアンバランスさは何かの意図があるのでしょうね。


 こうゆう所を覗きこんでいると通行人から怪訝な顔を向けられるのが恥ずかしい。


 幼児向けの絵本館という事もあって中に入っていくのは小さな子供を連れた若いお母さん達ばかり。 男一人で入館する勇気がございませんでした。。

旧石川商銀信用組合小松支店

2010-09-10 07:04:07 |  石川県


 旧加能合同銀行小松支店(昭和5年築 1930)。 円筒形になったコーナー部分、装飾を簡略化しスクラッチタイルを貼り廻らした外壁など、旧来のいわゆる「銀行建築」とは一線を画したモダンな建物。 現在は「空とこども絵本館」分館・絵本館ホール(十九番館)となって必要最低限の改修のみで活用されています。  石川県小松市京町19-5  06年08月中旬他



 一つ目のような窓。 2階の屋根から連続する水平線部分だけスクラッチタイルを縦貼り。




 かつての正面玄関。 上部はヴィオラのような弦楽器を連想させる独創的なデザイン。




 円筒形のこの部分は螺旋階段になっているそう。 見たかった。。。


 左側の大きなガラス窓の建物が活用に当たっての増築部分。


 向かい合う山本久次商店(昭和5年築)も現在は似たような茶色の外壁に変更されています。


 これが今の姿。

旧福浦灯台

2009-05-31 08:39:53 |  石川県



 明治9(1876)年に日野吉三郎により建てられた小さな灯台。 高さは5メートルで、現存する日本最古の木造灯台だそうです。 北前船が行き交っていた頃には、この小さな灯台からの僅かな光でも船乗り達にはそれこそ頼もしく思えたでしょう。  石川県志賀町(旧富来町)福浦港  06年08月中旬

 
 こぼれ話。  この灯台の近くには車数台を停められるスペースがあるのですが、そこまでの道が狭い上、少し手前にある坂道クランクが脱輪の危険があるので運転には大変気を使います。 大型ミニバンは厳しいかも。 おまけに車を降りて灯台へ向かう小道には、おびただしい数のフ・ナ・ム・シ。 その数ざっと、数百匹(数えちゃあいませんが)。 一歩近寄ればワサワサァーと、『モーゼの十戒』で海が割れるように道を開けてくれますが、小道は人が1人くらいしか通れない狭さなので、きゃつらの陣地に踏み込むのは身の毛がよだつオゾマシサがあります。 一瞬マジで灯台を諦めようかと思いました(汗)。 基本的に虫苦手な管理人ですが、この時はさすがに意を決して小道に飛び込み灯台を見学。 しかし見学を終えて車に戻ってからも、自分が居ない間に車内に何匹か入り込んだのではないかという妄想に取りつかれ、見えないフナムシの亡霊に暫らく苛(さいな)まれました・・・   

深田久弥 山の文化館

2008-11-20 00:00:00 |  石川県






 昭和50年代半ばまで絹織物が生産されていたという旧山長織物会社の洋風事務所棟(明治43年築 1910)。 今は役目を終え、地元・大聖寺出身で登山家であり文学者でもあった深田久弥(ふかだ きゅうや 1903~1971)の“ゆかり”の品々や、山岳資料などが集められた施設に転用されています。 シンボルでもある大銀杏の大木に守られて館内には涼やかな空気が流れ、ここが風の通り抜ける場所である事を肌で感じさせてくれていました。  石川県加賀市大聖寺番場町18ー2  06年08月中旬

 ※写真が一部大きくなります。

 
 ※おまけ  こちらは大正4(1915)年築の織田理髪店(旧大聖寺物産館)でしょうか? 改修が著しくて塔屋が無ければ古い建物には見えません。 『石川県の近代化遺産』では旧八十四銀行となっています。  大聖寺山田町



 
 お次はたまたま見つけた下見板の洋館。 旧郵便局風ですが詳細は不明です。 




 最後に 竹の浦館(旧瀬越小学校 昭和5年築 1930)。 廃校になった木造校舎を、NPO法人によって運営される地域交流施設に再生。 早朝でしたので外観だけ見学しました。  大聖寺瀬越町イ-19-1



福岡第一発電所

2008-07-14 19:11:17 |  石川県



 金沢電気瓦斯会社により、明治44(1911)年に建設。 国道157号を走っていると見えてくるレンガ造りの大変美しい発電所です。 手取川の豊富な水量を利用して今なお発電を続ける現役選手。  石川県白山市河内町福岡日171-2  06年08月中旬 


 ※おまけ こちらは手取川を少し上流にいったところにある 吉野第一発電所。 大正10(1921)年築の同じく現役選手で、遠目に見る限り程度も良さそうです。 両建物とも現在は北陸電力により管理されています。 


禄剛埼灯台

2008-03-06 18:21:49 |  石川県



 能登半島の最北端に位置するこの灯台は、明治16(1883)年にイギリス人技師の設計で築かれたもの。 正面の記念額に菊の御紋章がついているのは全国でもここだけだそうで、歴史の重みを感じられます。  石川県珠洲市狼煙町  06年08月中旬

 ※おまけ こちらは多間栄開堂(昭和5年築 1930)。 和洋菓子のお店です。 情報が無くて珠洲ではこれしか見つけられませんでした(無念)。  石川県珠洲市飯田町

 

無限庵

2007-12-17 00:00:00 |  石川県










 山中温泉の外れ、「こおろぎ橋」を渡り坂道を上がっていくと和風の建物が見えてきます。 加賀藩家老・横山家の金沢の邸内に明治末期に建てられた書院を大正時代に山中温泉に移築したもので、当時の木造技術の粋が集められた建物。

 玄関横の銅鑼を叩いて入場すると、すぐ横には小さな(本当に小さな)洋風の応接間がありました。 てっきり完全な和風建築だと思いこんでいたので少々意外な感じがしましたが、建物は後年になって増築された部分もあるらしいので、あるいはここがそうなのかも知れません。
 一番の見所となる書院主室は、壁やふすまに金粉で雲や山が描かれていて結構ゴージャス。 金粉というのが(旧所在地の)金沢らしい所ですが、それでも下品で嫌味な感じが全くしないのは武家書院の伝統がなせる技でしょうか。 邸内には広島浅野公爵家の茶室・静浄庵も移築されているのでお忘れなく(見落した。。。)。  石川県加賀市山中温泉こおろぎ橋岩頭上ル  06年08月中旬

小松高校記念館

2007-10-30 07:09:45 |  石川県



 明治32(1899)年創立の旧石川県立第四中学校の開校当時の校舎。 ピンク色のペンキが嫌みなく馴染んでいる可愛らしい校舎でした。 構内には明治44年に建てられた講堂も残っている?  石川県小松市丸内町二の丸  06年08月中旬

 ※ 写真が一部大きくなります。

春木屋

2006-12-01 07:07:36 |  石川県




 御婦人向けの洋品店(大正10年築?・1921?)。 能登方面の建築については情報を持っていなくて、正直あまり探し出せませんでした。 珠洲・輪島などもちょっとだけ探索しましたが、恐らく多くの建物を見落としたかなと思うとかなり残念です。  石川県七尾市桧物町5  06年08月中旬

 ※11年08月下旬再訪。 写真の追加を行いました。

旧志雄郵便局

2006-11-29 07:04:39 |  石川県



 昭和8(1933)年築。 騒がしい外観とはうって変わって現在は使われていないのか寂しそうな様子。 こういう建物は長い間放置されていて、あるとき急に無くなってもそこに何があったか思い出せない、という事が多い気がします。 古い郵便局舎は総じて哀愁を湛えた作品が多く個人的には好きなのですが、この建物もいつのまにか人々の記憶から消えていってしまうのかもしれません。  石川県宝達志水町小浦(しお)  06年08月中旬

 ※追記  07年解体されたようです。

日本自動車博物館 明治記念館

2006-11-01 07:09:11 |  石川県



 明治中期に野松医院として富山県砺波(となみ)市に建てられる。 その後、大正初期に移築され水島村役場となり、さらに昭和57年に小矢部市の日本自動車博物館に移築。 しかし同博物館の移転に伴い3度目の移築となって現在地にようやく落ち着くことになりました。 非常に端正な擬洋風建築です。
 駐車場の片隅に建っているので外観の見学は常時可能ですが、内部の公開は年に数回しか行われていない模様。 HPには公開日の告知が出ていますので内部見学はそれに合わせて行くしかないようです。  石川県小松市二ツ梨町一貫山40 日本自動車博物館内  06年08月中旬他

 ※参考 『日本列島 西洋館の旅』