食う、寝る、ただ・・・しかし、ねえちゃんはいないし、酒・タバコはだめ
再びフーテンの登場で眉をひそめる方もおられるでしょうが、なにしろ藤島尊師の指名で、断ったらポアされかねませんので、猛暑が収まった今投稿します。
私は、久里浜刑務所で園芸を教えています。塀の中は、シャバとは全く違う世界です。もう6年になりますが、はじめに「久里浜刑務所は軽犯罪の初犯で暴力団でない人が収容されています。」と説明されましたが、ちょうどいかにも暴力団風のものが手錠をかけられて通り過ぎ、「いや今の者は未決で未決の場合は暴力団もいる。」との説明でした。しかし、体操でランニング姿になると刺青は普通にみられ、シャバとは違う雰囲気です。横浜から来た刑務官の話ですと、「久里浜は食事がよい。」とのことで、多分外人もかなり収容されているせいかと思います。塀の中では、刑務官同士がすれちがうと大声で敬礼して挨拶をかわしますが、その声はなんと言っているかわかりません。
園芸は2時間講義、2時間実技となっています。2時間休みなしで話しますが居眠りすることもなくノートにメモをとっています。もっとも刑務官がつねに後ろで見ているので居眠りするわけにはいかないようです。規律は厳しく、服役者は帽子をとるにも刑務官の許可を得てからとります。水を飲む、トイレに行くなどもちろん許可が必要でその間も刑務間官は目を離しません。園芸を受講する人は規律違反をすると即受講停止になりますが、その内容がシャバでは考えられない理由で、支給品のハミガキのブラシを賭けの対象にした、出所する人から物を貰った、サクランボの実を食べた、など多岐にわたり、はじめ5名でスタートし六ヶ月で終了しますが、途中で脱落者がでるので5名全員が終了というケースはまれです。
外作業の実技を教えていて思うのですが、服役者は真冬でも木綿の下着、シャツ、ジャンパーと薄着で初めて冬を迎える人は、鼻水をたらしてブルブル震えていますが次の冬になると平気な顔をしています。一年鍛えられて平気になったのですが、われわれシャバのものはいかにぬくぬくと温室育ちになっているかと思います。
脱獄にはもっとも神経を配っているので、ここまでするのということがあります。竹を使ってエンドウの栽培をしたら、竹に全部割れ目をいれられ、ヒモでトンネル栽培をしたら全部きられ、背の高いトウモロコシは隠れる場所になるのでだめ、トマトのようにすぐに食べれるものもだめなどです。実技の終りの挨拶で刺青の男に「先生どうぞ気をつけておかえりください。」と言われると、暴力団の親分になったような気がします。
最近、初犯の人がへっており作業がきついとのことで、義侠心があつい11期の仲間で前科がなく、暴力団員でもない人は、塀の中にきませんか。無銭飲食程度の軽犯罪なら久里浜に入れます。私が無料で親しく園芸を教えてあげます。