栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (81)”番号クジ ”(Okubo_Kiyokuni)

2017年08月28日 | 大久保(清)

  番号クジ

夕方の店じまいにかかる頃、事務所の電話のベルが鳴りだした。いつもの冷静な対応と違い、秘書の声が少しずつうわずってきた。コックンカ(有り難う)”と見えない相手に向かって何度も礼を言っていたが、電話を切るなり両手を大きく振りながら机の前まで走ってきた。

“アタッタヨ!”と顔を紅潮させ、口元が緩んだままこちらの顏を見つめる。”いくら?“とこちらも興奮気味、

”1万6千バーツ“得意げに配当額を告げながら、嬉しさのあまりに目元がうるんでいるようだ。

日本円に換算して、十万円相当。結構な金額である。バンコックの巷ではお馴染みの番号クジだ。朝に番号を登録しておくと、夕方、お知らせが入る。これは内緒の国内情報のためか、タイ語での極秘連絡網だ。我が事務所の番号登録の受け持ちは雑務係のツムさん。

年齢不詳であるが、40代後半だろう。彼女がいつものように、ニタニタしながら近づいてくる。顔を見ながら、目で、“何番、何番”と問うてくる。彼女は英語を喋らないが勘がよい。タイ語で“456を、30バーツ”と返すと、ニターとして、嬉しそうに胴元に伝えている。この作業は、週末の朝の日課。これでお仕舞い。つまり、夕方に連絡が無ければ、ハズレ。誰が、どのように抽選しているのか皆目判らない、この朝の仕事が済むと、それっきり忘れる。でも、たぶん、ツムさんはじりじりして毎回夕方の電話を待っていたのだろう。

何年も掛け金を払ってきたが、ついに取り戻した感じだ。吉報電話から待つこと30分、ヘルメット姿の兄さんが、1000バーツ紙幣を詰めた封筒を持ってきた。

ここからが大変である。“ツムさんが電話したのだからさー、君達で分ければ”と封筒を渡す。ツムさんは口を『への字』に曲げ、小鼻をふくらませて、とんでもないという顔で封筒を突っ返す。すったもんだしたが、掛け金を出しているこちらが半分、残りは女性陣で山分けとなった。次の朝に出勤すると、賞金で豪華な食事に行きたいと秘書が言う。全員の意見だそうだ。北京ダックを食べたいとのこと。早速、上等な中華料理店に全員で繰り出す。銘々、好きな品を注文する。勿論、お目当ての北京ダックも入れて。いよいよ、精算となるが、まだ相当余る。また来ようね、と女性陣は子供のようにはしゃいでいた。

今考えると、胴元は、所定の奉納金を納めると、何年かに一度、ご祝儀を各社に配るのではないだろうか。小さなお金で生活を楽しむバンコック市民の知恵かもしれない。

御祝い金で、早速“フットジョイ”の高級ゴルフシューズを買い、履きやすく満足していたのだが、日本のゴルフ場ではスパイクが使用禁止になってしまった。

廃棄するのも忍びなく、道路が凍った冬の朝、北京ダックをほおばっていた女性陣の顔を一人ずつ思い浮かべながら、ザック、ザック、と若かりし時代の感触を蘇らせて歩いている。

 

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きよちゃんのエッセイ (80)”不動産行脚 ”(Okubo_Kiyokuni)

2017年08月14日 | 大久保(清)

 不動産行脚

 まだ、売れてないみたいねー、この物件、値段が少し高くない、それに、間取りが少し問題かもよ、と不動産の売却物件のチラシを眺めて楽しんでいるが、当の売り主のイライラした心境は手に取るようにわかる。こちらも、幾度もこの売りの苦しみを経験しているのだ。

 売り出し期間中は絶えず緊張の日が続く。不動産屋から電話があれば臨戦態勢に入る。部屋を広く見せるために、不要な家具、見栄えのしないものはすべて押入れに文字通り押し込め、部屋という部屋に昼間からありったけの灯りをともす。狭い庭を掃き、玄関に打ち水をし、コーヒーを淹れ、息を整えつつチャイムの音にひたすら耳を澄ます。

訪問客は周辺の複数の候補地を同時に見て回るので慌しく部屋を覗き、目で会釈するだけで立去っていく。夕方に不動産の担当者からそっけない事務的な報告がはいる。

『残念ですがご興味を示されませんでした』、と。

胃の痛くなる日が1ヶ月ほど続いていたある日、中年の小柄な夫婦が担当者と共に訪問した。二人はいつもの通り何も言葉を発せずに淡々と見ていった。

今日もダメみたいね、と沈み込む女房と夕飯をとっているところに、電話のベルがなった。『先方様はご興味がおありの御様子なので、話を進めてみます』、

アメリカ帰りの商社マンとのことで契約になる、と担当者は自信ありげに電話を切った。これで、新築の一戸建てに移れる目処が立ち、これが最後の買い物だったねーと、家が売れるまでの緊張した日々を女房と顔を見合わせながら思い返していた。

 だが、歳がめぐり足腰の老化を感じてきたころ、北斜面にあるため冬場に凍りやすい玄関への長い階段が気になり始め、足を滑らせ骨折するかもしれないと、不安がつのってきた。

またまた、不動産屋に売り買いの依頼をかける。購入物件は階段がなく、北斜面ではなく、現在の家より狭くないこと。

依頼してからまもなくして連絡を受けた。外壁等のメンテナンスは手を抜いていた感じも見えるが、内装はよく手を入れてある。不動産の目はかなり磨かれており、その日に購入を決めてしまう。これで3軒目の家である。それぞれ、歩いても六、七分の近距離にあり、始めからここに住みついていればと思うのだが、当時の資金事情もあったのだ。

この終の棲家に移るまでの最大の関門は、あの恐怖の階段を気づかせずに売りぬくこと。

来訪者の目をそらすべく、一段おきに鉢植えを並べてみたが、来客のある日に限って雪が降り、花は雪に埋もれ、狭くなった階段の雪かきを何回したことか・・・・

『あの階段がせめてあと五段ほど少なかったら買いそうなお客様でした』

と不動産屋から励まされつつ、桜の花も開き始めるころ、やっと買い手が決まり苦しかった不動産行脚は幕となった。今では、家を移る資金も気力もないが、不動産の広告を見ると、何故か、若かりし時代に味わったあのスリルが懐かしく、二人してコーヒー片手に眺め合う。

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創立70周年記念「オール栄光ゴルフコンペ2017」8月27日(日)

2017年08月08日 | ◆お知らせ・行事案内

 オール栄光ゴルフコンペ事務局より、70周年記念ゴルフコンペ開催のお知らせがありました。
 
栄光学園同窓会
常任委員・期委員各位、卒業生の皆様、

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創立70周年記念「オール栄光ゴルフコンペ2017」8月27日(日)詳細
決定


梅雨明けのような暑さの今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
母校創立70周年を記念いたしまして、幅広い期の方々が楽しく参加
できるスポーツイベントとして下記の要領で「オール栄光ゴルフコ
ンペ2017」を開催いたします。
これまで栄光OBゴルフコンペは、諸先輩有志の皆さまのご尽力によ
り、長年に亘り毎年開催されて参りました。 しかし、平日の名門
ゴルフクラブでの開催であったため現役世代の参加が少なく、最若
手が50歳代半ばという現状で、参加人数もここ数年逓減傾向にあり
ました。
そごで、これまでの伝統を守りつつも創立70周年のこの機会に飛
躍すべく、「より若い期も交え、なるべく幅広い年代の多くの方が
気軽に参加できるコンペを」の旗印のもと、昨年は創立70周年記
念の第一弾として120名のゴルファーにご参集いただき盛大な「オ
ール栄光ゴルフコンペ」を開催いたしました。

今年は本学創立70周年の節目の年でもあり、昨年以上に盛大な「オ
ール栄光ゴルフコンペ2017」を開催いたしたく、ここにお知らせ申
し上げます。

是非とも多くの同窓生・関係者の皆さんの参加をお待ちしておりま
す。

--- 記 ---

○開催日時:2017年8月27日(日)
○開催会場:よみうりゴルフ倶楽部
   〒206-081 稲城市矢野口3376-1 TEL.044-966-1141
     小田急線     新百合ヶ丘駅より、タクシー15分
     京王相模原線 京王よみうりランド駅より、タクシー5分

○募集人数:36組、144名
○費用:プレイフィー(キャディ付、乗用カート)
約2万1千円(税込) 及び昼食・飲み物代は個別精算

賞品・パーティ代(2000円程度)

○競技形式:

1) 個人戦  新ペリアによるネットスコア及びグロススコアによ
る個人順位戦

2) 期対抗戦 新ペリアによるネットスコア及びグロススコアによ
る各期対抗戦

    (期対抗戦は各期4名以上参加が条件。4名のスコア合計、5
名以上参加の場合は上位4名のみ集計)

○懇親パーティ:ゴルフ場にて開催

○参加者のみならず全てのご賛同者からの賞品・賞金のご寄附を広
く募集いたしております。

    ご一報いただければ有難く存じます。

○アスリートゴルファーから初級ゴルファーまで、幅広いご参加を
お待ち申し上げております。

○ご子息、ご親戚の栄光卒業生にも是非お声掛けをお願い申し上げ
ます。

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