栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (148) ”ウクライナ”(Okubo_Kiyokuni)

2022年04月28日 | 大久保(清)

 ウクライナ

ウクライナに訪れたのは今から二十数年前のこと。グルジア(ジョージア)のポチ港の開発調査を終え、CIS諸国への日本政府の海外援助プログラムを推進すべく、ボルイスピリー空港(キエフ)、オデッサ港の拡張整備に標準をあててキエフ(キーフ)空港に降り立った。どんよりとした灰色の雲に覆われた、寒々としたキエフの街並みは暖房の煤塵のためか、どこか寂し気な空気に包まれていた。キエフの運輸省に訪問し、オデッサ港、イリチェフスク港の開発調査の打ち合わせを終えて、翌日オデッサ(オデーサ)に飛んだ。

テレビで毎日放送される戦況報告を目にしていると、一期一会のウクライナの人々が心配になってくる。キエフでは海軍の軍人の方もおられた。オデッサ港を案内してくれた元気いっぱいの女性係長、皆、歳をとってしまったかもしれないが、港周辺、オペラ座への道、バリケードづくりをしているだろうか。横浜の姉妹都市でもあるオデッサは歴史のある港町である。あの素晴らしい、趣のある街並みが砲火を浴びるのは忍びない。

短い滞在期間であったが、キエフ、オデッサの街のにおいが、人々の話声と共に蘇ってくる。現代の日本人がもはや忘れかけている愛国心、自由のありがたさ、国体の意識をあらためて、爆撃されているウクライナの街の風景や、そして、懸命に生き抜いているウクライナの人々の顔に見ている。ロシア軍のウクライナ国への侵略報道を見聞きする度に、目に飛び込んでくウクライナの国旗、どこかで見たことのある色だと、ぼんやりとした既視感を抱いていたのだが、今朝のミサで気が付いた。それは奇しくも教会の祭壇の両脇にはめ込まれたステンドグラスの配色。ウクライナの青い空と黄色の麦畑を象徴する、青と黄、侵略戦争が始まってからは、この色が頭から離れない。

 

ODAの仕事で訪れたCISの国、グルジア、リトアニア、エストニア、ラトビア、みな小国だがロシアに立派に勝ち抜いて独立を死守した。ルーマニアは大国だった、ウクライナも大国だが・・・。

 

 

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きよちゃんのエッセイ (147) ”スリランカの魚売り”(Okubo_Kiyokuni)

2022年04月11日 | 大久保(清)

スリランカの魚売り

気温が35度近くまで上がるコロンボの昼下がり、猛暑から逃れるようにして冷房の効いたホテルに入っていく。当時、五つ星クラスはオベロイホテルしかなかったと記憶する。広々とした一階のラウンジには何種類もの南国の観葉植物がおかれ、目を上げてゆくと、吹き抜けになった天井の暗闇から巨大な染め布が何枚も垂れ下がり、2階から10階までの客室の回廊がぐるりとラウンジを見下ろすように並んでいる。その涼やかな空間は訪れたものに、まるで野外にいるかのような開放感を味あわせてくれる。このホテルに立ち寄ったのは理由があった。

スリランカはサファイア、ルビーなどの宝石の産地としてよく知られているが、値段が高すぎて、お土産の対象とはならず、バティック(ろうけつ染め)でも買い求めようと思っていたのだ。バティックはインドネシアが有名だが、スリランカでも素晴らしい絵柄があり、それはオベロイホテルで手に入ると聞かされていた。

ヒンヤリとした大理石のフロアーを取り囲むようにして洒落た店が連なり、その中にバティック専門店が一つだけ営業していた。スリランカでの仕事はコロンボから南に車で5時間余りの距離にある零細漁村に漁港を建設するプロジェクトであったため、国柄を象徴する、なにか魚に関係した絵柄でもあればと思いつつ、積み重ねられたバティックの山を一枚ずつめくっているうちに、偶然見つけたのが、この魚の籠を頭にのせた魚売りの女性のバティックである。自宅に持ち帰り、壁に貼りつけてみたものの、見栄えが悪く、そのまま畳んで引き出しに保管されていたのだが、たまたま、青葉台駅前のガラクタ市(40年前の駅前広場はまだ田園の雰囲気そのまま)で見つけた額縁が眠っていたバティックを目覚めさせてくれた。縦90センチほどの薄茶色の額縁の中に納まったスリランカからの美人は、パソコンに向かう爺さんをいつも大きな目で眺めている。最近、彼女の左足の下に書かれたサイン(BUDDHI)に気が付き、ヤフーでコロンボを検索すると、独特な絵柄がまだ健在で、コロンボの有名店として紹介されていた。素朴な作品だが、酷暑のコロンボで過ごした、若かりし時代の思い出が一杯詰まった一枚である。

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