栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (5)  (Odera_Shigetaka)

2014年01月30日 | 小寺

 TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (5)

(5)ジェネリック医薬品の販売名は一般名採用へ変更

先発医薬品に係る特許が終了した後、先発の医薬品と有効成分を同じくする後発医薬品が20社~30社から発売される。従来は後発企業がそれぞれ商標を付して販売名としていた。

先発医薬品のブランドに似せた名前が多く、時には有効成分が異なる先発医薬品ブランドに便乗する命名までなされ、混乱を招いていた。有効成分が同じであるが、中国製の原料を使って安くしている後発企業があり、同じ品質と言い難い後発医薬品も存在している。

しかるべき医療機関は後発医薬品の採用を躊躇してきたが、厚生労働省は医療費抑制の観点から後発医薬品の使用促進を図るようになった。後発医薬品を採用医薬品リストに加えるとなると品目数は膨れ上がる。似た名前の品目数が増えると取り違えミスも起こり易い。厚生労働省は2000年9月19日に通知を出し、医療用医薬品の販売名は「ブランド+剤形+規格(含量)」としなければならないとした。認知症用薬として有名なアリセプトは「アリセプト錠10mg」などとなった。この薬の後発医薬品は30社以上から出され似た名前の大混乱となった。著名な先発医薬品の周辺では同様なことが起きていた。

厚生労働省は日本製薬団体連合会の医療事故防止対策検討プロジェクトへ後発医薬品の販売名を一般名採用の販売名とすることについて意見を求めてきた。商標部会はこれに異論なかった。2005年9月22日、厚生労働省は新たな通知を発出し、この日以降に製造承認申請される後発医薬品の販売名は原則として「一般名+剤形+規格(含量)+会社名」とするようにとした。アリセプトの後発品はドネペジル塩酸塩錠10mg「サワイ」などとなる。Generic Name(一般名)を採用することからジェネリック医薬品なる言葉が定着したのもこの通知以降であった。医療現場からは通知以前に承認された後発医薬品も一般名採用の販売名へ変更すべきであると要望され、2012年1月から3年がかりで既存品について販売名変更されることとなった。一般名を採用することによって販売名は格段に減少し、取り違えミスを減らせると思われる。ただ、一般名は長ったらしく、覚えにくく、発音しにくいし、同じ薬効だと似た一般名が付けられているなど課題もある。また、

有効成分が複数である配合剤などではどうするのか、未定なところも残っているようだ。

 

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TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (4)  (Odera_Shigetaka)

2014年01月25日 | 小寺

 TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (4)

(4) 医薬品に係る医療事故

医薬食品局は医薬品・医療機器等対策部会の下部に5つのワーキンググループ(WG)を2003年4月に設置し、モノ側から医療事故防止をより具体的に検討することとした。

5つのWGは規格WG(医薬品の規格を間違えるのを防止)、名称類似WG(医薬品の名称類似による取り違えを防止)、注射薬外観類似WG(外観の似た注射薬の取り違えを防止)、輸液WG(輸液点滴による事故を防止)、眼科用剤WG(水虫用液剤を間違って点眼するなどを防止)で、それぞれのWGに製薬業界から2名の委員が参加した。名称類似WGも当初は2名参加だったらしいが、商標がらみであることから商標部会(東京医薬品工業協会と大阪医薬品協会に設置された知的財産研究委員会の下部部会)へ委員を出して欲しいと厚生労働省から要請があり、人柄の良さ(?)にて小寺が参加することとなったため、このWGには3名参加となった。

 医薬品の販売名が似ていることで医療事故がどのくらい発生しているのかは把握されていなかった。限られた医療施設からではあるが、2001年10月~2004年5月に報告されたヒヤリ・ハット事例は104358件、その内の医薬品事例は1341件(1.3%)、医薬品の名称類似に起因するという事例は114件(医薬品事例の内の8.5%)であった。

 2003年4月当時において医薬品の名称類似事例で特に注目されていたものは下表の通りであった。厚生労働省による承認日、特許庁による商標登録日、商標登録番号は商標部会で調べて下表に加えた。

販売名

効能効果

厚労省承認日

商標登録番号

商標登録日

サクシン

骨格筋弛緩剤

1953.09.28

 440,529

1954.02.23

サクシゾン

抗炎症剤

1971(?)

 4,255,790

1999.03.26

タキソール

抗癌剤

1998.01.16

3,368,423

1998.01.16

タキソテール

抗癌剤

1996.10.09

2,690,514

1994.07.29

アルマール

高血圧用剤

 1985.11.05

  754,824

1967.09.16

アマリール

糖尿病用剤

 1999.09.22

 3,183,037

1996.07.31

ウテメリン

切迫流早産用剤

 1986.04.30

   515,975

1958.03.15

メテナリン

子宮収縮止血剤

 1970.08.07

     618,549

1963.06.24

ノルバデックス

乳癌用剤

 1981.05.01

 1,173,998

1975.12.15

ノルバスク

高血圧用剤

 1993.10.01

 2,457,536

1992.04.30

セロクラール

抗めまい剤

 1978.05.18

     881,469

1970.12.02

セロクエル

抗精神病剤

 2000.12.12

 2,350,737

1991.11.29

マイスタン

抗てんかん剤

 2000.03.10

 4,125,786

1998.03.20

マイスリー

睡眠導入剤

 2000.09.22

 2,061,338

1988.07.22

エクセラーゼ

消化酵素剤

 1976(?)

 1,385,300

1979.07.31

エクセグラン

抗てんかん剤

 1989.03.31

 1,456,134

1981.02.27

 名称類似というが、特許庁の商標審査ではいずれも非類似とされてきたものである。特許庁の商標審査では二つの商標の呼称、外観、観念を対比させ、通常の注意力を持った人間が識別できるか否かによって類似、非類似を判定する。医師、薬剤師の知識レベルは高く識別力はより高いと特許庁審査官は認識している。従って非類似とするのは不思議でない。

サクシンとサクシゾンは30年以上も共存していたのに、取り違えは起きていなかった。なぜ最近になって問題になったのか、名称類似とするのはおかしいのではないか、こんな意見も商標部会メンバーから寄せられた。

名称類似WGで分析したところ、医師や看護師は人員不足で忙殺状態に陥り、注意力が極端に低下していること、医師がコンピューターを利用するオーダリングシステムで薬剤を選択する際に頭2文字とか3文字の入力で候補薬剤をリストし、パッとクリックして決定してしまうことが取り違えの要因になっていると思われた。コンピューター入力での「お助け機能」が患者の命に係わってしまう恐れがある。エクセルで入力機会の多い文字の頭部分を入力した段階で文字全部を勝手に表記する、これが曲者である。WGリーダー土屋先生が調査したところ、一つの薬剤に特定できる割合は頭2文字で11%でしかなく3文字で67%、4文字で91%である。またオーダリングシステムは医療機関ごとに異なり、その病院で採用されていない薬剤はリストされていないが、他病院から移ってきた医師は前の病院と同じと思ってリストさせ、注意深く見ないでクリックし、決定してしまう。

間違い易い薬剤がリストされたときに警告表示を出すように設定されているオーダリングシステムもあるが、しょっちゅう警告されるのを嫌って設定解除してしまう医師もいる。

コンピューター画面でパッと見て似ている、似ていないとしているのであって、特許庁のいう類似、非類似とは別ものである。頭3文字が同一であると、それだけで間違える。

2000年11月、富山県高岡市民病院の研修医がサクシゾンと誤ってサクシンを処方し、男性(48歳)が死亡した。毒薬として管理されている筈のサクシンを病院薬剤部が簡単に払い出し、注射するなんて普通ではありえないことであり、経験不足の研修医のミスであると思われた。だが、ヒヤリ・ハット報告を調べると、サクシゾンと誤ってサクシンが処方されたが、病院薬剤部が気づいて処方医師へ疑義照会し、投与されずに済んだという事例もあった。厚生労働省の指導の下、サクシンとサクシゾンの取り違えについて注意喚起の通知が医療機関へ配布された。それで再発を防止できたと思われたが、2008年11月、徳島県健康保険鳴門病院の女医がサクシゾンと誤ってサクシンを処方し、このミスが見過ごされ、投与された男性(70歳)が死亡した。サクシゾンはコハク酸ヒドロコルチゾンを有効成分とし、ソル・コーテフの後発品として日研化学が厚生労働省の承認を得たがその承認が興和へ承継され、さらにTevaへ承継されている。サクシンとサクシゾンを取り違えた場合の危険性は大であり、本来はサクシゾンの名称が変更されてしかるべきだが、イスラエル企業が費用と手間をかけて販売名変更の手続きをする筈もなく、先発企業がサクシンの名称をスキサメトニウム塩化物へ変更した。

 抗癌剤であるタキソールとタキソテールの取り違えによる死亡事故も新聞記事となった。2002年4月、市立泉佐野病院でタキソールと誤ってタキソテールを処方し、女性(60歳代)が死亡した(病院側は癌による死亡と主張した)。両剤を取り違えないようにと注意喚起されたが、2003年9月、鹿児島大学病院でタキソールと誤ってタキソテールを処方し、患者を死亡させた。タキソテールを処方するならば用量を5分の一に減じなければならないが、そうしなかったので、過剰投与となり、死亡事故となった。名称類似WGは両剤の製造企業(共に外資系)に対し、販売名を変更して一般名(パクリタキセル、ドセタキセル)を採用することを提案したが、両社は難色を示し、一般名を目立つように表示するという対策となった。タキソールとタキソテールの取り違えはその後のヒヤリ・ハット報告でも絶えない。三度目の死亡事故には至っていないが、起きたら取り返しつかない。

 サクシンとサクシゾン、タキソールとタキソテールは頭3文字を同じくすること、静脈注射剤であることから死亡事故につながる危険性をはらんだ組合せである。頭3文字を同じくする組合せにはノルバデックスとノルバスク、セロクラールとセロクエル、マイスタンとマイスリー、エクセラーゼとエクセグランなどもある。製薬企業が繰り返し注意喚起を行なっているが、ヒヤリ・ハット報告は絶えない。これらは飲み薬であり、医師が誤って処方しても調剤薬局あるいは患者自身が気づき、服用に至らないので、事故の報告を見ない。でも注意喚起を頻繁に行なうよりも販売名を変更した方がよいのだが・・・

アルマールとアマリールは名前が似ているとされるが、問題はアマリールという販売名を糖尿病用の薬剤に付けたことにある。高血圧の患者に対してアルマールを処方する筈のところ、誤ってアマリールを処方したというミスは15件あり、5人が低血糖、意識不明に陥ったという。製薬企業が繰り返し注意喚起したが、2009年に北海道でアルマールと誤ってアマリールが処方され、男性(80歳代)が死亡した。アルマールは2012年6月に一般名アロチノロールを採用する販売名へ変更された。後から発売されたアマリールの販売名こそ変更されるべきであるが、外資系企業は変更しておらず、批判をあびている。

 2008年6月、青森県五所川原市の公立金木病院において、アルマトール(利尿剤アルダクトンAの後発品)と誤ってアマリールが処方され、女性患者(73歳)が意識不明に陥った後、肝不全で死亡した。アルマトールはスピロノラクトン錠25mg「タナベ」へ名称変更された。アマリールは今もなおアマリールのままである。

 ウテメリンとメテナリンも名前が似ているとされるが、問題は子宮に対する作用が逆であること、妊婦に投与してはいけないメテナリンを産科病棟に置いていた医療機関が存在していたことにある。切迫流・早産治療薬である「ウテメリン」が投与されるべきところ、子宮収縮止血剤「メテナリン」が誤って投与された事故が厚生労働省へ報告され、あすか製薬は、名称類似に関連した医療事故を防止する視点から、メテナリンを一般名メチルエルゴメトリンを採用する販売名へ変更した。ウテメリンの販売名も変更されるようである。

名称類似WGは何が課題であって、どのように改善していけばよいかを報告書にまとめ、2004年3月2日に提出して終了した。その後も日本製薬団体連合会の医療事故防止対策検討プロジェクトは継続し、また医薬品類似名称検索システムの立ち上げにも加わることとなり、名称類似による取り違えを減少させる以下の対策に係ることとなった。

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TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (3)  (Odera_Shigetaka)

2014年01月18日 | 小寺

 TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (3)

(3)医療事故を防止するための対策

米国のInstitute of Medicineは1999年11月29日に「TO ERR IS HUMAN: Building a Safer Health System」と題するレポートを発表し、医療事故防止対策を提言した。

その骨子は(1)リーダーシップ・センターの設立、(2)情報・報告システムの完備、(3)安全の基準づくり、(4)実効性の評価から成る。このレポートは欧州連合やカナダ、豪州そして日本の医療関係者にも大きな影響を及ぼした。レポートのタイトルは18世紀の英国の詩人Alexander Popeによる「To err is human,to forgive divine.(過ちは人の常、許すは神の業)」からの引用と言う。

しかしながら、もっと古い文献には、現在の日本での医療過誤をさらに的確に表わしているものがある。 Marcus Tullius Cicero (BC106年-BC43年、ローマ)は「人は過ちを犯すものである。しかし、誤りを続けるのは愚かな者のみである。」とした。Loukianos(120年頃-180年頃、ローマ)は「Errade Humanun Est, Sed Perseverade Diabolicum.(人は過ちを犯すものである。しかし、過ちを繰り返し続けるのは悪魔である。)」とキケロよりも踏み込んだ表現とした。これは2000年5月に国立大学医学部附属病院長会議常置委員会がとりまとめた「医療事故防止方策の策定に関する作業部会」の中間報告『医療事故防止のための安全管理体制の確立について』の巻頭で引用されている。

 厚生労働省は医療安全対策検討会議の第一回を2001年5月18日に開催し、数回の会議を重ね、「医療事故を未然に防止するための医療安全推進総合対策」を2002年4月17日に公表した。この対策会議で参照したのは航空機の分野で研究された事故防止対策だった。

1966年2月4日に全日空の千歳発ボーイング727が東京湾に墜落し、133人が死亡した事件、この事故の後にボイスレコーダーやフライトレコーダーが設置されるようになり、事故原因を突き止め、同じ事故を繰り返さないようにしようという方向性が確認された。その後、1971年7月30日に全日空ボーイング727の 雫石衝突事故で162名が死亡し、982年2月9日には日航DC-8の羽田沖墜落事故(片桐機長の逆噴射)で24人が死亡、1985年8月12日には日航ボーイング747SR-46機墜落事故で520名が死亡しており機体の欠陥、そしてヒューマンエラーの両面から防止策を構築することが必要とされた。

厚生労働省も医師、看護師など医療従事者側のヒューマンエラーを減少させることに注目すると共に、医薬品や医療機器などモノ側にも事故を誘発する要因があると常に認識して、モノ側の改善を継続して行なっていく必要があるとした。

ただ残念なことにヒューマンエラー部会は医政局の管轄、モノ側の医薬品・医療機器等対策部会は医薬食品局の管轄とされ、両面から一緒に検討するという体制でなかった。医政局は2007年3月に「医薬品の安全使用のための業務手順書作成マニュアル」を公表するなど、医療施設においてヒューマンエラーを防止する体制づくりをしなさいということでヒューマンエラー部会の活動を休止した。しかし、ヒューマンエラーを防止するには至っていないのが現状であろう。

ヒューマンエラーを減少できたとしてもゼロにはならないと認識し、エラーが起きても重大な事故にまでは発展させてはならない。安全神話を作り上げる愚を冒さず、危険に囲まれていると覚悟して医療に接していくのが正解だと思われる。

 

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TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (2)  (Odera_Shigetaka)

2014年01月09日 | 小寺

 TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (2)

    

  2013/7/28  飲み会にて 山口(力)・山口(隆)・黒川・一人おいて・小寺君    

(2) 医療事故の発生件数 

 現代社会においてヒトはどこで亡くなっているのか? 殆どのヒトは病院で亡くなっており、自宅で死亡すると不審死とされ、警察が入る。検死の対象になる可能性すらある。病院で亡くなると病気によるものと思われ、警察もめったに介入しない。

病死、本当にそうなのだろうかと疑問を抱いたヒトは多い。医療事故によって亡くなっているのではないかと米国医師会は疑問を持ち、調査を行なった。2006年に米国で報告されたところによると150万人が医療ミスの影響を受け、40万人が健康被害を受けているという。米国は医療事故を把握し、再発を防止することを優先する考えに立ち、報告した医師が免責されるようにしているので、報告率が高い。それにしてもすごい数である。

日本ではどうなのか? 年間約125万人が亡くなっているが、医療事故による死亡数はどれくらいなのであろうか? 2002年4月17日付の読売新聞に掲載された記事によると「国立保健医療科学院の長谷川部長は、手術に伴う死亡や後遺症など有害事象が年に120万件起きており、医療事故で死亡する入院患者が年間2万6000人に達すると国内で初めて推計した」とのことである。これは世界各国での医療事故発生率を日本にも当てはめて推計したもののようである。

医療事故情報の収集は2001年度から厚生労働省によって開始され、2004年10月以降は日本医療機能評価機構へ収集活動が委託された。2010年に2703件、2011年に2799件、2012年に2882件の医療事故が報告されている。しかし収集対象は約900の医療機関に限られており、また免責がないので医療事故報告が躊躇されており、実態は把握されていない。2012年には216件の死亡事故、重度の障害が残る事故が329件、ヒヤリ・ハット報告は約69万件である。

ハインリッヒの法則(Heinrich’s law)によると一つの大事故の背景に29件の軽微~中程度の事故があり、300件のヒヤリ・ハットがあるという。約69万件のヒヤリ・ハット報告があるなら、2300件くらいの死亡事故が起こっているのではないか。収集対象が全医療機関に及ぶならば長谷川部長が2002年に推計した年間2万6000人という数字も的外れでないのかもしれない。

ともかく実態を正しく把握し原因を突き止め、対策していかないと医療への信頼は薄れていく。近藤 誠 著「医者に殺されない47の心得」が2012年のベストセラーであったなんて情けない。信頼を失うと医者や看護師が訴えられるケースの多発につながる。

訴えられやすい産婦人科や小児科は医師数が減少し、超過密となった医師は事故を起こし易くなるという負のスパイラルに陥っている。2013年6月28日に兵庫県立こども病院で発生した「抗生物質バンコマイシンの希釈濃度を誤って点滴したために乳幼児の右足指3本を壊死させてしまった」という医療ミスは防ぎえたのではないか、本当に残念な事件である。

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TO ERR IS HUMAN 過ちは人の常 (1)  (Odera_Shigetaka)

2014年01月04日 | 小寺

 

2014年の最初は小寺君の”TO ERR IS HUMAN"(過ちは人の常)、深くて重みがある長文です。小寺くんの了解を得て数回に分けて掲載させていただきます。 (Okuyama) 

過ちは人の常 

(1)はじめに      

 2009年2月、42年勤務した杏林製薬を退職した。1966年当時、杏林製薬の大卒者向け案内に新薬開発の研究に注力する中堅製薬企業であって、研究者を募集とあり、魅力を感じて入社試験を受けたこと、昨日のことのように思う。

杏林製薬で最初の10年は赤羽の研究所管理課で研究サポート業務に従事した。その後、栃木県野木町の中央研究所の研究管理部に半年、お茶の水の本社開発部管理課に6年半、その後、本社と中央研究所の兼務を経て、1989年4月から本社に新たに設置された特許部へ異動した。自ら新薬の合成や有効性・安全性評価試験を行なうことがなく、特許の発明者・論文の著者に名を連ねていないが、抗菌薬ノルフロキサシン等の新薬開発に係り、結構おもしろい研究開発業務であった。

ノルフロキサシンは米国Merck社へライセンスアウトしPatentprotectionが十分でないとMerck社の特許部から厳しく指摘された。またその後のライセンスアウト品でもRoche社、Bristol Myer Squibb(BMS)社、Allergan社等々からもPatent protectionを強化すべきだと指摘を受け、本社に特許部を設置し、その初代部長になったが、国内外で後発企業との特許訴訟に追われ、特許戦略の構築までに至れなかったのは反省点である。

 退職して4年半、特に趣味はなく、腰痛でゴルフからも遠ざかり、メタボ生活を送っている。テレビで昔の映画を観る以外はインターネット検索でヒマつぶしをしている。

 人名をGoogle検索するのも一興。同窓生の名前を検索すると結構ヒットし、その人の活躍状況が伝わってくる。自分の名前も検索してみた。今年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公である黒田如水は、小寺政職(姫路御着城主)に仕え、小寺孝高と名乗っていたこと、祖父は小寺重隆であることが検索結果の冒頭に出てくる。自分の名前は黒田如水の祖父の名前にちなんでつけられたらしいが、我が家の家系図はマユ唾と思っている。

 自分自身については、検索結果の中に厚生労働省の第6回医療安全対策検討会議ヒューマンエラー部会(2003年4月25日)の議事録、名称類似ワーキンググループ報告書(2004年3月2日)がある。2003年4月~2008年2月に日本製薬団体連合会の医療事故防止対策検討プロジェクト委員を務めており、医療用医薬品の販売名類似による取り違え事故を防止する対策の検討に加わった。

土屋文人先生(医科歯科大学付属病院の薬剤部長)と厚生労働省医薬食品局安全対策課が中心となって作成した対策案に対して医師、看護師、薬剤師、弁護士及び製薬業界からの委員が意見を申し上げて完成させていくという方式だった。私は製薬業界の商標部会からの代表委員であった。対策案は商標権と抵触するところも多く、商標部会メンバーへ諮り、賛成意見、反対意見を取りまとめ、意見提出したが、土屋先生の案にほとんど押し切られた。医療事故防止という観点からは土屋先生案のままで良かったと思う。以下、当時のことを思い出して記述するが、記憶は怪しい。また、誤解しているところもあるかもしれない。その点はご容赦願いたい。

 

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新年おめでとうございます。  (Okuyama_Iwao)

2014年01月01日 | 奥山

新年おめでとうございます。

 皆様方のご支援によりこのブログも3回目のお正月を迎えることができました。2011年8月に開設してから約2年半、この間約50人の方からの投稿をいただき、延べ30,000人を超える訪問者と60,000件を超える閲覧がありました。厚く御礼申し上げます。

栄光11会ブログは皆様方からの投稿で成り立っています。その投稿ですがこのところ少なくなり困っております。まだ投稿されていない方,既に投稿された方どなたでも結構です。内容、長さ、形式も自由です。11期の仲間に知らせたい明るい話題、楽しい話の投稿をお待ちしております。

若さを保つ秘訣は、「きょうよう と きょういく」(きょう用が有り、きょう行く所がある)とか。私の今年は、より多くの楽しみを見つけ、より沢山出かけようと思っています。

本年もどうぞご支援のほどよろしくお願い致します。

       2014年1月1日

 

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