栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (155) ”老人のおしゃべり”(Okubo_Kiyokuni)

2022年10月22日 | 大久保(清)

 老人のおしゃべり

おばちゃんたちは、忍耐力もあり、話し相手もそれなりにあり、常識をふまえた人が多くなってきたのだが、最近、公衆の面前で長々と自説を述べるおじいちゃんの姿が目につくようになってきた。久しぶりにドコモのサービスセンターにやってきた。いつもの通り、受付嬢から手渡された問診表を埋めているところに、背中から、爺ちゃんと若い女性の担当者の会話が飛び込んできた、もうかれこれ十分間以上も話している。

ーハイハイ、よくわかりました、でも、ドコモからそんな電話を差し上げることはありませんよ

ーハイハイ、奥様との話し合いの内容はわかりましたが、お爺ちゃんはどうしたいのですか??

ーハイハイ、よくわかります、奥様が聴いて下さらないのですねー

長々とグチ話がつづいて、結局、問診表は書かずに出口まで送りだされたが、ドアが半開きのまま、また食いさがる、大きな声がホール中に響き渡り、朝の忙しい時間帯、運悪く貧乏くじを引かされた受付係は笑顔を絶やさずに、ようやく次の順番のお客様に向かっていった。

薬局の待合室。薬を受け取った老人が女性の薬剤師に文句を言い始めた。

ーこんなにたくさんもらったって使い切れないよ、前の分もまだ残っているんだから・・・、

=申し訳ございません、処方箋に書いてある通りお出ししましたので、

ー多いから半分返すよ、国の財政も大変なのに、もったいないよ、返しますよ、

=それは出来かねますので・・・はい、すみません・・

ー00先生に連絡して、薬を減らすように言ってよ・・・

=こちらから電話はちょっと・・・・・・・・

診察室で担当医に直接述べればよいところを、薬剤師にクレームをつけている、甘えなのだろうか??

 今日はスーパーのレジの混みようは尋常ではない。列の後ろの方で爺ちゃんが前のおばあさんに話しかけている、最初は愛想笑いで相槌を打っていたおばあさん、やがて対応が変わってくる、

ー米朝会談、あれは無理だね、うまくいくはずないよね、どう思います??

=そうですねー、と言ったきり声が途絶えてしまった・

ー安部さんはどっちを向いているのかねーあっちに行ったり、こっちに行ったり、どう思います?? とかまわずに話し続けるのだが、   おばさんは沈黙・・・、

レジの動きが遅く、いっこうに列が進まない、耳に栓をしながら、ただひたすらこらえていたが、たまらなくなり、そっと、首をひねってみた。すると、ハゲ具合といい、ボケ顏といい、こちらとそっくりな老人が、そこに立っていた。他人のことはよく気が付くのだが、自分のことは案外気が付かないものかもしれない。

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イレブン会のお知らせ(11月11日)

2022年10月04日 | ◆お知らせ・行事案内

 イレブン会のお知らせ 

面のイレブン親睦会は、8月11日のご案内を差し上げましたが、コロナ禍第七波のあおりを受け、残念ながら中止になりました。その後、第七波は大分収ってきたように思えますので、再度、対面イレブン親睦会を企画いたしました。

 どうぞ皆様、奮ってご参加頂きますよう、お願いいたします。

 

日時:11月11日(金) 14時~16時

場所:横浜中華街 海南飯店

  https://www.kainan-hanten.com/   

   ◎地図・電話番号はHPのcontac欄に掲載されています。

   ◎以前、下田陽久さんの紹介で何回か行った店です。2階を貸切りで開催予定です。

費用:5千円程度

-------------------------- 

参加される方は、人数を掴みたいので、なるべく早めに

 太田元夫宛 にご連絡ください。よろしくお願いいたします。

幹事:奥山、山口力也、太田

 

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きよちゃんのエッセイ (154) ”音の風景(2)”(Okubo_Kiyokuni)

2022年10月02日 | 大久保(清)

音の風景(2)

この歳になると、むかし耳に馴染んでいた音がとても懐かしく思えてくる。最近、切符を切る音を耳にしない。こちらが通勤していた時代、よく見られていた光景だが、駅では切符にはさみを入れていた。改札の柵の中で視線を宙に泳がしたまま乗客を待つ改札係のおじさんの手の中で、カチカチカチッ、カチカチカチッと鳴り続けていたリズミカルな音が、一瞬、ピタリと止まり、乗客の差しだす切符をつかむや、カチッという、小気味よい音にかわる。今は自動改札の世界、効率化で人が消え、音も消えた。もう少し昔の音を探してみよう。特急、急行の長距離列車の指定券を購入する際は、指定された国鉄の駅のみどりの窓口に行かねばならなかった。係員がこちらの希望する列車名を入力し、さらに、日付、乗車区間などの情報を入れるべく操作盤に小さな棒のようなものが差し込まれてゆく。その様子をカウンター越しに聞き耳を立て、息をつめたまま見守っているが、操作盤は沈黙したまま何も反応しない。残念ながら希望の指定券は完売しているのだ。だが、運がよく、希望列車の切符がとれた時、カタカタ、カタカタ、と小気味よい連続音が鳴りだすと同時に、ソロソロ、ソロソロと、指定席券が吐き出されてくる。この幸せの、カタカタ音はいまだに耳の奥に残っている。切符にまつわる音はもうないだろうか、と耳をすましてみると、また見つけた。出発の慌ただしい時間も過ぎ、指定席に収まった乗客たちが窓の外の景色を眺める余裕がでてきたころ、車内検札のために車掌さんが通路を歩いてくる。各人が切符をみせると、手に取り、チラッと眺め終わると、検札用のはさみで切符に刻印を打ち込む。ここでは切符を切らず、押すだけなので、プチッと弱々しい音が聞こえる。

この検札の時間に発せられるもう一つの音がある。これは自信に満ちた大きな音だ。急行券を持たずに列車に乗り込んだ時、また、行き先を変更する場合も、車内で発券作業が必要になる。車掌が、駅名が記された細長い路線図の束を取り出すと、二枚を重ねて、乗車駅から降車駅まで、途中の通過駅も確認しながら、その駅名の上にパチン、パチンと穴をあけていく。料金表の欄にもパチン、パチンとはさみを入れる。これで、中途半端な無賃乗車の気分から解放され、穴があけられた駅名をなぞりながら、さて、どこで駅弁を買おうか、と旅行気分に浸り始める。ここまで書き綴ってきたら、また、列車の旅をしたくなってきた。そして、もう一度あの懐かしい切符の音を聴いてみたい。

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