栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (176)”散歩の出会い”(Okubo_Kiyokuni)

2023年08月25日 | 大久保(清)

 散歩の出会い

散歩では、色々な人との出会いがある。麻生区の王禅寺公園をあとにして、虹ヶ丘の住宅街に入ってゆくと、前方から若いお父さんに手を引かれた男の子が近づいてくる。一歳をすこし過ぎたころだろうか、元横綱、朝青龍の幼年時代は、こんな顔をしていたかもしれない、と想像したくなるほど、どこか、気の強そうな顔つきだが、まだ、足元が頼りない、ヨチヨチと、父さんの手をつかみながら一生懸命歩いてくる。近づいてくる親子に、いつものように、朝の声掛けをした。お早うございます、と、お父さんに、続けて、坊やに向かって、おはよ~ と目を見ながら腰をかがめて笑いかけた。お父さんが、すかさず、おはよう、でしょう、と幼児に言い聞かせるようなそぶりをするが、坊やはこちらになんの関心を示さない。仕方なく、バイバイ、と、坊やに向けて手を振りつつ、歩きかけると、お父さんは子供の手を掴み振らせようとする、だが、坊やは依然として手を振る気配を示さない。こちらも諦めて、バイバイ、と坊やにもう一度、小さく声をかけると、その場を離れかけたのだが、どうしたことか、おなじように歩きだそうとした父さんに逆らって、坊やはその場に足をふんばるや、こちらの顔を見上げるようにして、小さく手をふり始めた。それに気が付いた父さんは驚いて足を止めると、嬉しそうに、バイバ~イと声を添えはじめる。こちらもすかさず、小さく振り返す。それから、父さんのバイバイの声がどこまでも追いかけてきた、子供も一緒に手を振り続けている。なんだか、感激して、こちらも高く手を上げたまま歩き続けた。

かなり進んでから振り返る、まだ、坊やは手を振っている。子供の姿が小さくなってきた。お父さんの、バイバイとの補助音声は確かに聞こえてくる。もう、見づらくなってきた坊やに向けて、手に持っていた雨傘を高くあげ、大きく振り返す。気が付いたのだろう、坊やの手がまた一段と強く揺れ始めた。上りつめた坂道を下りはじめた、坊やはもう見えない、お父さんの頭と、バイバイの声だけがかすかに聞こえてくる。坊やはまだ手を振り続けているのだろうか。坂の向こうに消えてゆくお父さんに向かって、大きく傘を振りつつ、何度も、お辞儀をしながら離れていった。今、思い返すと、もしかしたら、あの坊やは見知らぬ人に手を振るのが初めての経験だったのかもしれない、嬉しくなった父さんも思わず、一緒に手を振り続けたのではないだろうか、あんな長いカーテンコールは生まれて初めてだ。幼児との思わぬ出会い、そして、互いに気持ちが通じあったとき、それが散歩の最大の楽しみである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【訃報】北村富治さん

2023年08月03日 | ◆お知らせ・行事案内
植栗君から【北村富治さん】の訃報メールが届きました。ご冥福をお祈りいたします。=========== 植栗君からのメール===========*栄光11期の皆様*
*植栗です。*
*猛暑が続きますが、ご健勝でおられますか?*
*さて、淋しいお知らせです。*
*私たちの同期の北村富治さんが帰天されました。*
*7月29日朝9:00ころに、奥様から電話がありました。*
*その前夜(あるいは前日)に富治氏が帰天されたお知らせと、葬儀依頼の*
*お電話でした。*
*ご家族のご意向で、完全に家族葬。20名に満たない参列者でした。*
*8月2日(水)11:00AMから、港北区「妙蓮寺」にある「ミモレホール」*
*で、カトリック風にアレンジして、葬儀・告別式を催しました。*
*富治氏の晩年のキリスト教への傾斜は、奥様がいちばんご存知だったようで、*
*「せめて葬儀はキリスト教で」と、私へのご依頼でした。*
*舌癌を患われ、その重篤化によって、息を引き取られたとのことです。*
*奥様はお元気。また息子・娘のお三方も頼もしくご活躍のご様子でした。*
*ご冥福をお祈りしつつ、皆様にご一報をお届けする次第です。*
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする