栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (91)”G”(Okubo_Kiyokuni)

2018年04月27日 | 大久保(清)

  G

 ―お客様の足はとても珍しいサイズでございます。寸法表にはのっておりましたが・・・、この一番右の枠に記されておりますGというサイズになりますー

靴屋の店員が左足にメジャーをあて終わるや、靴のサイズ表から目を離し、口元は遠慮気味だが、目元は少しだけ嬉しそうにこちらの顏を見上げ語りかけてきた。

普通の人は足の長さが、甲の位置での足回り(足囲)より大きいのだが、こちらは足囲が足長より大きい、いわゆる幅広甲高なのだ。初めて耳にする “G”と言う貴重なタイプを喜ぶべきか、嘆くべきか、E表示で言えば6Eということらしい。これ以上のワイドは表に見当たらない。

 若かった頃は、見栄えの良い、流行の靴を発見するや、足が入るサイズまで試し続けた結果、余分なつま先を抱えた道化師の専用靴に行きつくので、格好の良い靴は諦めかけていたのだが、この驚くべき事実を知らされてからは、ワイド表示のない靴には目もくれず、ひたすら3E,4Eの文字を追い求めていた。

運よく、4E表示の靴を見つけるや、すぐに試すのだが、日本人もスマートになってきたのか、最近ではこのサイズも品薄になっている。こちらの靴選びで更なる問題点は、右足は2Eサイズで十分間に合うために、右足を立てれば、左足が立たず、その逆も然りと、胴長、頭でっかちの身体の欠点に更なる特異点を発見し、これぞ貴重種と開き直るしかない。

 Gの存在を知り、足の指の長さにも興味を持ち始めた。日本人の足は親指が長いエジプト人タイプが多いらしいのだが、こちらはケルト人に近いらしい。じっくり眺めてみると、親指と中指の長さはおなじで人差し指が一番長い。ここでも、我が足の特異性は確認された。

 靴選びは朝方よりも午後の時間帯に選ぶのがよいといわれる。それは、十分に歩きこみ、足のはった状態でのフィット感を確認する必要があるからなのだが、左足のGの膨れ方が、右足と違うため、ここでもサイズ選びで苦労させられる。

緩めの靴を選べば、足にあたらず都合が良いように思えるが、決まって脱げやすくなる。むしろ、いくらかきつめ感が残るが、だましだまし使い続けているうちに、いつの間にか、この違和感が消えてゆく靴が最高なのだ。この調整期間に足に寄り添えるかどうかで、その靴の一生が決まってしまう。順応できぬ時は、靴箱でしばらく休まれてからやがて廃品整理される運命だ。

 その反対に、相性の良いものは、そのフィット感は他には代えがたく、いくら靴底がすり減っても、何度も修理され履き続けてゆく。長年、愛用するメーカーでも、毎年、微妙にモデルチェンジするゆえ、こちらの左右のGへの相性度を満足させた、永年の連れ合いに勝る靴はなかなか現れない。この歳になれば外出用も、普段用も、こだわりがなく、お気に入りの一足はもう十五年以上も臭い仲を続けている。

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第2回イレブン親睦会(5月11日)のご案内

2018年04月06日 | ◆お知らせ・行事案内

 栄光11期各位

      第2回イレブン親睦会のご案内

今年は早めの春爛漫を迎えた今日この頃ですが
皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。


イレブン親睦会を2月11日にスタートさせたおりに、今後、3ケ
月に一回、11期にちなんで11日に開催しようと
言うことになりました。
今回は、第2回イレブン会親睦会のご案内です。

出欠の御返事を、_*4月30日までに*_、太田宛に頂きますよ
お願いいたします。

今回も、多数の皆様のご参加お待ちしております。
          
                 記

1、日時    平成30年5月11日(金)_*13時~15時*

2、場所    横浜駅相鉄口(高島屋ウラ)
        なか一 045-311-2245 です。(前回と同じです。)

3、会費    4500円

     発起人  山口(隆)山口(力)      
 

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きよちゃんのエッセイ (90)”八重桜”(Okubo_Kiyokuni)

2018年04月02日 | 大久保(清)

八重桜

 サクラと言えば淡い薄桃色のソメイヨシノが有名だが、その眩しいばかりの輝きが、一陣の風とともに思いのほかの早さで視界から消えてゆくころ、桃色の八重桜の季節がやってくる。ちじれた厚みのある花びらがミニカーネーションのように幾重にも束ねられ、可愛らしい花手毬が枝を隠すようにぎっしりと咲き誇る姿は、爛熟した桜の艶やかさを醸し出す。

四月も半ばを過ぎ、気温も上がるにつれて、満開の濃いピンクの花びらの群れの間から緑葉が色あいを強めてくる。そのしっとりとした若葉の香りと花の匂いがからみあい、春風が枝先を抜けてゆくとき、季節の甘みを代表する和菓子『桜餅』が目に浮かぶ。草餅とならび緑茶を啜りながらの一服は、初夏の甘みの楽しみの一つだ

 まだ朝晩の寒さが残るころ、春の訪れを待ちわびた人たちにとって、青空を背景に薄いピンク一色に視野を埋めつくすソメイヨシノは、観る者の目を奪わんばかりの気持ちを揺さぶる迫力がある。

ソメイヨシノは桜の花の美しさを追求して生まれた品種であるが、八重桜は八重に咲く花の総称で、春も深まり日中には汗もにじむころ、通常の花木のように葉の成長と一緒に花を咲かせる。春一番のソメイヨシノのあとに咲くためか、桜としての新鮮さが失せ、迫力に欠けるきらいもあるが。反面、開花の期間が長く、落ち着いて桜の木を鑑賞できるゆとりも生んでくれる。

 はじめての朝礼、ドイツ人の校長は、日本の若者教育への情熱にあふれんばかりの気合で顏を赤らめながら、校庭に並んだ緊張気味の新入生に向かい、ウエルカムスピーチをしてくれた。

―今日、この桜のマンザカリの良き日に、我が学園に君たちを迎え・・・、

確かに、校庭を囲むように八重桜が満開だったと記憶する。

神学校で日本語を特訓されてきた校長は、桜の咲き姿を表現する際に学んでいた、『桜が満開』と、『花盛り』の二語を、気合がこもりすぎたのか一緒に発語した結果、この名文句につながったと理解される。八重桜の咲き誇る重層的な華やかさを、これからの青年教育にかける意気込みを重ねた言葉として、ドイツ魂で言い切った名文句はいつまでも胸の内から消えず、これに勝る表現はなかったと今でも思っている。

満盛りの桜。

風に吹かれてソメイヨシノの花びらが、ひとひらずつゆらゆらと舞い降りてゆく爽やかさに比べ、ミニカーネーションの一輪のままで落花する八重桜は、どこか、ざわざわと散り落ちる感もある。木の根方に落ち、重みがあるためか吹き飛ばされずに厚い濃いピンクのじゅうたんを敷きつめる。やがて、ソメイヨシノと肩を並べ、青葉を枝一杯に広げ、初夏の風に揺られながら、散歩人に涼し気な木陰を造ってくれる。紫色のサクランボの実ももうすぐだ。

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