栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (159) ”クライペダの散歩(4)”(Okubo_Kiyokuni)

2023年01月19日 | 大久保(清)

 クライペダの散歩 (4)

 フェンダー脇のポールに『日の丸』の旗が翻っている。長距離ドライブの跡を物語るように、ボディーに汚れが目立つボルボの前部座席に座り、首をひねりながらデンマーク大使への対応をしていたが、最初のお言葉は、日没は何時頃だろうか、と港への公式訪問に来られた閣下の胸の内を量りかねる質問から始まった。話の雰囲気から察するに、もちろん、リトアニアへの旅の目的はクライペダ港の現場視察であるが、時間が許せば、港から100kmほど続くロシア領カリニングラードまでの世界遺産クルシュー砂州にご興味がおありのようだ。巨大な砂漠のような砂州の散歩は地元の人に誘われるたびに逃げ回っていたのだが、閣下の希望となれば同伴せねばなるまいと覚悟を決め始めた。

首都ビリ二ウスから運輸大臣も参加した歓迎会は、港の傍の高級ホテルでつい先ほど無事に終了したばかりだが、ロビーより一歩外に出ると、生憎の雨模様。9時の日没時間までまだ十分に明るさが残る空を見上げつつ、しばし考えこんでいた大使から思わぬ提案があった。「砂州見学は取りやめて、ワインをたっぷり積んできたから、君たちと一緒にどこか静かな場所で飲みなおそう」 そう言い終えた、洒落たレインコート姿で前を歩く閣下からは先ほどまでの格式ばった雰囲気が消え去り、肩の力が抜けきった仕事帰りのスマートなおじさんになっていた。

更なる日本の援助を期待しつつ夕食会に駆けつけた運輸大臣を前にして、旧ソ連から離脱したリトアニアはこれからEUにお任せして、日本のサポートもこれで終了です、と言いづらい話を終えてホッとしているところなのだろう。これから裃を脱いで無礼講で飲みたいのだろうか、だが、ホテル住まいの身としてはワイン持ち込みの静かな場所のあてはない。急遽の一策で、仲間の一人が借りている廃屋同然のアパートに携帯電話を入れた。こちらのホテル代3日分で一か月ほど借りられる古屋ゆえ、外壁のモルタルは剥げ落ち、レンガがいたるところで顔を出している年代物だ。だが、部屋に一歩入ると、家具は古びているものの、ゆったりとくつろげそうな空間が広がっていた。まずは大使の希望に添えて一安心。

本国より持参されたワインはさすが、大使が保証する一級品ばかり。ホテルの歓迎会でかなり飲んでいた面々も、あの有名なカナの結婚披露宴ではないが、=後からこれほどの上質のワインが出てくるとは=、と聖書の一節を字で行くような嬉しい時間が続いた。大使とお別れし、大量のワインを運ぶためには、やっぱり、ボルボの応援が必要だったのだのだな~、と酔いが回った頭が勝手に考え始めたのだが、車の中で、絶えず電話が鳴っていた事を思い出す。秘書らしき女性の声が聞こえていた。おそらく車がコペンハーゲンの大使館の執務室の代わりなのだ。地図を広げてみると、フェリーでバルト海を渡ればデンマークはとても近い。ワインを運ぶためだけではなかった、と、酔った男は誰にも言えずに一人、深く反省し、納得する。

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【訃報】千種忠昭さん

2023年01月10日 | ◆お知らせ・行事案内

11期の皆様

松信さんから千種忠昭さんお訃報通知がありました。

ご冥福をお祈りいたします。

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皆様へ
ご無沙汰ばかりで申し訳ありません。
小学校の同窓より千種忠昭氏の訃報が届きました。謹んでお悔やみ申し上げます。動脈瘤の破裂とのこと。詳細
は不明です。

通夜・・・13日18時ー19時
葬儀・・・14日11時ー12時
場所・・・港区区民斎場 やすらぎ会館
     港区南青山2-34-1
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【訃報】岩崎菊男さん

2023年01月09日 | ◆お知らせ・行事案内

11期の皆様

荒木 之さんから以下により
岩崎菊男さん逝去の連絡がありました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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昨夜同期の岩崎菊男君の奥様から電話があり
12月17日に昇天(彼は洗礼を受けたていました)
され23日に身内で見送ったとのことです
                  合掌
    荒木之
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相澤さんから追加の報告がありました。

日(1月5日)午後7時ころ岩崎菊男君の奥様から岩崎君が亡くなられたとの電話を受けました。私の年賀状の電話番号をみて電話いただいたようです。

昨年1月に彼から電話があり体調が悪いとは知っていましたが、9月頃からさらに悪化し入退院を繰り返していた
ようです。

奥様の話では職業病だそうです。靴の修理に使う接着剤(有機性溶剤)と靴底をグラインダーで削って出る粉塵
を吸い続けた結果肺を痛めたようです。

彼は熱心なカトリック信者でした。私が高3の12月(1962年12月18日)に洗礼を受け、その晩は修道院に宿
泊し翌朝に初ミサに預かったが、彼はそのミサの侍者を務める為に自宅から駆けつけてくれました。

彼とは高校卒業以来ずっと年賀状のやり取りをしていました。

彼は中学生の時に父親を失い、船越町商店街の日の丸靴店を継ぐため大学進学を断念したそうです。温厚な性格
で、荒木君 故川島千明君 中澤君と親しかったと聞いています。

天国に直行と思います。天国で安らか憩うことを祈りしましょう。

相澤雅博
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