持ち上げられたのか貶されたのか分かりませんが、藤村氏からのご指名なので、近況を報告します。
大学卒業以来、NECの半導体部門で働き、米国子会社の技術支援で頻繁にシリコンバレーに行っていました。いつ頃だったかは失念しましたが、サンフランシスコから帰国する便で、偶然に藤村氏と遭遇しました。栄光卒業の後は別の道を歩み、没交渉だった旧友とバッタリ遭遇すると言う出来事に興奮したものです。それ以来、私がNECを退職するまで、米国で公私共にお世話になりました。
さて、私自身ですが、NECで担当していた組織の将来構想で上司と意見が対立し、54歳の時にNECを退職、仙台に本社のあるトーキンと言う電子部品メーカーに移りました。この会社では、部品素材を利用した「電波暗室(電波の無響室)」と言う建設事業を展開しており、その設計と施工を数年間経験しました。子供の頃から、機械や電気の工作が飯より好きだった私にとっては、長い会社生活の中で一番楽しかった時期でした。
トーキン時代は、日本的経営に固執する老害排除のため、役員の60歳停年制を推進し、私自身も 60歳で退職しました。それ以後は、ずっと年金生活者で過ごしております。最近になり、昔世話になった会社も、日立の半導体部門との合併など、時代の荒波にもまれて大変な状況になり、のんきに年金で生活しているのが何か申し訳ない気がしています。
退職後は、地元の地域活動に色々顔を出すようになり、昔は全く無縁だった地域の人との人脈が広がっています。全く違う経歴をもつ近隣の人々と縁ができるのは、なかなか楽しいものです。具体的には;
・地域の病院の備品(点滴スタンド、薬品ワゴン)などの、点検、清掃のボランティア
・大地震発生時の避難所開設、運営に関わる運営委員会委員
・地域の高齢者生活支援活動
・市主催の「学習講座」でDIY教室の講師
などを頼まれ、結構忙しい日々を送っています。
レクリエーションは、私はゴルフはやらないのですが、海のそばで育った影響で学生時代に始めたヨットを今でも楽しんでいます。最近の若い人は体が汚れるスキーやマリンスポーツを敬遠する人が増え、ヨットハーバーも一部のお金持ちを除けば昔から顔見知りの老人ばかりになり、後継者不足に悩んでいます。
体の方は、3年前から前立腺癌のマーカーであるPSAが上昇し、何度も組織検査を受けさせられ、昨年やっと癌細胞が見つかりました。手術は避けて放射線治療を選択し、今年の春に治療を終え現在経過観察中。まあ、再発しても、進行が遅い癌なので、私の寿命の方が先に訪れるらしいです。
私個人の近況はこんなところですが、最近どうしても腹に据えかねる事があるので一言。311の大震災で被災した東電福島原発で、千種さんが詳細な経過分析をされていますが・・。事故後の飛散物質の処理について、税金が浪費されている事に憤りを感じます。
そもそも、今回の事故でばら撒かれた放射性物質の拡散元は「東電」でしょう。これは歴史的に考察すれば、明らかな“公害”です。でも原発を推進した政府、官庁は、天下りの受け皿になっている東電を擁護して、一切“公害”と言う言葉を使いません。その政府に嫌われたくないのでメディアも、“公害”と言う表現を使わないのでしょうか?
熊本水俣のメチル水銀化合物や、富山イタイイタイ病のカドミウムと、今回東電がばらまいたセシウムなどの放射性物質は同じでしょう。なぜ誰も「公害」と言わないのでしょう。
さらに言えば、各地の土壌、作物を放射線で汚染したのは、東電の原発事故が原因であることは自明です。自動車のリコールを見れば明らかなように、市場にばら撒いた問題因子を回収するのは、その因子を発生させたメーカーの責任ですよね。現在、各地で放射線で汚染された土壌や焼却灰の処理に、なぜ税金を使って苦労しているのですか?
冷静に考えれば回答は明らか。処理に困っていると言うこれらの廃棄物は、その拡散元の「東電」に引き取らせれば良いだけの話です。かつての公害事件では、すべてそのような解決策が取られているのに、東電の事故だけはなぜそのルールを適用しないで各自治体が苦労しているのでしょう?東電は、東京ドームが何十個にもなる広大な土地を所有しているのですから、放射線残土などを引き取る事に何の問題もないはずなのですが。
この政府主導の情報統制と東電擁護の話は先が長いので、この辺で止めておきます。
(藤高*一郎)
2011/10 兵庫県玄武洞にて 手に持っているのは山登り用の杖
さて、次回の近況報告は、リモートセンシングで日本をリードしてきた、下田陽久さんにお願いします。