栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (175)”フキノトウ”(Okubo_Kiyokuni)

2023年07月25日 | 大久保(清)

 フキノトウ

冷たい雨の日が続き、なんの前触れもなく急に暖かくなった二月の中旬。その日を待ちかねていたように、枯葉や雑草に埋もれていたフキノトウが一斉に顏を見せ始める。川の土手道や畑の脇にしゃがみこみ、可愛らしいフキノトウを摘み取ると、指先からあの独特のほろ苦い香りが匂ってくる。この刺激的な香りは毎日が日曜日の老人にとって、カレンダーのようなもの。今年も春が来たことを、また一年が始まったことをぼけた脳みそにしっかりと刻み込んでくれる。毎年、いくらかずれがあるようだが、そんなことは日々の暮らしに何ら影響はない。ミニ・タケノコのように、湿り気を帯びてきた地面から花茎が現れると、みるみるうちに膨らみを増し、包み込んでいた葉が大きく広がり、中から、小さな手毬のような花芽が顔を出す。この時期までに収穫すると、においが潤沢、花芽や葉も柔らかく、食するには申し分ないが、採取する時期を逸すると、ただの雑草になる。

秘密というほどのものではないが、フキノトウの隠れ家は大よその目安をつけている。鶴見川に一か所、恩田川に二か所、街中に一か所、今年の見回りは、まず、鶴見川沿の畑の脇の斜面にした。そこは雑草でおおわれ、散歩中の犬たちが気持ちよく放尿する、一見、ゴミ捨て場のような所であるので、おそらく、畑の持ち主以外にはフキノトウの存在が知られていないはずだ。斜面に目をこらし、一つ発見すれば、芋ずる式に、あそこにも、ここにもと、伸ばした手が雑草の中を這いまわる。急斜面にふんばっていた足腰をやすめるべく、土手道まで降りるたびに、膨らんだビニール袋は刺激的な香りで満ちてくる。

今日は恩田川に足を運んでゆく。途中、道路際に顏を出すフキノトウを発見した。その先に目をやると、道路に沿って細い排水溝が走り、その向こうに広がる畑にとりつく急斜面はフキノトウであふれていた。今まで見落としていた場所だ。怖さを忘れさせほどの大量のフキノトウにからだが反応した。道路の斜面に腹ばいになったまま排水溝まで体を滑らせ、側溝に足が付くと、今度は畑の斜面側に体を倒し、左手で体を支えながら、右手の届く範囲のフキノトウをむしり採る、採り終わると、蟹の横這いで進み、また、むしり、そして、カニの横這い。突然、背後から、犬の散歩中のお婆ちゃんの大きな声が飛んできた。

「危ないよ、気を付けてくださいよ、おじいさん、あんまり無理しないでね~」あいよ、わかった、気を付ける、と言いながらも、ビニール袋に詰めてゆく手が止まらない。耳の傍で、よくやった、と家人の声が聞こえてきたような気がした。これはスーパーではかなり値の張るものなのだ。

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栄光ヒュッテに行ってきました。(2023/7/13)(iwao_Okuyama)

2023年07月21日 | 奥山

11期の皆様

2023年7月13日(木)太田君・山口(力)君・奥山の3人で丹沢札掛にある栄光山小屋(栄光ヒュッテ)に行ってきました。その時の様子を皆様にお知らせいたします。 きっかけは、前回のイレブン会に出席した田中(泉)君からのメールです。(下段参照)

  

9:00秦野駅に集合して出発。といっても若いころ歩いた蓑毛やヤビツ峠行きの神奈中バスに乗るのではなく太田君の車で山小屋近くにある丹沢ホームの駐車場まで。出発するとすぐに坂道、舗装されているがくねくね曲がった狭い道、前から車が来ないことを祈りながらゆっくりと登っていく。こんな道でもヤビツ峠まではバスが通っている。30分ほどして丹沢・大山国定公園の碑が立つ見晴らしの良い場所に着いた。

       

雨が少し降っていたが昨日までの猛暑が収まり涼しい風が顔に当たる。10分ほど休憩して再出発。ヤビツ峠を過ぎると20分位で丹沢ホーム到着。

駐車場に車を置いて鍵を預かる。ヤマヒル対策で長袖シャツに着替え、ズボンの上から厚手の靴下、軍手に塩を振りかけて山小屋へ向けて歩き始める。

  

5分ほど山道を下ると建物が見えてきた。「あ!栄光の山小屋だ」早速カメラでパチリ。

階段を上ると栄光ヒュッテの看板が、

       

60年位前全員で撮った写真の光景が浮かんできた。

鍵を開けると中は真っ暗、窓の隙間と入り口からさす光だけが頼り。目が慣れてきた。見渡すと入り口付近のテーブルに数個のランプと食器が、奥に入ると沢山の布団が積んであった。こんな狭いところにワーワー騒ぎながらみんなで寝ていたんだ。。

 

裏に回ると炊事場が有り水道からちょろちょろ水が出ていた。多分寒いときに凍らないように水を流しているのだろう。早速飲んでみた。思っていたよりも冷たくなかった。

下に広場が見えた。確かここでキャンプファイヤをしたところだ。燃え盛る焚火の前で若くして亡くなった川島千明君の「Over the Rainbow」低い歌声に感動したことが蘇ってきた。

 

30分ほど見て帰ることにした。折角来たのだからと栄光学園で貰った利用許可証に日付と3人の名前を書いてテーブルの上に置いた。短い時間だったが来てよかった。思い出に残る栄光ヒュッテ訪問だった.

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 田中(泉)君からメール>

本日のイレブン親睦会の折に田中(泉)さんから山岳部OBとして、栄光山小屋が存亡の危機に瀕しておりこれをなんとか防ぎたいとの話がありました。これを防ぐには、卒業生の山小屋使用実績を上げることが必要で丹沢山小屋に行って欲しい。山小屋を拠点として、山に登ることは必要なく、山小屋に行って、山小屋に有る日誌に記帳して欲しいとのことでした。バスでも行けますし、車でも行けます。是非ご検討くださいとのことでした。

 

 

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