栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (182)”コミュニケーション貯金”(Okubo_Kiyokuni)

2024年03月09日 | 大久保(清)

  コミュニケーション貯金

コロナ禍の時代、オフィスを離れてリモートワークが推奨された。その結果、『コミュニケーション貯金』が減ってしまった。リアルで働いていれば、相手の人となりがわかり、気心が知れた人との『コミュニケーション貯金』はオフィスで働いているなかで貯まっていきます。この貯金のある間はオンライン会議でもスムースに業務をこなせていたのですが、徐々に貯金が減ってゆき、コミュニケーションがうまくいかなくなりました。そこで危機感を抱き始めた人たちがオフィスに戻りはじめました。

この新聞記事を読み、『コミュニケーション貯金』という英語・日本語の合成語が簡にして要を得たわかりやすい表現だ、と感心させられた。コミュニケーションは人が人として生きてゆくには欠かすことのできないもの、そして、人と人のつながりは、顔を合わさないでいる間に、次第にうすれてゆき、阿吽の呼吸で通じ合っていたはずの互いの信頼感が弱まっていく。

今はラインとかSNSとか、スマフォ画面で交信を続けている若者が多い。いや、若者だけではなく、老人たちもその世界に取り込まれている。液晶パネルに映り込む文字だけでコミュニケーションを続け、途中、笑いの絵文字やら、怒ったマークなどを挿入してほぼ漫画の世界で交信しているように見える。

オンライン面接や会議もあるが、平板な画面を通して各人が話すの言葉の背後に隠れている気持ちの奥行きを正確に通じ合はすにはやはり息のかかる距離で交し合う会話に勝るものはない。目の動き、呼吸のリズム、肩の動き、指の仕草、頬の揺れ、唇のゆがみ、これらは小さな画面では表現できない。リモートワークの世界に入り込み、デジタルの海を泳いでいるうちに、相対する人間の、複雑な心理が読み切れず、疲れ果てたのではないだろうか。動物である人間が直接肌で感じえる、動物の五感を総動員させたコミュニケーショの大切さを再認識してきたのかもしれない。

むかしは、人と人の交信はSNSもなく、もっぱら手紙のやり取りであった。会えない人とは、言葉を尽くして、一文字一文字を大切に、手紙の届くまでの時間、過去の思い出を何度も反芻しあい、心のコミュニケーション貯金を重ねていた。人と人との心のつながりを、それぞれが胸の内で貯金していたのだ。

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