ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

完全なるチェックメイト

2015-12-22 23:41:49 | か行

クリスマスに
テレビでボビー・フィッシャーのドキュメンタリーやるそうですね。


「完全なるチェックメイト」70点★★★★


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1951年、NYブルックリン。
チェスが大好きな少年ボビー・フィッシャーは
チェスクラブに通い始め、

14歳でアメリカ選手権で優勝、15歳でグランドマスターになり
世界から注目され始めた。

そして1971年。
28歳になったフィッシャー(トビー・マグワイア)は
世界チャンピオンのボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)への
挑戦権を得る。

翌年の1972年。
レイキャビックでスパスキーVSフィッシャーの
世紀の対戦が行われることになるが――?!


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「ラストサムライ」(03年)「ブラック・ダイアモンド」(06年)などの
エドワード・ズウィック監督が
実在の天才チェスプレイヤーを描いた作品。


「バクマン。」の漫画制作シーンじゃないけれど、
チェスの試合も
まあ絵にするのが難しい題材でしょう。

ましてチェスのルールも知らない人間に
どうおもしろく見せるのか?

そういう意味ではこの映画、
奇をてらったようなことはしていません。

特にルールがわからなくても
サクサクと進むし、わかりにくくない。

で、ゲームの話というよりも
冷戦時代にソ連VSアメリカとなった世紀の試合の背景や
その並外れた記憶力や集中力の代償としか思えない
ボビー・フィッシャーの心のなかの苦しみが
非常に詳しく描かれるんです。

試合中、観客の咳払いが
爆音のように聞こえて集中できなかったり
「監視されている」「盗聴されている」と
パラノイア的になったり。

映画中にも
心のバランスを崩して他界した
実在プレイヤーの話が出てくるし
やはり
“神からのギフト”をもらった人の苦しみなのでしょう。

でもね
それで壊れてしまった、で話が終われば
まあ、ありがちなんですが
しかし、この映画はそれで終わらない。

試合の相手である
スパスキーのほうも、なにやら精神の均衡を失っていき
「え?まさか、フィッシャーの行動って、あれ全部計算?
とすら思わせるところが、巧みなんですよう。

そして
おなじみ「週刊朝日」「ツウの一見」で
プロチェスプレイヤーの小島慎也さんにお話を伺ったのですが
チェスプレイヤーには実際、変わった人が多いらしいです(笑)
まあ将棋の棋士もだそうですがw

でもその頭の中は
決して何千手、何万手先までを読んでるわけでなく
我々が仕事の段取りを逆算していくような
日常で行う、思考のプロセスに通じているとのこと。

へええ!がいっぱいでおもしろかったです。

掲載はちょっと先、1/11(火)発売号かな。
映画と合わせて、ぜひ読んでみてくださいませ。


★12/25(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。

「完全なるチェックメイト」公式サイト
コメント
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