ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

君が生きた証

2015-02-18 20:16:29 | か行

これは驚いた。


「君が生きた証」75点★★★★


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やり手広告マンのサム(ビリー・クラダップ)は
大学生の息子ジョシュを、
突然の事件で失ってしまう。

2年後。

会社も辞め、荒んだ生活を送るサムは
息子が生前に書きためていた曲の存在を知る。

サムは息子の曲を
ギターで弾き、歌うようになるのだが――。

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亡くなった大学生の息子の遺した歌を歌うことで、
自分を取り戻していく父親の話。

なんとなく読める感じ、します?
いやいや、ここはダマされたと思って観てほしい。


まずは
あらすじ通りの順当な展開。

それでも音楽が非常によく

息子の曲に反応した若者とバンドを組むことで
「おっさん、息子の生きた証を噛みしめてるのね……」と

中盤にも差し掛からないうちから、
正直、かなりウルッウルきた(笑)

しかしですね、
ここから、意外なオチが待っているのだ。

見る人の気分がガラリと変わる、覆る。

これが巧いんですわ。

実際「えっ?」とそこから
心離れてしまう人もいるらしいんですが
ワシはこのテクニック、好きですね。

映画を使って、人の心を操ることができる
かなりの手練れによる作品だ、と思ったら

「ファーゴ」などで知られる
個性派俳優ウィリアム・H・メイシーの
監督デビュー作だそう。

これ以上腑に落ちることはありませんでした。

あれ?腑に落ちるって言葉、正しいんだっけ?(笑)


★2/21(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国で公開。

「君が生きた証」公式サイト
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きっと、星のせいじゃない。

2015-02-17 23:24:34 | か行

ぐすん。。泣きましたわ。

「きっと、星のせいじゃない。」70点★★★★


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17歳のヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)は
末期のガン患者。

どこに行くにも酸素ボンベが手放せず
友達もいない。

あるときヘイゼルはイヤイヤ参加した
ガン患者の集会で
ハンサムな青年ガス(アンセル・エルゴート)に出会う。

最初はガスを敬遠するヘイゼルだったが――?

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ガン患者同士の
若いカップルの話。

普通なら敬遠しがちな内容だけど
「(500)日のサマー」の脚本家コンビだから
なにかやってくれると思った。

若干、ハズしてるセリフもあったし、
恋愛ものとして、確かに月並みな部分もあったけど

やはり「キラリ」の輝きがあり、
作品世界にグッと捉えられました。

主演の二人に淡々とした前向き感があるのも新鮮。
若手注目株の筆頭な二人でもあり
青少年の健全デートにぜひ選んでほしいなあ。

それに
最近、老年の恋とか多かったんで(笑)。

若く瑞々しく
「キュン」とするようなときめきも、
たまにはいいよね。


★2/20(金)から全国で公開。

「きっと、星のせいじゃない。」公式サイト
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アメリカン・スナイパー

2015-02-16 19:10:38 | あ行

これはねえ……
フクザツな気持ちですねえ。


「アメリカン・スナイパー」68点★★★☆


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クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は
テキサス州に生まれ育った生粋のカウボーイ。

テレビで9.11を見て衝撃を受け、
軍隊に入ったカイルは

子どものころから得意だった射撃の腕を買われて
スナイパーとなる。

だが、初めて任務についたイラクの地で
彼の照準が捉えたのは
まだ幼い少年とその母親だった――。


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クリント・イーストウッド監督が
イラク戦争で米軍史上最多の160人を射殺した
実在の“伝説のスナイパー”を描いた話題作。


もちろん完成度は抜群です。

劇場で予告を見てるだけで
相当ハラハラしたし「観たい!」と思いましたが
そのとおりのドキドキでした。

見終わってもしばらく耳が「キーン」となっているような
銃撃音の臨場感がものすごくて。
主演ブラッドリー・クーパーのマッチョな役作りもすごい。

ただワシは
同じくフクザツな気持ちになっても
ブラピの「ヒューリー」のほうが心動きました。

この映画は
戦場にあるのは銃声と爆音と、瞬間の判断、
そして「生と死」の現実だけだと、マジで突きつけてくる。

あえて徹底的に
ヒューマンな部分をそぎ落としたのだろうなあと思いますが
その分、あまり心が動かないのがちょっと残念。


戦場から家族のもとに戻っても
主人公が「心を戦場に置いている」その狂気はバリバリ伝わるけど
それは「ハート・ロッカー」でも描いてるしね。

ただ
もともとゴリゴリのカウボーイで
「男たるもの、戦って家族を守れ」と叩き込まれて育った人物が
こういう経緯を辿るんだなあ、と。

ラストも含め
“アメリカ”を描いているという点で
納得するものはありました。


★2/21(土)から全国で公開。

「アメリカン・スナイパー」公式サイト
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フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

2015-02-13 21:21:42 | は行

これは、女性におすすめかな(笑)


「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」70点★★★★


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大学生のアナ(ダコタ・ジョンソン)は
ある日、学生新聞の取材で
億万長者のクリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)に出会う。

謎めいたグレイに惹かれるアナ。
グレイもまた、純粋なアナに興味を持つ。

しかし、グレイには
ある秘密があった――。


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けっこう楽しみました(笑)

思ったほどハードではなく、
ちょいエロスで、基本は青春恋愛小説。


「トワイライト」のややエッチ版というか
少女コミックややハード版というか

ハード“壁ドン”の世界(笑)。


つまり
やっぱり女子のファンタジー妄想系、ぶっちぎりなんですよ。


恋愛未経験なウブな女子大生が
超お金持ちなハンサム男(好みはおいといて、ね。笑)に出会い
官能の世界へと導かれる……というストーリー。

どこか謎めいた彼は
彼女をリードしつつ、ときに突き放し、
次にどんな手でくるか分からない。

自家用ヘリを飛ばすわ、
禁断のプレイルームは持ってるわ
気持ちいいくらいにふっとんでいる。


浮世離れしている、という点では
「吸血鬼です」って言っても変じゃないようなキャラで(笑)。

そういう男に翻弄されてみたい……という
女子願望が、けっこう満たされるのではと思います。

ただ男性にとっては
かな~り物足りないんじゃないかな~と思いますハイ。


★2/13(金)から全国で公開。

「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」公式サイト
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劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス

2015-02-12 23:40:46 | ま行

昨年、たまたま買ったトーベ・ヤンソン展の図録と
この映画で
一気にムーミン熱が加速(笑)


「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」70点★★★★


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ムーミン谷に暮らすムーミン一家は

あるとき地中海のリビエラに
バカンスに出かける。

南の島で一家を待ち受ける
ワクワク&ハラハラな出来事とは――?!

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ムーミンの生まれた地・フィンランドで
初製作された長編アニメーション。


トーベ・ヤンソンの原画のような
線画の感触を残した絵がいい。

シックな色合いもセンス良いです。


お話の中身も要は
きらびやかなセレブ暮らしよりも
質素で地に足ついた、その土地での暮らしがいいや、というもので

うーん、ロハスな現代にぴったりじゃありませんか。


お馴染みキャラクターも登場しますが
ムーミンの彼女、フローレンが
なかなかの小悪魔娘だとわかったのは、衝撃でしたね(笑)

小さなミイが
意地悪もするけど、機転もきくちょこまかさで
映画のよいスパイスになっていたし

登場シーンは少ないものの
やはりスナフキンの悠然とした様はいいなあと思いました。


★2/13(金)から全国で公開。

「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」公式サイト
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