ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ホワイト・クロウ 伝説のダンサー

2019-05-09 23:50:12 | は行

セルゲイ・ポルーニンが

やっぱり印象、残すよねえ。

 

「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」70点★★★★

 

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1938年、3月。

ウラジオストックに向かうシベリア鉄道のなかで

ルドルフ・ヌレエフは生まれた。

 

6歳のときにバレエ公演を見て開眼した彼は

貧しい暮らしのなか、バレエのレッスンを受け、

その才能を開花させていく。

 

やがてキーロフ・バレエ団に入団し、パリ公演に行った彼は

未知の芸術や文化を貪欲に吸収する。

だが、そんな行動からKGBに目を付けられてしまい――。

 

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「ハリー・ポッター」シリーズの”名前の言えないあの方”でおなじみの(笑)

名優レイフ・ファインズが監督。

(ワシは「ナイロビの蜂」(05年)の大ファンなんですけどね!笑

 

構想20年を経て

1961年にパリで亡命し、世界に衝撃を与えた

ソ連の伝説のダンサー、ルドルフ・ヌレエフの半生を描いた作品です。

 

ヌレエフのことは知らなかったのですが、

映画は、61年の「そのとき」に焦点をあて、

貧しい家庭に生まれた彼が、ソ連バレエ界で頭角を現すまでの鍛錬の日々、

窮屈なソ連を抜けだしてパリ公演に行き、

水槽から放たれた魚のように

狂おしいまでに、自由や文化を吸収するさまを描いている。

 

見ながら、

個人の才能も努力も「国のもの」という状況の苦しさに

「レッド・スパロー」(18年)

を思い出してしまいました。

 

そんななかでひたすらに

自らの高みと、外の世界を渇望したヌレエフ。

 

その

ひたむきで猛烈なパッションを感じつつ

映画のタッチは静かで落ち着いていて

大人な感じなんですよね。

さすが、「名前の言えないあの方」!(ウソウソ)

 

ヌレエフ役を

ウクライナ出身のダンサー、オレグ・イヴェンコが演じていて、ダンスシーンも迫力。

 

さらに同じくウクライナ出身、ドキュメンタリーもヒットした

あのセルゲイ・ポルーニンも、同僚バレリーナ役で出演している。

やっぱり存在感でかいですねえ。

 

映画では深掘りされていない、ヌレエフの一面が

この二人が登場する、ほんのささいなあるシーンの一瞬に映っていて

それもまた、クッ、と来たりするんです。

 

★5/10(金)からTOHOシネマズ シャンテ、シネクイント、新宿武蔵野館ほか全国で公開。

「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」公式サイト

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