ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

誰がために憲法はある

2019-05-01 14:05:43 | た行

令和の最初に。

大事なことですからね。

 

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「誰がために憲法はある」70点★★★★

 

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87歳になられる名優・渡辺美佐子さんが

憲法を擬人化した、松元ヒロ作の一人芝居「憲法くん」を演じる、という映画。

 

ただ「憲法くん」の舞台は12分なので、

そこに渡辺さん自身が33年間上演してきた「原爆朗読劇」の舞台を重ねた

ドキュメンタリーになってる。

 

「憲法くん」というのは

性は日本国、名は憲法、というキャラ。

自分がどういうふうに生まれたのか、

そして、いままで70年以上もがんばってきたのに

いま改正案とか出されて「リストラされるかも!」と

ちょっとのユーモアも交えて、わかりやすく語りかけてくれる。

 

さらに

「憲法の前文」が朗読されることで

「ああ、憲法ってそういうものなのか」を改めて知る、という劇なんですね。

 

「憲法」のなんたるかを知ってるか

と問われればどうも心許ないワシとしては

大変に勉強になった。

 

字面を追うのと、人の声で語りかけられるのって

全然違うんだなあと。

渡辺美佐子さん、凜としてお美しいし。

 

 

なにより憲法というのは

戦争の悲劇の責任が「政府」にあったとしっかり明記し、

再び権力を持った者が好き勝手をしないように

“国民が「国」を縛るためにあるもの”なんだ、と語りかけられて

 

そうか!とハッとしました。

 

なんか「国に従うためにあるもの」って思ってません?って。

そこが大きなポイントなんだと

知るだけでも、大事な意味がある。

 

そして上映と合わせて、プレス資料にあった

馬奈木厳太郎弁護士による「改憲についてQ&A」を

配布するといいんじゃないかなあと思う。配布されてるといいな。

 

 

さらに後半、渡辺さんと「原爆朗読劇」を続けてきた

名女優さんたちのインタビューもすごく響く。

そのなかで

「日本では、こういう活動をしていると

『あ、そういう人ね』という目で見られる。おかしいですよね」

という言葉があって、ホントにそうだと思った。

 

政治について、歴史について

知らないほうが恥ずかしいことなのに

そうじゃない空気が作られてることが、ヤバいんですよね。

 

昨年の米中間選挙のときに

初めて政治的なメッセージをツイートして注目された

テイラー・スウィフトもELLEのインタビューで言ってましたよ。

「政治についてはたくさん勉強した。これからはどんどん発言していく」って。

テイラー・スウィフト関係ねえじゃん?って?失礼しましたー。

 

★4/27(土)からポレポレ東中野ほか全国順次公開。

「誰がために憲法はある」公式サイト

コメント
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