ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

さよならくちびる

2019-05-27 23:42:30 | さ行

これはよかったなア。

 

「さよならくちびる」76点★★★★

 

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「二人とも、ホントに解散の決意は変わらないんだな?」――

 

2018年、夏。

ハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)のデュオ<ハルレオ>は

インディーズでCDを出し、これから!というときに

解散することになった。

 

マネージャーでローディー兼運転手のシマ(成田凌)は

そんな二人を連れて、解散ツアーに出る。

 

車中でも険悪ムードな二人だが

彼女たちには

そこに至るまでの、かけがえのない時間があった。

 

それは、一人で曲を作り、歌っていたハルが

レオを誘った、あの日に遡る――。

 

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小松菜奈×門脇麦がデュオを演じ、

秦基博×あいみょんが、彼女たちが劇中で歌う楽曲を提供した、という作品。

 

これが、予想以上に、

すごくよかった。

 

最初は「女子二人のデュオが、男(成田凌)の出現で危うくなる?」とか

なんかドロッドロな女子っぽいイメージを持ってたんですが

いや、もっと「純度」が高かった。

 

 

音楽も、猛烈にいいけど、

とにかく

ぶっきらぼうで、行間なくて、愛想ないけど、

身ひとつあれば、なんでもできる。

そんな若者の感じ、希望と、刹那が映ってると感じました。

 

特に

ぐるぐる、うねうね、もやもやと

一直線に行けばいいのに、遠回りしてしまう、若さゆえのあの感じが

 

普段はだる~な感じでも

ステージでは蛍のような、やさしいけれど凜と光りを放つ

門脇麦氏に、象徴されてる気がしました。

 

てか

小松菜奈氏の歌声も魅力的だけど

門脇さんも、歌うますぎ!(笑)

 

<ハルレオ>として、ライブハウスをめぐるうちに、

二人の歌の経験値があがり

同時に我々も、だんだん彼女たちの歌を憶え、

そして「あれ?」と気づくとファンになっているという

この構造も、シンプルにして

ヤラレタ感じでした。

 

映画は解散ツアーの道中に、

2人のこれまでの物語が挟まるという構成なんですが、

この過去パートは

小松菜奈氏の髪型の変化だけで

年月の経過を表現している。

 

この手法は

写真家・奥山由之氏が製作して、けっこう巷で話題の

ネバー・ヤング・ビーチの「お別れの歌」のPVと同じ作り。

 

映画のスタイリングを、同じスタイリスト伊賀大介さんが手がけているようで

なるほどー。納得いたしました。

 

★5/31(金)から全国で公開。

「さよならくちびる」公式サイト

コメント
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