ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

レッド・スパロー

2018-03-30 23:54:43 | ら行

 

「ハンガー・ゲーム」シリーズの監督なんだね。

なるほど、ドラマの盛り上げ方がうまーい。

 

「レッド・スパロー」73点★★★★

 

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ボリショイ・バレエ団のバレリーナ

ドミニカ(ジェニファー・ローレンス)は

あるときステージで大けがをし、将来をたたれてしまう。

 

絶望のなか、彼女には

ロシア情報庁の幹部である叔父(マティアス・スーナールツ)の紹介で

スパイ(=スパロー)の養成学校の門をくぐる。

 

そこはターゲットを誘惑し、心理操作をするテクを学ばせる

“ハニートラップ“スクールだった――!

 

過酷な訓練を経て

ドミニカは持ち前の身体能力と、鋭い洞察力で

“スパロー”へと変身していくが――。

 

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これは予想以上におもしろかった。

 

戦闘メインのスパイアクションものではなく、

心理描写が深めで、ストーリーがしっかりしていること、

そして

敵味方が入り乱れるスパイものにしては

いい意味で「わかりやすい」のがいい。

 

 

「ハンガー・ゲーム」シリーズの監督だと知り、なるほど。

 

ヒロインが「そうせざるを得なかった」事情を描きこみ、

観客の心を掌握し、 かつドラマの盛り上げが上手。

 

役者の配置も絶妙で

シャーロット・ランプリングを

冷血なスパイ養成学校の監督官にするなんて、やるう。

 

そしてなんといってもジェニファー・ローレンス使いに長けている!(笑)

感情を殺した人形のような冷たさ、美しさ。身体能力も抜群で

かつ、センシティブな内面も感じさせ、

「彼女は、相手を騙してるのか? それとも本心なのか?」という

ハラハラが見ものでした。

 

原作を書いたのは元CIA捜査官で

実際にハニートラップ養成学校も、スパローも存在するんだそう。

「人も国の財産」なロシアで生き残るには

これほどの強さとスキルが必要なのか、と。

 

来週4/7公開の「ラブレス」

ロシア鬼才、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督にインタビューしたのですが

彼は 「ロシアは個人を大事にしない国」だと言っていた。

そんな言葉が、この映画を見ながら、ふと蘇ったのでした。

 

★3/30(金)から全国で公開。

 

「レッド・スパロー」公式サイト


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