ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

愛と法

2018-09-24 15:51:35 | あ行

 

なんと素敵でおっきなドキュメンタリーだろう!

 

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「愛と法」80点★★★★

 

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大阪で法律事務所を構える

ゲイの弁護士カップルを

10歳からオランダで育った戸田ひかる監督が撮ったドキュメンタリー。

 

いや~とにかく、いい映画で(笑)

チラシやパンフにも使っていただいた拙コメント

"リアル「きのう何食べた?」であり、「チョコレート ドーナツ」だ! ”が

ホントそのまんまなんですよ(笑)。

 

主人公は弁護士ふうふのカズ&フミ。

映画にまず写るのは、二人のフツーの暮らしです。

仕事を終えて家に帰ると、可愛い猫が二人を出迎え、

フミがごはんを作り、カズが後片付けをする。(「きのう何食べた?」でしょー?笑)

 

そんな

二人の微笑ましい日常とともに、

彼らが扱う案件が紹介されていくんですね。

 

二人のもとにやってくるのは

セクシャル・マイノリティーや無戸籍に悩む若者などなど。

「君が代」を歌わなかったことで処分を受けた先生や

"ろくでなし子裁判”の弁護もする。

 

そうした人々を助けるべく奮闘する二人の様子から

日本の現状が、よーく見えてくる。

 

異質なものを排除し、「空気を読む」ことを強要するニッポン。

そこからはみ出した人々が

どんどん声を上げられない社会になっていく不穏――

 

愛とユーモアとともに

想像より大きな問題を提起してくる

その点が、この映画の「おっきい」ところなんです。

 

 

そんな社会のなかで彼らのあったかい家庭と

彼らを理解し、受け入れている家族のぬくもりが、

どれほど大事か、どれほど素敵か。沁みる。

 

二人の家族も素敵だけど

ろくでなし子さんのお父さんも素敵なんですよ(泣)

 

 

そして、二人が面倒をみる少年カズマくんのエピソードがまたいい。

 

愛を与えられた子は

次の誰かに、愛を継いでいくことができるのだ――と

 

あったかい想いがじんわり押し寄せて、

ホント、泣けてくるわー。

 

AERA9/24号で戸田ひかる監督にインタビューをさせていただいております。

AERAdot.

で読むことができます~。ぜひ映画と併せてご一読くださいませ。

 

★9/22(土)から大阪 シネ・リーブル梅田で先行公開中。9/29(土)から渋谷 ユーロスペース、ほか全国順次公開。

「愛と法」公式サイト

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