ブラジル発、アラ70(!)のドラァグクィーンの人生!
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「ディヴァイン・ディーバ」69点★★★★
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1960年代、軍事政権下のブラジルで
さまざまな困難と向き合いながら
異性装でパフォーマンスをする“ドラァグクイーン”として完成度の高いショーをこなしてきた
現在アラ70(!)な8人の
人生と舞台を追うドキュメンタリー。
いまとは比べものにならないほど
厳しい時代を生き抜いてきた彼女たちが、
実にしなやかでたくましく、いまだ美しいことに驚かされます。
なにより、この作品は
この人だからこそ「被写体を撮る意味があった」という
ほとんど“家族を写した”ような成り立ちの作品なんですよ。
監督のレアンドラ・レアルは
女優・プロデューサーとして活躍してきた、1982年生まれのもうすぐ36歳。
彼女の祖父が60年代にリオ・デ・ジャネイロに設立した劇場が
ドラァグクイーンたちの拠点であり、
その劇場で彼女自身、幼いころを過ごし、レビューを見ていたんだそうです。
そんな監督が、当時のスターである彼女たちに
インタビューした、というのが本作の成り立ち。
厳しい時代に、8人が思春期をどう過ごしてきたのか、
恋人と死別した人、運命の相手を見つけた人――
さらに普段は“男性”に戻り、ステージのときだけ“女性”になる人がいたりして
本当に、人生いろいろ。
撮影後に亡くなっている方も何人かいて
彼女たちの軌跡を残した意味は大きい。
ただ、映画としては
全体がやや「昔話」に終始しているのと、
被写体が監督に「そう、あのお孫さんの・・・・・・」という姿勢で接している感じが、
過剰に伝わってきてしまっていて
ちょっとトークも「表面的」というか、
もっと深く潜る感じが、ほしかったかなという気がする。
それに
もともと美を追求する気質が一般より高いであろう方々が
逆らえぬ“老い”とどう向き合っているのか?を
もっともっと深淵まで知りたかったかな~とか。
まあ、いまだ美しい彼女たちの姿勢に
教えられることは多いんですけどね。
★9/1(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。