老年の恋かあ、だいたいこんなものかしら、というイメージを
けっこう上回るいい映画でした。
「トレヴィの泉で二度目の恋を」71点★★★★
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老年を迎えつつある
エルサ(シャーリー・マクレーン)は
一人暮しを楽しむ、明るく陽気な女性。
そんな彼女のアパートに
80代のフレッド(クリストファー・プラマー)が引っ越してくる。
長年連れ添った妻を亡くしたフレッドは
家に引きこもったまま。
しかし、エルサはあることから
フレッドと関わるようになり――?
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ワシ、シャーリー・マクレーンって
ちょっと小意地悪い感じというか
あまり好みじゃなかったんですよ(すいません)。
「あの日の指輪を待つきみへ」(07年)の
イメージが強いせいだと思うんですが。
でも、この役柄は
虚言癖ある、クセのある役ではあるけれど
とにかく「アハハハハ」と明るく弾けるような笑い声が
とてもよかった。
とかく沈みがち孤立しがちな老年を、
こんなふうに笑えばいいんじゃん? と、
パッと目を覚ましてくれるような気がしました。
彼女は都合の悪いことをごまかす
ご愛敬な嘘もつくんですが
「若いころはアニタ・エクバーグより美人だった」
「ピカソの絵のモデルになったこともあるの」
とか、もう嘘なのか、妄想なのか、わからないところもある。
でもそうやってイキイキとして
「我々は人生に価値を見出せない」
「俺たちは出がらしだ」と話す男たちを
チャーミングにリードする彼女を見ていると
なんだか老後が明るく感じました。
彼女の“嘘”が、最後にいきてくるのもいい。
最初ヨボヨボで焦った
クリストファー・プラマーも
ちゃんとやっぱりカッコイイですしね。
余談。
映画の新聞広告のために
「シャーリー・マクレーンの大ファン」という
ジャズシンガーの綾戸智恵さんにお話を伺ったんです。
(もう掲載されたのかな?わかんないんですが)
シャーリー・マクレーンがインタビューで
「もう最近は鏡なんてみないし、自分がどう見えるかなんて
気にしない」と話していて
でもワシは最近、毎日鏡で白髪を見つけては
「ああトシとった・・・」ってガックリしますって
綾戸さんに話したら
「ああ、それはアンタの中身が伴ってないせいやな」と。
ズサッ!(大笑)。斬られました。
そのとおりです!
目が覚めました。
綾戸さん、ありがとうございます。
★1/31(土)からBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。
「トレヴィの泉で二度目の恋を」公式サイト