言ってみればおっさん二人の会話劇。
しかし
不思議な面白みがありました。
「ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して」69点★★★☆
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1948年、アメリカ・モンタナ州。
第二次世界大戦の帰還兵である
アメリカ・インディアンのジミー(ベニチオ・デル・トロ)は
頭痛や不眠などの重篤な症状に悩まされていた。
病院でも原因が見つからず、
困った医師たちは
まだ実績のない精神分析医ジョルジュ(マチュー・アマルリック)にジミーを診せることに。
ジョルジュと対話を重ねるうちに
ジミーの心にある“澱”が明らかになっていき――。
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アルノー・デプレシャン監督×
ベニチオ・デル・トロ×マチュー・アマルリックという
腕利きのタッグによる作品。
実話が基で
原題のサブタイトル「あるインディアンの精神治療記録」を
そのまま映画化しただけといえばそんな感じの
割とプレーンな印象です。
ほぼ全編、
患者役のデル・トロと医師役アマルリックの二人が
カウンセリングという設定で
向き合ってする会話だけなんですが
しかし、それにしては退屈しないというか
不思議な面白みがある。
ユダヤ系フランス人でアメリカに来たという出自のジョルジュ役
アマルリックの英語が平明でわかりやすく
そんなジョルジュのマイノリティー感覚が
インディアンをルーツに持つジミー(デル・トロ)と
心の通じ合う大きな理由となる、というのが面白い。
アマルリックが珍しく(?)普通の人な役柄なのも
なかなか味わいありました。
それに
戦争という大きな恐怖体験を経て
一応、平和になった世の中で
ジミーのような症状を露わす人々が登場し、
それがおそらく現代のPTSDや“うつ”など精神疾患の礎になったのではと聞くと
なるほどなと思います。
★1/10(土)からシアターイメージフォーラムほか全国順次公開。
「ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して」公式サイト