ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ジミー、野を駆ける伝説

2015-01-16 20:06:32 | さ行

安定の、ケン・ローチ品質。


「ジミー、野を駆ける伝説」70点★★★★


***************************

1932年、内戦終結から10年目のアイルランド。

ジミー(バリー・ウォード)が
10年ぶりに故郷に帰ってきた。

かつて地域のリーダーで、活動家だったジミーは
逮捕を逃れてアメリカで暮らしていたのだ。

年老いた母親と静かに暮らそうとしたジミーだったが
しかし地元の若者たちに
「もう一度、みんなを率いてほしい」と懇願されて――?!

***************************


ケン・ローチ監督の最新作。

アイルランドに実在した
“名もなき英雄”を主人公にして
血なまぐさい争いの描写はなく、
そこまで大きなドラマもない。

でも
近い歴史の一コマを“いま”に通じさせる
巨匠の抑えた演出が光っておりました。

なんといってもアイルランドの風景が本当に美しくて
「こんなに美しい世界で、なぜ人と人とが、いがみ合わねばならないのだろう・・・」と
じわじわ、こみ上げてきた。

労働者たちを団結をさせたらたまらん、と結託する権力者たち
(地主やカトリック教会の神父、警察、大英帝国)VS

自らの権利とささやかな幸せを求める
貧しき労働者たちという構図は
いまの、どの世界にも、通じる話ですからねえ。

ジミーを演じるバリー・ウォードが醸し出す
誠実で無欲、高潔なリーダーのカリスマ性もよし。

リチャード・ギア似で、味のあるハンサムですわ。


★1/17(土)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。

「ジミー、野を駆ける伝説」公式サイト
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする