安定の、ケン・ローチ品質。
「ジミー、野を駆ける伝説」70点★★★★
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1932年、内戦終結から10年目のアイルランド。
ジミー(バリー・ウォード)が
10年ぶりに故郷に帰ってきた。
かつて地域のリーダーで、活動家だったジミーは
逮捕を逃れてアメリカで暮らしていたのだ。
年老いた母親と静かに暮らそうとしたジミーだったが
しかし地元の若者たちに
「もう一度、みんなを率いてほしい」と懇願されて――?!
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ケン・ローチ監督の最新作。
アイルランドに実在した
“名もなき英雄”を主人公にして
血なまぐさい争いの描写はなく、
そこまで大きなドラマもない。
でも
近い歴史の一コマを“いま”に通じさせる
巨匠の抑えた演出が光っておりました。
なんといってもアイルランドの風景が本当に美しくて
「こんなに美しい世界で、なぜ人と人とが、いがみ合わねばならないのだろう・・・」と
じわじわ、こみ上げてきた。
労働者たちを団結をさせたらたまらん、と結託する権力者たち
(地主やカトリック教会の神父、警察、大英帝国)VS
自らの権利とささやかな幸せを求める
貧しき労働者たちという構図は
いまの、どの世界にも、通じる話ですからねえ。
ジミーを演じるバリー・ウォードが醸し出す
誠実で無欲、高潔なリーダーのカリスマ性もよし。
リチャード・ギア似で、味のあるハンサムですわ。
★1/17(土)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。
「ジミー、野を駆ける伝説」公式サイト