ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

バベルの学校

2015-01-29 19:16:27 | は行

フランスを舞台に描かれる
“共生”の重要性。

いま観るべき映画、でしょう。


*************************


「バベルの学校」74点★★★★


*************************


舞台はパリの中学校。

リビア、ウクライナ、中国、スリランカ、ギニア……
20の違う国籍の子どもたちが集まったクラスを追うドキュメンタリー。

これは、見応えありました。


映画は各国の「こんにちは」を教え合うシーンから始まるんですが
ここですでに言語の違いが、宗教・民族対立へと発展していく
まさに「バベル」な状況が巻き起こり

相当、ハラハラします。


育った環境や事情から心を閉ざし、
取りつく島もない子もいるんですが

しかし
粘り強い女性教師の引っ張りもあって
子どもたちはだんだん「違い」と「共生」を学んでいく。

そして
クラスが段々ひとつになっていくんですねえ。

学期の終わるラストは感涙ものでした。


監督は「やさしい嘘」「パパの木」と
感情表現の巧みなジュリー・ベルトゥチェリ。

そうそう、彼女はもともとドキュメンタリーの監督なんだった。
うまいですね、さすが。


それにしても。

授業のなかでクラスの子どもたちの「特技」が
ちょこちょこ披露されるんですが

チェロを弾く子も、歌手を目指している子も、マンガを描く子も
さらっと披露するその特技のレベルが、半端ないんだ!

国を追われたり、苛酷な状況にいる彼らは
総じて早く大人になるようで

生きることにも、とても真剣に見える。

心に刺さりました。


★1/31(土)から新宿武蔵野館、渋谷アップリンクほかで公開。

「バベルの学校」公式サイト
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする