ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

スケッチ・オブ・ミャーク

2012-09-15 15:20:45 | さ行

ミャークとは宮古島のことです。

「スケッチ・オブ・ミャーク」70点★★★★


沖縄・宮古島に伝わる“神歌”を
歌い継いできた人々を記録したドキュメンタリー。

その多くが90代(!)という貴重さもあり、

彼女たちの経験や、歌も飽きないけど、
やはり文献でしか知らなかった神事の場面を
見られるのが凄い。


50歳~57歳までの既婚女性がクジ引きで選ばれ、
歌や行事を執り行う“神女(ツカサンマ)”となるそうで、

選ばれた方々は
ごく普通のお母さんたちなんですが、

これがみなさん
フツーに神の化身を見るし、予知夢も見るんですわ。


「神女に選ばれるかどうか、緊張しました?」とか聞いても
「え?いや、前の日にね、もう見たからさ(夢でね)」とか(笑)
取材者と話が一瞬噛み合わなくなるさまも可笑しいですよ。

この地では、あちらとこちらは、地続きなんだなあと
つくづく思い知りました。

映画に登場する人々は
2009年に青山の草月ホールで公演を行っており、

そのときの模様も映し出されて聴き応えあります。


特に見事な三線と歌を聴かせる10歳の少年が愛おしい。

これからのミャークの
たくましい希望ですねえ。


本企画の発端であり案内人ともなる音楽家・久保田麻琴氏は
劇中で
「人頭税にあえぎ、苦しい中で生まれた宮古の歌は、
洗練された沖縄民謡より、ソウルフルでエッジが利いている」と話していました。

確かにそんな感じ。

沖縄に興味ある人には特にオススメです。


★9/15(土)から東京都写真美術館ホールで公開。ほか全国順次公開。

「スケッチ・オブ・ミャーク」公式サイト
コメント
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