ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

おとなのけんか

2012-02-14 22:36:29 | あ行

おとなのえいが。

「おとなのけんか」76点★★★★


「ゴーストライター」がスマッシュヒットだった
ロマン・ポランスキー監督が

“演劇界のアカデミー賞”を受賞した
傑作舞台劇を映画化したものです。


ニューヨーク・ブルックリン。

ペネロペ(ジョディ・フォスター)と
夫マイケル(ジョン・C・ライリー)の家に

ナンシー(ケイト・ウィンスレット)と
夫アラン(クリストフ・ヴァルツ)がやってくる。

彼らは遊びに集ったわけではなく、
ある話合いをしていた。

実はアラン夫妻の息子が、
マイケル夫妻の息子を殴って、ケガを負わせたのだ。

両者の話し合いは
最初、なごやかに進んでいたのだが――?!


ロマン・ポランスキー監督、やってくれますねえ!

まず1時間19分という尺に興味津々。
そしてオープニングから軽妙、かつ巧妙。


ほぼ部屋の中だけ、登場人物4人だけの会話の応酬が、
実にスリリングというか、もう釘付け。

2組の夫妻はどちらも
互いを「良識ある、冷静な人間」に見せようと
極めて穏やかに話合っているんですが


「穏やかなうちに切り上げて、さっさと帰ればいいのに」と
ハラハラさせられているうちに
ものごっつ「キャー!」な展開になる(笑)。


そのうちに
4人それぞれが持つバックグラウンドの違いや、
体裁と本音が、
いやというほどむき出しにされて

もう、なにやらすがすがしいほどに笑える(笑)


そして見終わると
「こんな不毛な言い争いに、1時間19分も
夢中になって付き合っていたなんて!」と、
自分を笑ってしまうという。


元ネタの舞台劇が秀逸だったのだと思いますが、

ポランスキー監督の采配のもと
この豪華4人キャストが
まるで本人自身のキャラにも踏み込んだような役当てをされていて
そこも芝居を超えてスゴい(笑)

ジョディ・フォスターの“正道”ゆえの怖さ、
ケイト・ウィンスレットの“冷たさ”

ジョン・C・ライリーのどことなく粗野な感じ、
クリストフ・ヴォルツのいかにも「イヤミ~」な佇まいもしかり。

ラストもバッチリ決まり、
いいものを見た満足感に浸たりました。


これなら1800円惜しくない。

それに、79分にサラッと1800円出せるのも
オトナ~って感じじゃないすか。


★2/18(土)からTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。

「おとなのけんか」公式サイト
コメント (6)
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