ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

戦火の馬

2012-02-27 01:26:07 | さ行

この映画がいいのは
“ザ・映画!”なところ。

映画そのもので“映画愛”を表現してるんだよね。


「戦火の馬」77点★★★★


スティーブン・スピルバーグ監督作品です。


第一次大戦前夜のイギリス。

ある村の牧場で、一頭の仔馬が生まれた。

脚先が白く、額に白いひし形の斑がある美しい馬だ。

農家の少年アルバート(ジェレミー・アーヴィン)は
その馬にジョーイと名付け、深い愛情を注ぐ。

が、戦争が始まり、
ジョーイはアルバートと引き離され、戦地に赴くことになる。

それはジョーイの長い旅の始まりだった――。


いやー、“ドを超えた”動物好きとして
正直これほど気のすすまない映画もなかった。

しかし、
想像以上に心動かされました。


可哀想ばかりでなく(やっぱり辛い場面もあるけど)、
不必要な残虐さはなく、

混乱の時代に翻弄されながら、生き抜く馬の強さが圧倒的で。


彼(馬)は、その時々でさまざまな人に出会い、
手綱が繋がれていくんですね。

不思議な縁を積み重ね、
大きな物語の波へとつなぐ構成もよかったし、

なにより
馬という神の生き物の気高さ気品、
美しさを存分に堪能しました。

こうして
一頭の馬の物語を描くことで、
スクリーンや歴史に出てはこなくとも、
戦火に命を散らした多くの馬たちを忍んで涙が出る。

そして
ジョン・ウィリアムズの音楽が素晴らしい!

夕日、丘、馬……と
まあ美しい映像と相乗し、
「風とともに去りぬ」レベルの高揚なので、
ぜひ大画面で見るべし!

★3/2(金)から全国で公開。

「戦火の馬」公式サイト
コメント
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