ホームセンターに行くと
用もないのに木材売り場に足が向いてしまう人を
“木フェチ”と言います。
そういう人にはたまらん映画です。
「鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言」67点★★★☆
「法隆寺の鬼」と言われ、宮大工界の“神”だった
西岡常一氏(1908~1995)の仕事に密着し、
その人となりに迫ったドキュメンタリーです。
まず“鬼”なんて言うから
どんだけ怖い人なのかと思いきや
これが意外なまでに温厚なお人柄。
弟子たちにも「見て憶えろ」でなく、
「言葉にして伝える」を実践していらっしゃるところも
素晴らしい。
美しく削られていく木目や、
正確にハマる木組みなど、木の香りが漂ってきそうな映像も
木フェチにはたまりません。
一番、驚いたのは
一流宮大工の「なによりも、木ありき」という姿勢。
彼らは柱を立てるのに、
まず山に入って、木を探すことから始めるんですよ!
どんな土地の、どんな環境に生えていたかで
建築のどの部分に使うかが変わってくるっていうんですから、
すげえ……。
「木の合わせ目を、ピッタリ合わせておかないのはなぜか?」など
どんな質問にも、優しくわかりやすく答えてくださるので、
食い入るように、その話に耳を傾けました。
西岡棟梁の妥協のない仕事こそが、
千年以上を生きた建築物を、さらに千年先まで生かすことができる。
ね、時間のスケールもでかいでしょう!
大工仕事が、というより
「生涯の仕事とは何か」という巨大なものが残るので、
あと20分短くして
高校の進路指導の時間や、授業で見せるといんじゃないかな。
★2/4(土)からユーロスペースほかでモーニングショー。ほか全国順次公開。
「鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言」公式サイト
今週(火)発売の『週刊朝日』(2/17号)「ツウの一見」で
アズビー・ブラウンさん(金沢工業大学未来デザイン研究所所長)に
お話を伺ってます。
アズビーさん、なんと約30年前に
西岡さんに弟子入りを申し込み、
3年間、その仕事に密着することができたんだそう。
実際の“鬼”“神”はどういう方だったのか、
貴重なお話をしてくださいましたので
興味ある方はぜひ!ぜひ!