ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

Ricky リッキー

2010-11-22 21:19:33 | ら行
これはね~
本当は何も知らずに観に行くと
最高だと思いますよ。

「Rick リッキー」81点★★★★

女性を描くのがめちゃうまい
フランス映画界の星、フランソワ・オゾン監督の新作。

彼の作品が好きな人には
絶対にハズレなしです。


主人公はフランス郊外の工場で働く
シングルマザーのカティ。

7歳の娘リザと暮らす彼女は
新入りの工員パコと恋に落ち
リッキーという男の子を授かる。

最初はぎくしゃくしていた
リザとパコ、カティの3人は
リッキーを絆につながっていく。

だがある日、リッキーに異変が起き始め……?!


つまりはリッキーに
○○が生えてきちゃうわけですが
この描きかたが単純に
笑っちゃうほどおもしろい。


冒頭、どんより曇った空の下
いかにも幸薄そうなシングルマザーの
日常をリアリズムで描き

そこから唐突に
奇想天外な話へと向かう
転調がうますぎて(笑)

あまりのシュールさに
吹き出してしまいました。


この物語は
「ふたりの5つの分かれ路」で
監督が描いたような

出会いから熱狂ラブラブ期間を経て
やがて倦怠へと至る
男女の普遍的なドラマに

新しい“なにか”を欲する過程で
産み落とされた
上手なサプライズ、という気がします。


リッキーに起こることは
確かに特別なことだけど

その描きかたが
とことんナチュラルなので
フツーに子ども(猫や犬でも同じと思う)
の行動にハラハラしたり

ニコニコしたりする気持ちと
おんなじ気持ちで見られるんですよ。


大切な人を想う気持ちにぬくもりつつも
オゾン監督らしいピリリ感もあって。

ラストの暗示的なシーンもよかったなー。


ちなみに番長の
オゾン監督ベストは
(1位)まぼろし
(2位)ふたりの5つの分かれ路
(3位)ぼくを葬る & スイミング・プール

ですかねえ。


★11/27からBunkamura ルシネマで公開。ほか全国順次公開。

「Ricky リッキー」公式サイト
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする