ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ふたたび

2010-11-13 15:36:40 | は行

人の行いは正しいのが一番だけど
映画はそれだけだとツマラナイ。


「ふたたび」51点★★


舞台は神戸。

ジャズ好きの大学生ヒロト(鈴木亮平)
ある日、父(陣内孝則)から
意外な話を聞く。

亡くなったと聞かされていた
祖父が生きており
この家に引き取るというのだ。

「なんでウソをついていたんだ?」
と問いただすヒロトに
父はこう言った。

「おじいちゃんはハンセン病だったんだ」

……は?ハンセン病って何?

そしてヒロトは祖父(財津一郎)と
初めて対面することになる・・・


冒頭に「厚生労働省推薦映画」の
文字がバーン!と。

これ、ちょっと強烈すぎて
映画全体の印象を
決定づけてしまう感あり。

そしてその印象通り
なにやら教習所で見せられるような
“教育的”な映画でした。


ハンセン病の誤解と歴史を
ほどこうという意図と目的は大切だし
よくわかりますが

あまりにも折り目正しくて
情緒の入る隙がないんだなあ。


「人生、やり残したことありませんか」
というコピーといい
ジャズという小道具といい


年配層にはウケそうですが
本当にこういうことを知ってもらいたかったり
訴えるべき相手は若い人なんじゃないか?

そこに伝わりにくそうな感じが
もったいないんですよねえ。


でも、これは監督のカラーなのかもしれない。
前作「0(ゼロ)からの風」も
同じような印象があった。

交通事故で息子を失った実在女性が
「危険運転致死傷罪」の新設のため戦う映画で
ものすごく大事な話だったけど

やっぱり、教育っぽかったもんなあ。


どんなに不良っぽくしても
シャツにきっちりアイロンかかってるよ……みたいな
かたなのかもしれませんね。


ただそのへんの印象を体現した
主演の鈴木亮平が
すごくよかった。

若いのに真っ直ぐで
困った人にちゃんと手を差し伸べるような
気骨ある青年を自然に演じていました。

後半の彼と祖父の旅は
ちょっとしたロードムービーのようで悪くない。


あとはやっぱり
ある役で登場する渡辺貞夫氏の
サックス演奏が見どころですね。


★11/13から全国で公開中。

「ふたたび」公式サイト
コメント (2)
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