ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ボローニャの夕暮れ

2010-06-26 17:20:54 | は行
今日から公開中の

「ボローニャの夕暮れ」65点★★


原題は「ジョヴァンナのパパ」。

タイトルどおりの内容で
娘を想う父親の真っ直ぐな愛情
胸が痛くなるお話です。


1938年、第二次大戦前の
イタリア、ボローニャ。

ミケーレ(シルヴィオ・オルランド)の
17歳の娘ジョヴァンナ(アルバ・ロヴァケル)は
自分のルックスに自信がなく
極度の引っ込み思案。

ミケーレはいつも
「お前は魅力的なんだよ」と
一生懸命に娘を励ましているが

美しい妻(フランチェスカ・ネリ)は
「あまりあの子に期待をもたせないで」
と、常に冷ややか。

そんなある日、ジョヴァンナの同級生が
学校で惨殺される事件が発生する。

さらに驚くべき犯人が明らかになり――。



“美しすぎる母”へのコンプレックスを抱える娘、
娘が可愛くてしかたない父親、
そして
秘密を抱える母、という

ある家族のドラマに
第二次大戦中のイタリアの状況を
うまく絡めた渋い作品です。


父から娘への迷いなき愛情に対し
特に思春期の娘と母親のあいだに
どうしても存在する

微妙な距離感や確執なんかが
リアルに表現されてました。


家族の近しさゆえの痛みや苦み、
そして再生を描くスケッチとしては
上質だと思います。


ただ
陰気な娘という設定に戦争と
あまりに沈鬱な空気があり
ところどころ
静かにウトウトしてしまいましたが・・・


しかし
この娘は、父親が死んだら
どうするのだろう。


お互いに寄りかかり合う
親子の姿は
あたたくもあるけれど
しかし不安もいっぱいはらんでいるわけで

そしてそれは
いつの時代の親子関係にも
鏡のように映る気がします。


★6/26からユーロスペース、銀座シネパトスで公開中。ほか全国順次公開。

「ボローニャの夕暮れ」公式サイト

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする